高校生がインタビュー:
島のみらい図鑑「継ぎて」①
島の仕事図鑑6-1
01.地域商店新本 孝徳
この地区が好き。にぎわいを継いでいく。
最初はたくさんの人に反対された。それでも自分が大好きな明石地区にこの商店は必要だという強い想いからお店を継がせてもらう決心をした。
はじめは、前職時代に2年間お店のお手伝いさせてもらうことからのスタートだった。慣れない小売業としての商売は初めての体験ばかりで、すべてを自分で決めることは本当に難しいことだと学んだ。それと同時に、商売を始めてから改めて地域のつながりの中で生かされていることに気づかされた。そして、昔からのお客さんや付き合いのある人たちがいてこそ商売が成り立つということを実感した。
だからこそ、「お客さんを大切にする」気持ちは何よりも大切にしている。これからも生まれ育った明石地区のにぎわいが続いていくことへの強い想いがお店を続ける大きな原動力になっている。
【写真右上】「お客さんを大切にする」を当たり前に。商店は地域に守られながら、同時に地域の生活を守っている。
【写真右下】島の中でも人気の高い惣菜。地域の人たちがつくる気持ちがこもった逸品。
02.牡蠣・車海老鈴木 隆
一人一人、個人の力が欠かせない時代。
小さな頃から生き物を育てるのが大好きだった。その楽しみは大人になった今も変わらないと魅力を語る鈴木さん。
2011年からはじめた牡蠣の養殖事業はこの島の魅力的な自然環境があったからこそだと力を込める。瀬戸内海の温暖な気候を活かした塩田跡地での養殖は日本初の挑戦だった。そこには、誰もやったことのない価値を創り出すことへの情熱があった。
そして、一度は手放されていた塩田跡地を引き継ぎ、新しい技術や最新の機械を取り入れ、自分にしかできないことを考え抜いた養殖を行っている。知識だけでうまくいくほど養殖は簡単ではない。自然環境の変化や塩田跡地の池の状態を見極め、この土地に合った養殖方法を見つけていくことが何よりも大切であり、それがこれからもおいしい牡蠣を育て続ける要になると語ってくれた。
【写真右上】養殖やレストランに留まらず、塩づくりなど、引き継いだ地を活かす挑戦が続く。
【写真右下】生き物の環境づくりのために並ぶたくさんの工具。
03.なんでも小売店熊佐 賢晃
「想いの経営」できることはすべてやる。
「はじめた時も今も、厳しい状況は変わらんよ」と、厳しい表情で語る熊佐さん。島に生まれ18歳から島外へ。しかし、5年前に島へUターンして、親族の卸売業を営むお店で働きはじめた。
そして、ちょうど2年ほど前に地域唯一の商店が撤退したので、その店舗を借り受けて事業を引き継いで小売業へ参入した。参入を決めた理由は、地域外へ買い物に行けない買い物難民が発生した現状を看過できなかったため。その人たちのために無料で送迎をしたり、必要があれば電球を交換したりと、「小売店じゃけど、究極はなんでも屋」と語る。
過疎地域のお店は、誰もやりたがらず継ぎてがいない厳しい状況だが、「だからこそ必要なことは、物を売る前に人間関係をつくること」と、継ぎてに必要な「強い想い」を誰よりも持つ。
【写真右上】心機一転。卸売業からの参入で、慣れないこともあるが、売るのは自分自身と小売店の経営を楽しんでいるようだった。
【写真右下】お客さんとの会話を楽しむ。目の前の人のためという気持ちを感じる。
島のみらい図鑑「継ぎて」 目次
- 【1】地域商店(新本孝徳)さん / 牡蠣・車海老(鈴木 隆さん)/ なんでも小売店(熊佐賢晃さん)
- 【2】和カフェ漁師(前釜光芳さん)/ 町を照らす電気屋(土井田 勝さん)/ 野菜大好きトマト農家(狩又恵美さん)
- 【3】特産品もつくる旅館(加藤健二さん)/ 漁師祭り(中村直樹さん)/ 旅する櫂伝馬(藤原啓志さん)
- 【4】みらい会議
- 【5】島の高校生が食べにいきたい!大崎上島のFOODS