Vol.１ 株式会社大創産業
～ 地元企業５社を大学生がインタビュー ～

　学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2023年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
　第１回は、100円ショップ最大手「DAISO」を国内外で展開する株式会社大創産業。佐藤好潔取締役に、商品開発や小売り業のやりがい、物価高の影響などを聞きました。

― 事業内容は。

取締役 佐藤 好潔 氏

　１００円ショップ「ＤＡＩＳＯ」の直営・ＦＣ店を国内４２８０店、海外は25の国と地域で９６７店（２０２３年９月末時点）展開しています。出店ペースは年間約３００店。商品点数は約７ 万６０００あり、その９ 割が自社開発です。21年から新業態「StandardProducts（スタンダードプロダクツ、以下ＳＰ）」などを展開し、より幅広いお客さまのニーズにお応えするため商品力を強化しています。

― 新業態のコンセプトは。

　ＳＰは「ちょっといいのが、ずっといい」がコンセプトです。シンプルなデザインかつ落ち着いた色展開に特化し、コーディネートしやすい生活用品を取りそろえていてオールターゲットを掲げています。くすみカラーなどトレンドを取り入れ„大人かわいい〝を追求するブランド「ＴＨＲＥＥＰＰＹ（スリーピー）」は「あいらしい。そして私らしい。」をコンセプトに心躍る日用品を取りそろえています。
　主力のＤＡＩＳＯは、子どもから大人までの生活用品をいつでも手頃な１００円から販売しています。それぞれのブランドのテーマ、コンセプトを分けることで、より多くのお客さまのニーズにお応えできればと考えています。

― 商品開発の工夫は。

　毎月約１２００点もの新商品を生み出しています。商品開発のためには広い視野が大切で、お客さまの好みやニーズ、市場を調べたりするほか、普段の生活の中からヒントを得るように意識。そして、商品化に至るときに最も重視すべき点は安全性です。取引先さまとの商談の際はさまざまな形、色、サイズのサンプルを用意します。 　近年はキャンプブームを受け、キャンプ用品の企画や、関連の便利グッズなどをそろえた売り場作りにも力を入れています。年間を通じたさまざまな行事では、菓子作りやラッピング関連の商品が人気なので、毎年多くの新商品を投入。常に半年先、１年先を予測しながら、商品を考え、それらを売り場でどのように魅せられるかを考えています。

― 円安や物価高騰などの影響は。

　やはり影響は受けており、当社の強みである１００円という価格を保つことに試行錯誤していますね。１００円という価格を維持するために、産地変更やパッケージの簡素化など徹底的に見直しています。食品も量目変更などを行っています。他にもさまざまな工夫を通じて、１００円で販売できるようあらゆる企業努力を行っています。海外では利益率を保てているので、競争力を上げていきます。

― 社会貢献活動の目的は。

　当社では女子駅伝部があり、「天皇盃全国男子駅伝」のメインスポンサーとしてもスポーツイベントに協賛しています。女子駅伝部では、大会での活躍だけではなく、小中学校を中心に陸上教室や記録会を行うなど地域貢献活動も積極的です。
このほか、障がい者の社会参加・経済的自立を目的としたパラリンアートの支援など社会貢献活動を行っています。実際に障がい者アーティストがデザインしたものを商品化し、売り上げの一部を寄付するなど事業活動を通じて社会に貢献する責任を果たしています。このような活動はお客さまや、地域・社会への恩返しでもあります。

― 求める人物像は。

　素直で、前向きで、勉強好きであることです。良いと思ったことを行い、悪いと思ったことはやらない。良かったこと、悪かったことの理由を考え、「なぜ」を追求してほしい。また、「学ぶ」という言葉は「まねぶ」からきています。まねして自分のものにでき、貪欲に周りから学ぶことができる人は貴重です。失敗を恐れず、あらゆることに挑戦することで、企業理念にもある「自由な発想」ができると考えています。そして、会社と価値共有ができることも大切です。同じ方向を見て、それぞれの考え方や個性を生かしてほしいと思います。