産廃処理で40年超の実績
25年3月にRPF製造の新工場
株式会社金本商会
自動車、建設など多様な廃棄物に対応
安佐北区大林町の広島工場と、山口市にも工場を構え、産業廃棄物の収集~運搬と中間処理(分別・減量・無害化・安定化など)を手掛ける。また近年はリサイクルや二酸化炭素排出削減といった環境保全活動へ力を入れるため、廃プラスチックなどが主原料の化石代替燃料「RPF」製造に取り組む。RPFは石炭や石油、天然ガスに比べて二酸化炭素の排出量が少ない燃料として注目を集めるほか、従来はリサイクルが困難だったプラスチックを原料とすることで埋め立て地不足の問題解決にも有効とされている。
高いリサイクル率
1982年に設立。広島を皮切りに中国全県と福岡・愛媛・兵庫・滋賀県で産業廃棄物の収集運搬業許可を取得し、2005年には広島工場が完成。主に自動車部品製造事業者から出る廃棄物を受け入れている。金本茂男社長は、
「工場を置く広島と山口はマツダを中心に自動車関連産業が非常に盛んであり、廃棄物処理のニーズも高い。さまざまな要望に応えられるよう、運搬・中間処理それぞれで多くの車両や機材をそろえています。また当社が集めた廃棄物は現状、約95%をリサイクル。業界平均が50~60%とされる中、かなり高い水準です。これからも資源循環型社会の実現に向けて貢献していきたい」
新工場で処理能力向上
同社では処理能力をさらに向上させるため25年3月、7億円以上を投じて広島工場に新棟を完成させる。既存の施設と合わせ面積1972平方㍍の新工場では、AIセンサー搭載の光学選別機に加え、廃棄物を質量に応じて分別する比重選別機、自走型・据え置き型の破砕機、RPF成形機など最新機材を数多く導入。建設系の混合廃棄物にも対応できるようになる。RPF生産量は現在の年1万4220㌧から35%増えて約2万㌧規模へ。生産量の増加に伴う二酸化炭素の削減効果は年間で3794㌧と試算しており、これはスギの木およそ27万本の吸収量に相当する見込みだ。
新工場では人の動線も工夫する。22年12月に完成した事務社屋と工場の間に渡り廊下を設け、社員がスムーズに行き来できるようになる。また最近は工場見学の受け入れを積極的に行っており、来訪者にとってもメリットがあるという。
安全にも最大限の配慮
大型機械を扱う工場では、安全面の配慮も欠かせない。毎月1回、安全労働コンサルタントを招き「安全な職場環境」について学習を重ねている。例えば工場内の写真を活用して危険箇所や改善が必要な箇所を指摘するなど、身近な職場に潜む危険について学ぶ。
「具体的な対策としては、稼働中の機械に近づこうとして入り口部分のゲートを開けると緊急停止する仕組みの構築や、重機バックモニターの設置、誰でも内容が理解しやすい作業手順書の作成などが挙げられます。またチャットツールを通じ、ヒヤリハット事例の共有も実施。同ツールは目標への取り組みや社内の予定を発信するなど、円滑なコミュニケーションにも役立てています」
社会の持続的な成長に向け、産廃処理の重要性は高まる一方。広島のものづくりを下支えしていく、と金本社長は力を込める。
会社概要
株式会社金本商会
本 社:広島市安佐北区可部9-1-23
設 立:1982年8月
資 本 金:500万円
売 上 高:7億4600万円(2023年7月期)
従業員数:30人(2024年3月現在)
事業内容:産業廃棄物処理業、RPF製造業
T E L:082-818-4385
U R L:http://kanemoto-shokai.com/
※2024年9月当時の情報です。