高校生がインタビュー:大崎上島の基幹産業、造船と海運の仕事

島の仕事図鑑2-1

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01.造船菅忠俊

鉄工所でできることは無限大
「鉄工所の職人」

切断から溶接、組み立てまで
頼られてできることは何でもする
鉄板の切断、溶接、組み立て、鉄工所の仕事の中で「できることは何でもする」と言う忠俊さん。 造船の他にも、公共工事、土木建設などの依頼もあるという。自分でも驚いたのは「ピザ釜の扉」だそうだ。忠俊さんの仕事はネジを通すために1ミリのズレも許されない繊細さが求められる。寸法通りに切ることは船の構造物をつくる上で大切な技術。夏場の鉄板の上は目玉焼きができる程厳しい熱さに。自然と体力がつきトレーニング要らずなのは、この仕事の良いところかもしれないと笑う。週末は島から出て、ビリヤードやウィンドウショッピング。でも、ついつい気になってしまうのは、フェリーに乗っているときにパイプの太さや、溶接が上手いかどうか。街を歩いていても忠俊さんの眼はいつも輝いている。

実は女性にもピッタリの仕事

若手を見守る匠

菅敬助

職人としてのこだわりは「正確さとスピード」。それは必ずしも学歴や資格が全てではない。良い製品をつくるために誰よりも努力を欠かしてはならない。寸分の狂いもなくつくり上げ、どこに納品しても「ちゃんとしてくれている」と言ってもらえる。当たり前のことがきっちできる、それが職人だと語る。

02.造船元樋泰次郎

船は世界最大の動く建造物
船のパーツならどこでもつくれる

休日は4人の子どもと遊んで楽しむお気に入りの道具は治具(じぐ)
高校、大学と島外へ進学。そして卒業と同時にUターンし、創業90年を迎える家業に就いた。仕事の楽しさはものづくりにあると考えていた泰次郎さん。家業に就いたことは自然な流れだったと笑顔で言う。一つ一つの製品をつくっていく中で、作業に集中し、没頭することができる時間はとにかく気持ちが良い。経験を積んでいくと、今まででは分からなかったことも、1人で正しい判断ができるようになり、それがやりがいになる。時には失敗することもあるが、その失敗した時間をいち早く取り戻し、最小限に抑えるのが重要だと言う。泰次郎さんは昔から海が大好き。趣味は魚釣り。目の前に広がる海。そこを大型船がさっそうと走る姿は島のオススメの景色だと語る。

時間が経つのが早いと感じる時は丁寧な仕事をした証

若手を見守る匠

元樋修宜

お客さんとは20〜30年来の長い付き合いになる。精度は高く、工期は確実に守るということが一番大切。仕事のこだわりは、何よりも「相手に信頼されるものをつくる」こと。丁寧な仕事を続けているからこそ、良いものをつくることができる。それが、お客さんに信頼され、長く繋がることができると語る。

03.造船岸野花香

海に関わる仕事+ものづくり=造船!

お気に入りの工具はラチェット進水式で初めて船に乗った時の感動は一生忘れない
造船の魅力は何と言ってもスケールの大きさ。鉄の塊で出来た大きな船が海に浮かぶ迫力はこの仕事でしか味わうことは出来ないと語る花香さん。普段は工務部で図面の整理、ブロックの検査、書類の作成など何でもこなす。夏場の鉄板は焼けるほど熱く、体力的には厳しい世界。それでも、多くの人たちと協力しながら船をつくりあげることが、自分にとっての最高のやりがい。造船業界の専門知識がない自分を雇ってくれたことも仕事の励みになっている。新造船を初めて水に触れさせる「進水式」。誰でも見学ができるので、是非多くの人に参加してもらいたいと、この業界の魅力を笑顔で話す。

分厚い鉄を曲げて丸くするのは造船の誇れる技術船にはすばらしい技術が詰まっている

若手を見守る匠

塩田範仁

船が大好きという範仁さん。きっかけは父親が船乗りだったからだと言う。全国でも珍しい造船科のあった旧木江工業高等学校造船科(現大崎海星高等学校)で学び、現在は工場長を務める。船づくりは、鉄の切断から始まり、曲げて、つなげてブロックをつくり、エンジンを付けるなど、何十何百の工程を経て完成する。そこで追い求める理想の「良い船」は、振動、騒音が少ない船だと言う。そのためには、たとえ同じ図面でも同じ物はつくらない。前回よりも良いものをつくる。それが「ものづくり」だという。失敗や悩みも全ては良い経験。そこから何を学び、次にどう活かすかを常に考えることが大切と語る。

04.造船岡田顕正

効率よりも安全を重視
心配りが造船を締め括る

造船所の船長役
顕正さんの仕事は、造船所が扱う船の操船。新しくつくった船を初めて水に触れさせる進水式の際の操船や、完成した船を引き渡す時の操船など、その仕事には特別な緊張感があると言う。大切な船にキズをつけずに届けるためには、細やかな心配りが必要であ る。この仕事で大切なことは、何をする時も注意を配り事故をなくすこと。ケガをして得する人はいない。「安全」が一番と強く語る。顕正さんは、小さい頃から船と海が近くにある環境で育ち、自然と造船業界に魅せられていたと言う。好きというよりは、船と海が生活の一部になっていたと振り返る。そんな身近な場所であるからこそ、これからの造船業界が今以上に盛り上がり、まわりの人の生活により身近な、活気のある場になるよう奮闘している。

島の仕事図鑑2 目次

【1】造船 (菅忠俊さん・元樋泰次郎さん・岸野花香さん・岡田顕正さん) 【2】海運 (末田晃史さん・川本洋彰さん)
【3】造船 (佐々木悠さん・佐藤友裕さん) 【4】海運 (日浦徹治さん・菊田隆之さん)
【5】造船 (米今順威さん・中秋和也さん・宮本誠治さん)
【6】大崎上島~造船の魅力と歴史