Vol.5 株式会社ねぎらいふぁーむ
~ 地元企業5社を大学生がインタビュー ~

◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2024】◆◇◆

ねぎらいふぁーむ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~

 学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2023年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
 第5回は、東広島で新規就農し、志和町で「サムライねぎ」の栽培から加工、販売を手掛けねぎらいふぁーむ。八幡原 圭社長に農業を始めた理由や農業の魅力などを聞きました。

ねぎらいふぁーむ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~代表取締役 / 八幡原 圭氏
― 事業内容は。  東広島市志和町でネギの栽培から加工、販売までを手掛けています。主力商品はシャキッとした食感と豊かな風味の「サムライねぎ」です。

― 東広島で農業を始めた理由は。  もともと農業がしたかったわけではありません。私は三原市出身で、学生時代は本気でプロ野球選手を目指していました。大学卒業後は飲食業を希望し、知り合いの社長が営む京都の会社へ就職。しかし実際に働いてみると自分のやりたいことではないように感じ、退職しました。
ねぎらいふぁーむ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 その際、知人から京都の特産品である九条ネギ栽培の会社を紹介されました。農業従事者は高齢者ばかりで休みがなく儲からないイメージでしたが、そこでは多くの若者が働き、仕事の後には高級車に乗って遊びに行っていたのです。将来は経営者として成果を上げながら自由に生きていきたいと思っていた私にとって、それはまさに理想的な姿。1年かけてノウハウを学んだ後、広島に戻って2015年に個人就農しました。
 東広島を選んだのは盆地があって土質も京都に近く、ネギの栽培に適しているからです。また京都より寒暖差が大きいので、甘みの強いネギが育つのも利点でした。

― 会社のビジョンについて。

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 「土を作り、野菜を作り、人をつくり、世界をつくる。」という理念を掲げています。農業がメインの会社なので野菜作りが第一ですが、そのためには土のことを考える必要がある。また良い野菜を作るには人の心も重要です。豊かな心で作ったネギで、世界の人々の健康に貢献したいという思いを込めています。
 社名は「全てのネギ農家や関わる人をねぎらう」、「ネギのある生活、ネギライフを届ける農園(ファーム)」が由来です。当社のスタッフは障害を持っている方や外国人などさまざま。どんな人でも活躍できるのが農業の良さだと思っています。

― 会社の雰囲気は。

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 私の農業に懸ける思いをSNSやメディアで知り、共感してくれた人が集まっています。多くの人が集まる組織において、全員が同じ志を持っているのは重要なことです。例え意見の食い違いがあったとしても根本の部分でつながっていれば、簡単に意欲を失ったり、辞めたりすることはありません。

― 「サムライねぎ」について。

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 お客さまからの「厚みがあって、まるで侍の刀のようだ」という声を受けて命名しました。23年のG7広島サミットでは夕食の食材に選ばれ好評だったため、今後は海外販売も考えています。
 現在は東広島市内110店、県内全体では約300の飲食店で使われています。今でこそ店側から声がかかることが多いですが、以前は当社で地道に提案をしていました。直近では料理教室や、市内の子ども向けの収穫体験・食育の授業を通じて認知を広めています。ある小学生が、ままごとで「サムライねぎ買って来たよ」と言っていたという話を聞いた時はとてもうれしかったです。

― 農業の魅力とは。

ねぎらいふぁーむ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 作った野菜を食べてもらい、喜んでいただくことです。自分が何かを得るのではなく、与えるのがうれしいと感じることを私は「サンタクロース理論」と呼んでいます。
 農家の後継者不足が深刻だと言われていますが、農業に関わる人たちには、楽しそうな姿を自分の子どもや若者に見せてあげてほしい。就農前の私のように、魅力を感じる人は必ずいると思います。

― 学生に意識してほしいことは。

ねぎらいふぁーむ|東広島ではたらこっか~大学生が地元の企業5社をインタビュー~
 まずは大きな目標を立てること。そして達成に向けて何をするべきか、しっかりと道筋を立てることです。京都にいた頃、社長に「どう死にたいと思っているか」と聞かれ、きちんと答えられませんでした。その時に社長は「死までを逆算して、今をどう生きていくか考えないと人生は無駄になる」と教えてくれました。
 私の最終的な目標は、自分の葬儀で参列者の多くに「八幡原の教えのおかげで今がある」と思われること。23年4月から三原市・世羅郡(選挙区)の県議会議員として活動しているのも、そのためです。日々のストレスや不安も、明確な目的意識があれば少なくなります。皆さんのように若い時期こそ、死に向き合うことが大切です。
 社会では多くの壁にぶつかりますが、投げやりにならないでください。私自身も18年に法人化した際、登記の2日後に西日本豪雨災害が起き、20年からはコロナ禍という苦難の連続でした。それでも目標を見失わなければ、乗り越えられます。さまざまな経験をして、絶対に負けない心を得てほしいと思います。

代表取締役 / 八幡原 圭 氏 1989年6月6日生まれ。三原市出身。京都の九条ネギ農家で修行し、2015年に東広島市で個人就農。18年に法人化。23年4月から県議会議員としても活動。

私たちがインタビューしました

農業を含め、豊富な経験を積まれていると感じました。挑戦し続ける姿勢で豊かな人生を実現するだけでなく、周囲の人にも影響を与えていて、私もそんな人になりたいです。 吉實 沙希(安田女子大学4年)

 「僕のやっていることはただの農業じゃない。ちょっと特別」と言っていたのが印象的でした。言葉の通り、農業をさまざまな仕事につなげていることに驚くとともに、それらを楽しむ姿が素敵に映りました。 山﨑 未侑(安田女子大学3年)

私は将来、何をしたらいいのか不安な気持ちを持っていました。お話にあった「死ぬことから逆算する」という新しい考え方から勇気づけられます。実践していきたいと思いました。 川口 珠季(安田女子大学1年)

 自分はどう生きるべきか、考えるきっかけとなりました。人間の価値はなくならない、どこかに輝ける場所が必ずあるという八幡原社長の言葉を胸に、努力していきたいです。 下井田 萌(広島大学3年)

取材日:2023年9月

会社概要

株式会社ねぎらいふぁーむ
所在地:東広島市志和町志和西10588-20
設 立:2018年
資本金:630万円
TEL:082-401-3801
URL:https://negirai-farm.co.jp/
事業内容:青果物の生産・加工・販売・卸販売・通販事業
※2023年9月当時の情報です。