[鳶(とび)職] 建設は鳶に始まり鳶に終わる
「高所作業のプロフェッショナル」

地場建設産業の担い手に聴く!8

vol.08 鳶(とび)職
向原 和軌さん
株式会社富満組 作業主任者

―鳶職とはどういったことをするお仕事ですか。

 「建設は鳶に始まり、鳶に終わる」といわれるほど、さまざまな建築工事で鳶職(鳶工)は欠かせない存在となっています。鳶職は、その仕事の内容によって、主に「足場鳶」、「鉄骨鳶」、「重量鳶」の3種類に分かれます。
 自分は足場鳶です。一言に足場鳶と言っても、同じ足場を組むことは二度とありません。建物の大きさも違います。近隣建物があり、図面通りに足場を組むことができないこともあります。他職の作業員さんや現場監督さんのニーズにも合わせた足場が必要となります。
 ビルの解体現場の足場は、建物を解体する際に近隣建物や歩道などに解体した廃材などが飛散したり、埃をかけたりしないようにといった意味がある、養生のための足場です。
 新築現場では、いろんな業種の作業員が足場の上で作業を行うので、墜落災害、飛来落下災害などが起きないように、作業しやすく、安全な足場を組む必要があります。

―自己紹介をお願いします。

 ㈱富満組に入社し、11年間勤めています。当社は、鳶工事の専門会社として、主に足場の組立工事などを手掛けており、日々、仲間やゼネコンの監督さんたちと切磋琢磨しながら、仕事を行っています。

―鳶職を目指したきっかけを教えてください。

 当社に入社するまでに、法面工や自動車工場、型枠解体工など、仕事を転々としていた中で、新築マンションの現場で仕事をしていた時、ひときわ声を出す若い鳶職の作業員さんがいました。
 鳶という職種は知っていましたが、どのような仕事内容なのか気になり、たまに目を向けていました。そんな時、足場の一番高い所で、作業服をなびかせながら作業している鳶職人を見て『カッコいい!』と思い、興味を持ったのがきっかけです。

―仕事上の苦労などがあれば教えてください。

 ほとんどの建設現場は朝8時から朝礼があります。早い時間に現場に行くために早起きするのが一番苦手でした。仕事の内容では、勤め始めたころは、材料や工具の名前をたくさん覚えないといけません。足場材を運ぶ作業も多くあるので、よく筋肉痛になっていましたが、3カ月・半年と月日が経つにつれて、そういう辛さも薄れていき、仕事しやすい環境や生活習慣へと変わっていきました。 

―どのような時にやりがいを感じますか。

 入社したばかりのころは、自分が何をすれば良いか分からず、先輩方の指導や仕事の仕方を見て真似をし、似たようなことができるようになると、達成感がありました。
 年数を重ね、徐々に仕事内容や段取りなど、仕事の流れが分かるようになると、大きい建設現場を任せてもらえるようになりました。組み上がった足場を見上げた時や、足場を使ってもらう他職の作業員さんに「足場がいいけぇ、仕事がはかどるよ!」などと声を掛けてもらえた時などは、やりがいを感じますね。
 数か月後には、解体することとなる足場ですが、絶対に手抜きをせず、常に安全に気を配り、仕事をしています。仲間と作業している時間はとても楽しく、充実した毎日を送ることができています。

― 仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします

 いろいろな職種がある中で、自分は鳶職を選んで良かったと思っています。仲間と一つになって足場を作り上げていく時間はとても充実しています。自分の性格や考えに合った職種、職場が必ずあると思いますので、一歩踏み込んでぜひチャレンジしてみてください。

                                                   

 

会社概要

株式会社富満組
所 在 地:広島市西区小河内町2丁目23-2
事業内容:鳶工事
創  業: 1980年8月

(2020年12月現在)

情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課