中小企業支援、にぎわい創出、
副会頭の知見生かし広島を活性化

新春インタビュー  広島商工会議所 池田 晃治 会頭

増税対応や事業承継で中小支援、サッカー場、ビル建替でにぎわい創出
副会頭の知見生かし広島を活性化

-昨年11月に会頭に就任した広島商工会議所の運営方針をお聞きします。

 求められる商工会議所の事業の優先順位を的確に見極め、副会頭の知見を生かし、常議員、議員、職員の皆さんとも議論を深めていきたいと考えています。行政とも連携を図り、柔軟な発想とスピード感を持って、事業に取り組みます。
 まずは、中小企業の経営力向上支援が重要だと思います。2015年に策定し、国の認定を受けた「経営発達支援計画」を基に、中小・小規模企業の持続的成長をサポートする方針であり、経営指導員を中心とした事業承継支援やICT化支援などを行います。次に、消費増税、軽減税率制度への対応です。アンケート調査を行った結果を現在精査中ですが、増税を価格転嫁できていない企業もあるため、これからキャッシュレス決済の導入や、経営安定化の支援などを行う予定です。
 続いて、創業支援に向けた環境整備が必要です。商工会議所でも創業塾などを行っていますが、サンドボックス事業を行う広島県や金融機関などとも連携していきます。最後に働き方改革の推進です。中小企業での改革の遅れが懸念されますが、県商工会議所連合会と県商工会連合会が共同運営する「広島県働き方改革実践企業認定制度」は、計221社を認定しています。先進事例を参考に、改革推進を支援していきます。

直接、就任を要請

-マツダの小飼会長は、初の社長出身の副会頭に就任されました。

 小飼雅道副会頭をはじめ、副会頭はみなさん、私自身が直接、就任のお願いに行きました。広島を活性化させるタイミングは今しかない、ぜひ一緒に取り組んでもらいたいという熱意が伝わり、皆さんから快諾いただいたことは、とても心強く感謝しています。小飼会長には筆頭副会頭として、会議所運営、財務全般、工業振興を、広島電鉄の椋田昌夫社長には交通体系整備、運輸振興、建設業振興をお願いしています。フレスタの宗兼邦生社長には卸・小売り振興、観光振興、労働・雇用を担っていただき、ご自身も経験された青年部を担当していただきます。
 広島魚市場の佐々木猛社長は中小企業診断士の資格を持ち、広島商工会議所職員の経験もあるため、中小企業振興、マル経融資審査を担当していただきます。昨年7月に副会頭に就任し、引き続き副会頭をお願いした中国電力の重藤隆文常務は、商工会議所ビル建て替えとサッカースタジアム建設を担当していただき、併せて地元産品の愛用を推進する郷心会の会長もお願いしています。担当に関わらず、情報を共有ししっかり議論していきたいです。

-サッカースタジアム建設では、資金集めの期待がかかります。

 11月に実施されたイギリス、ドイツ、オランダへの広島市、県、サンフレッチェ広島の皆さんの視察に、広島商工会議所から職員1人を派遣しました。スタジアムは、いかに年間を通じてにぎわいを創出するかがポイントです。収容人数3万人規模で、24年開業を目指していますが、飲食・物販などの付帯設備や周辺のにぎわいなどは、市と県、広島商工会議所の3者に加え、サンフレッチェ広島などの関係者や市民のアイデアを聞き、基本計画を策定します。市民アンケートでは、パブリックビューイングやスポーツ博物館などの意見もありました。また、地域の方々の憩いの場として、中央公園内のゾーンニングにも配慮したい。加えて、広島城、河岸緑地、市民球場跡地、原爆ドームなど周辺地域との連携や回遊性も重要になってくると考えています。
 2月には、スポーツジムなども併設しているノエビアスタジアム神戸に視察に行く予定で、多機能化の参考になりそうです。ランニングの拠点として、市中心部のビジネスパーソンが利用できるようなシャワーやロッカーを備えた施設などの可能性も検討します。広島市は概算事業費190億円を示していますが、経済界としての寄付の目標額は未定です。広島市のふるさと納税による個人寄付が盛り上がっているのは心強いですね。企業への寄付の呼び掛けのほか、新市民球場建設時のように、たる募金による機運醸成も必要かもしれません。

基本合意へ協議を本格化

-商議所ビル建て替えについては。

 18年9月に広島市から都市再生緊急整備地域制度の活用を視野に、市営基町駐車場周辺の再開発事業の枠組みの中で、商工会議所ビルの移転・建て替えの提案があり、常議員会で了承を得ました。従来の建設専門チームを特別委員会に改組し、隣地の朝日新聞社・朝日ビルディング、中国電力、広島市と、都市再生機構のコーディネートにより話し合いを進めていきます。
 今後は基本合意に向け、協議を本格化させます。商工会議所ビルの再開発事例として、京都商工会議所や、私が副会頭を務めております日本商工会議所が入居する東京商工会議所があり、その落ち着いた雰囲気は参考に値します。

-MICEの強化ポイントは。

 15年に観光庁の「グローバルMICE強化都市」に広島市が認定され、MICE誘致が活発になりました。18年12月に広島商工会議所は、商工センター地区、観音地区を候補地とする提言を市と県に提出しました。ソフト面では、受け入れ体制の強化やノウハウの蓄積、他都市との違いを出す付加価値サービス、海外への情報発信などが課題となるでしょう。
 21年10月に広島商工会議所は130周年を迎えます。記念式典のほか、関連イベントも検討したいと考えています。18~20年度の第4次中期行動計画が最終年を迎えるため、新計画の策定もテーマになります。

-広島経済同友会代表幹事時代の印象深い事業は。

 18年の「西日本豪雨災害に係わる緊急提言」をはじめ、「宮島における外国人観光客の『おもてなし』環境整備に向けた緊急提言」など各委員会が積極的に提言を行いました。ものづくり委員会は、「デジタルものづくり塾」などの実践活動を企画しましたし、福山支部の「福山駅前再開発」など、各支部の提言も活発でした。16年には、発足60周年の記念式典を開催し、西日本経済同友会会員合同懇親会も開きました。

-最近の健康法は。

 ゴルフやジム通いのほか、毎朝自宅で腕立て伏せ、腹筋、体幹を鍛える運動をしています。普段から、できるだけ階段を使うようにも心掛けています。