Vol.2 ひろしま農業協同組合(JAひろしま)
~ 地元企業5社を大学生がインタビュー ~

◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2024】◆◇◆

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~

 学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2023年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
 第2回は、23年4月、県内9つのJAが合併して誕生したひろしま農業協同組合。三戸正宏代表理事組合長に、合併の背景や今後の動き、地域との関わりなどを聞きました。

― JAひろしまはどんな組織ですか。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~代表理事組合長 / 三戸 正宏 氏
 当JAは2023年4月に県内9JA(佐伯中央、安芸、呉、広島中央、芸南、三原、広島北部、三次、庄原)が合併して誕生しました。組合員数は約19万人で全国3位の規模です。組合員の農業者や、地域の利用者に向けた農業資材の供給や営農支援のほか、貯金・貸出業務、共済、高齢者福祉事業など幅広く展開しています。
 合併のきっかけは、県内人口の減少による各市区町村の経済力の弱体化で、貯金や融資を行う地域レベルの農協の組織力が確実に維持できるか不透明な状況にありました。これを受け、福山市以外の12の農協の合併構想が持ち上がりました。しかし、単協で経営できるJA広島市や尾道市、広島ゆたかの離脱もあり、数年間、各JAとの話し合いを重ね、合併に至りました。

― 県内JAと合併する意志は。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 JAグループ広島は「県下1農協」を目指しており、私たちは合併の意見を上げています。しかしながら、合併の判断は各JAの組合員の意志であり、JAひろしまが指示できません。
 新しい試みには不安要素が多い。さらに、JA福山市のような大規模JAは、単独でも存続できる見通しがあります。その中で私たちが合併を強制することはできません。まずは不平不満が残らないよう気を配りながら、私たちがこの先、地域の農地、農業を守り堅実経営を進めることが重要な点です。

― 地域との関わりは。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 以前から、三次エリアでは平田観光農園や自治体と連携しています。例えば、2018年の川西郷の駅の設立の際に3者で設立に向けた協議を行ってきました。このほか、イズミとは「カープ応援米」を販売したほか、カープ女子を集めて田植えや稲刈りなどの農業体験を実施。ほかにも三原市と連携して、18年7月の西日本豪雨災害で被災した農家のジャガイモを使ったポテトチップスをつくりました。こうした取り組みを継続したいと考えています。
 合併の際にはギョーザの皮製販の井辻食産と協力して規格外野菜を具材にした冷凍ギョーザを開発。管内農産物のPRと生産者の所得向上につなげました。

― 就農者減少に対する取り組みは。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 新規就農者対策として農業塾などの勉強会や、県内3カ所に研修農場「チャレンジファーム」を設け、新規就農者を育成しています。
 また、個人での導入だと負担が大きい農業機械は、複数の従事者で一緒に使ってもらうよう集落法人に呼び掛けています。
 このほか、収穫作業、草刈りの手伝いなどの支援も実施しています。農協として何とかしたいとの思いで、農協だけでなく、自治体とも連携しながら、就農者数の増加を目指しています。

― 災害に強い農業への取り組みは。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 稲は高温障害を受けやすい。厳しい環境に耐えられる品種の開発を県と共同で進めており、現在、試験的に農家の方に新品種を試してもらっています。
 災害への備えとして田畑の排水の仕組み、ハウス・支柱の補強、行政への復旧工事の依頼などにも取り組んでいます。災害が起きてしまった後はハウス再建のための資材を割引で提供したり、人員を派遣するなど、復旧に向けてスピーディーに支援を行っています。

― 大学生へのアドバイスは。

ひろしま農業協同組合|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 学生のうちにしっかり遊んでほしいです。例えば、海外旅行は価値観を変えるきっかけになります。
 企業のインターンシップなどへの参加も良いですね。社会人とのコミュニケーションは自身を成長させてくれます。学生の間は、お金を払って勉強していたのが、社会人になるとお金をもらいながら、勉強するようになります。そこには責任や自己研鑽が必要ですが、仕事で必要な資格は、入社後に取得可能です。もちろん学生時代に勉強し、資格取得するのは歓迎しますが、それよりも今しかできないことを経験して楽しんでもらいたい。

代表理事組合長 / 三戸 正宏 氏 1953年3月22日生まれ、呉市出身。大阪電気通信大学工学部を卒業し、会社勤務を経て77年に呉農協入り。信用部事業推進課課長、信用部部長、監査室室長、非常勤理事、常勤監事などを経て、2019年6月に代表理事組合長就任。23年JAひろしまの代表理事組合長に就いた。



私たちがインタビューしました

農協という組織の役割や仕組みについて深く知ることができました。日頃の営農指導や災害時の支援など、地域に根差した取り組みをされているアットホームな組織であると感じます。 川合 陵介(広島大学3年)

たくさんの方々の努力と苦労があって私たちの食生活は成り立っていることを改めて実感しました。農協はいろいろな機関と連携を取って、それぞれの課題に対する支援や取り組みを行うという重要な役割を担っているのですね。 山口 莉穂(広島大学3年)

農協の概要から現状、そこから見えてくる農業全体の課題やその支援について理解できました。このインタビューの経験を糧に、学生のうちにできることにもっと取り組み、自分の持つ社会観を広げていこうと考えています。 中野 太晴(広島工業大学1年)

インタビューを通して農業に対する見方が変わりました。農家の高齢化、就農者の減少など課題はありますが、経営面や最新技術などの話を聞くことができ、農業に対して、さらに興味を持つことができました。 小林 煌宜(広島経済大学1年)

取材日:2023年9月

会社概要

ひろしま農業協同組合(JAひろしま)
所在地:東広島市西条栄町10-35
設 立:2023年4月1日
TEL:082-422-9595
URL:https://jahiroshima.or.jp/
※2023年3月当時の情報です。