高校生がインタビュー:大崎上島の基幹産業、造船と海運の仕事

島の仕事図鑑2-5

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11.造船米今順威

島に帰るために
自動車の設計から船の設計へ

499tの貨物船設計に携わる
休日はバイクレースとサーキット巡り
自分が思い描いたものが形になる、それがこの仕事のやりがいと語る順威さん。船の中の構造全般の設計を担当する。図面でパイプの機関部、キッチンや居住スペースなどを描く。図面は平面だが、三次元で立体的に考えて設計することが求められるのがこの仕事。こだわりは「線はまっすぐ描くこと」。基本的なことだが一つ一つの線をはっきりと丁寧に仕上げることが良い船づくりに繋がる。現場の工員さんとパイプの通りの話をしたりすることは欠かせない。常に新しい現場の仕事を 覚えていくことで設計する力をつけている。順威さんに船を見るときのオススメの角度を教えてもらった。右斜め前から船全体のフォルムを見るのが、最も船が格好良く見えると語る。

造船一筋、この道 50年の匠
どんな苦労も、船の引き渡しの時に吹き飛んでしまう

若手を見守る匠

藤井勇士

島へUターンし、造船所で働き始めたのは約50 年前。資材業務を担当し、営業から注文まで何でもこなす。主にエンジンや鉄の材料注文を行い、時には現場に出ることもある。進水式や船の引き渡しが間近になると多忙を極める。それでも完成した船を引き渡す時の喜びは、何事にも代え難い充実感があると言う。それは、他の仕事に就くことは考えられないと語るほど。造船はそれほど魅力に溢れているのだ。休日は趣味の農作業。みかん畑に職場にいる海外の人たちを連れて行き、島らしい農業体験の機会もつくっている。仕事だけではなく、普段から面倒見がよい勇士さんは頼れる上司。温かい眼差しが印象的だった。

12.造船中秋和也

高い技術力は見て覚える
先輩の姿が教科書

年間3〜4隻の新造船
お気に入りの道具は切断機とハンマー
「死ぬまで造船所で働く」と言い切る和也さんが、造船の仕事に就いたきっかけは「なんで鉄の塊が浮くのか知りたかった」からだと笑いながら語る。仕事は、船の底のパーツ(ブロック)をつくること。仕事の仕方と高い技術力は、先輩の姿を見て覚え、自分がやってみて、わからないことは聞くということを繰り返して身につけたという。作業の中では、鉄を溶接したり、切断したりしている時が一番楽しい時間。先輩たちはとても優しく、落ち着いて仕事ができる今の環境がとても働きや すいと言う。ここでは、昔ながらの伝統的なやり方で進水式を執り行う。それがとても気に入っている。大きな船を滑らせ、海に降ろす姿はいつ見ても感動する。そんな造船業界の魅力を一言で表すと「造形美」とものづくりの良さを語った。

13.造船宮本誠治

ものづくりが好き
艤装品づくりが巨大な船を形づくる

Made in Japan! 自分でつくった製品が船になるお気に入りの工具は長さを計るスケール
ものづくりが好きで土木関係に携わっていたが、製作所の社長が島の先輩だったことから、誠治さんは造船業界に飛び込んだ。ここでつくったものが大きな船を形づくる一部になっているのが魅力的だと言う。誠治さんは、船に必要な階段や煙突などの艤装品をつくっている。船は海に浮かんだだけでは何もならない。あらゆる装置や設備などの艤装品が整って、初めて船としての機能を発揮する。細部までこだわった部品を一つ一つ丁寧に仕上げる。品質の高さでお客様の要望に応える仕事だと語る。職場には年齢が近い若手が多いのでとても明るい。仕事に取り組む姿勢は楽しげで持ち前の明るさが溢れ出ていた。

造船業界を支えるため目指すチームワークは日本一

若手を見守る匠

惣明武志

船の骨組み、艤装品、船の部品である煙突や階段などをつくる匠。大切なのはチームワーク。どんな条件であっても、知恵を出し合い、精度の高い製品を自分たちで全てつくるという強い意志を持っている。そのためには高い技術とお互いの信頼関係が欠かせない。社員とは趣味の釣りを通じての交流も大事にしている。しんどいことも楽しいことも分かち合えるからこそ良い仕事ができる。海外との競争も熾烈を極めるが、まずはこのチームで日本一を目指す。

島の仕事図鑑2 目次

【1】造船 (菅忠俊さん・元樋泰次郎さん・岸野花香さん・岡田顕正さん) 【2】海運 (末田晃史さん・川本洋彰さん)
【3】造船 (佐々木悠さん・佐藤友裕さん) 【4】海運 (日浦徹治さん・菊田隆之さん)
【5】造船 (米今順威さん・中秋和也さん・宮本誠治さん)
【6】大崎上島~造船の魅力と歴史