Vol.12 金属屋根工事技士(1級板金技能士) ~金属屋根工事のプロフェッショナル~[重森板金工業株式会社]

【広島商工会議所】地場建設産業の担い手に聴く!

地域インフラ整備 ・ 維持の担い手であり、地域社会の安全 ・ 安心の確保を支える国土・地域の守り手でもある建設業は、我が国の基幹産業として重要な役割を果たしています。建設現場の最前線で活躍されている様々な職種の建設職人や技術者にスポットを当て、地場建設産業の魅力の一端をご紹介します。(広島商工会議所建設業部会)

金属屋根工事技士(1級板金技能士) 重森板金工業株式会社 工事部 部長
岡﨑 清房さん

ー金属屋根工事技士とはどういったことをするお仕事ですか。 金属屋根工事の専門技術者であり、金属屋根職人と呼ばれることもあります。屋根材には、瓦屋根や金属屋根、スレート屋根などがありますが、当社は金属屋根の工事に特化し、広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)や護国神社、白神神社、おりづるタワーをはじめ、各種商業施設や工場などの金属根工事を主に手掛けてきました。
金属屋根工事技士の仕事は、屋根を張るだけではなく、そのための準備から始まります。当社は自社工場があり、専用の機械で材料の金属板を必要な寸法に切断したり、折り曲げ加工を行うなどして、本体以外の建築部材の製作を行っています。屋根の本体は、現地で成型機を使って成型し、クレーンなどで吊り上げ施工しています。大きいものになると、長さ100メートルを超える屋根を作ることもあります。そうした金属屋根工事の計画・準備から施工まで行うのが金属屋根工事技士の仕事です。

ー簡単な自己紹介をお願いします。 友人の紹介で入社して、今年で22年目です。屋根や板金についての知識はなく、入社するまでどんな仕事をするのか全く想像もつきませんでした。上司や先輩にゼロから教えてもらい、経験を積み重ねながら仕事を覚えていきました。現在は国家資格の1級建築板金技能士資格を取得しています。

このお仕事に資格は必要ですか。 建築板金の世界で働くのに特に資格は必要ありません。個人差はありますが、一人前になるまでには3~5年位かかります。資格を取得すれば、信頼が得られ、公共工事に職長として携わることができるなど、仕事の幅が広がり、メリットは少なくないと思います。建築板金技能士(1・2級)を取得するには、実務経験が必要で、学科試験と実技試験があります。1級建築板金技能士は、言わば建築板金のエキスパートです。当社では8人の職人のうち6人が1級資格を取得しています。全員が、私同様、ゼロからこの業界に入った人です。

ー仕事上の苦労があれば教えてください。 ほとんどが屋外での高所作業となり、危険を伴うため気を緩めることができません。暑さや寒さに加え、雨や強風の中で作業することもあります。力や技術的なセンスも必要ですが、それらは仕事をしていくうちに身についていきます。ただし、高所恐怖症の人には向かないと思います。金属屋根は、ガルバリウム鋼板、ステンレス、トタン、銅などの種類があります。最も多く使われているのはガルバリウム鋼板で、加工も自由にできます。丈夫で錆びに強いのはステンレスですが、硬くて扱いにくく、加工に苦労しますね。

ーどんなところに仕事の魅力ややりがいを感じますか。 屋根工事もあれば、外壁工事もあり、同じ建物はないことから、毎日違った仕事ができます。この仕事に就くまでに様々な職に就きましたが、この仕事は常に刺激があり、楽しく、自分の中で興味がどんどん湧いてきます。仕事の奥の深さに惹かれています。
建築板金は建物の外観を決める仕上げとして重要な役割を果たしています。自分が職長として施工した建物の一つに「おりづるタワー」がありますが、苦労して屋根の施工をしただけあり、完成した時はとても感慨深いものがありました。

ー仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。 一見難しそうに思われるかもしれませんが、知識や経験がなくても、手先が器用でなくても、現場でいろいろ経験していくうちに技術を覚え、仕事はできるようになります。毎日続けるうちに仕事の楽しさも分かります。興味を持った方はぜひチャレンジして欲しいですね。

会社概要

重森板金工業株式会社 所 在 地:広島市南区出島1丁目26-14
事業内容:金属屋根工事業
創  業:1947年4月

(2021年2月現在)
情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課