Vol.2 ミクセル
~経営理念の共感へ 社内体制の整備、自ら考え動ける組織づくり~

★☆★広島県における「働きがいのある会社」優秀企業★☆★

GPTW22年版広島県における「働きがいのある会社」優秀企業

 広島県は、「働きがい」の民間専門機関であり、世界60カ国以上で従業員意識調査を行うグレート・プレイス・トゥー・ワーク(GPTW)の「働きがいのある会社」調査に参加する県内企業に対して2021年度から、調査費の助成事業を行っています。本連載では、GPTW22年版広島県における「働きがいのある会社」優秀企業に選ばれた5社の取組を紹介します。

01. 働きがい向上に取り組んだ背景

現場が自ら考え動ける組織へ

  大学病院などの研究施設向けに、研究用機器や試薬の販売、各種コンサルなどを手掛ける。2008年の創業から順調に売り上げを伸ばしてきたが、テクノロジーの発展とともに顧客の商品購入方法や情報の集め方が多様化し、通り一遍の営業では通用しづらくなっていた。会社の持続的な成長に向けて、現場の社員一人一人が自ら考え臨機応変に動ける組織になる必要性を感じ、働きがいを軸とした社内体制の整備に乗り出した。また、少子高齢化で労働人口が減り、特に中小企業は人材確保が難しくなっている。社長の島幸司氏は「採用力の強化のためにも働きがいは重要です。ミクセルで働いたら世の中の役に立てると選んでもらえる会社にしたい」と話す。

02. 働きがい向上の主な取組と工夫点

理念への共感と評価制度の見直し

 経営理念は「人々の健康な日々と大切な人の笑顔のために、自らの心と力を磨き、新しい価値づくりに挑み続けます」。これに基づき行動すればおのずと成果につながり、評価される組織を目指した。理念を見返す場や互いにディスカッションする機会を定期的に設け、理念に沿って行動した成功事例などを共有し、理解を深めている。島氏は「経営理念はきれいごとで、現場では思い通りにいかないはずだと感じていた社員さんもいたので、理念の大切さを本当の意味で理解してもらうのには時間を要しました。重要なのは理念の〝浸透〟ではなく〝共感〟です。浸透という言葉は自分が正しいということが前提になっており、思い通りにいかない場合に『なぜ分かってくれないのだろう』と相手を責める気持ちになりがちです。しかし、共感を意識すると『共感してもらえないのは自分の言動に原因があるのではないか』と、自分に目がいくようになりました」と振り返る。
 また、「経営理念が大切と言いながら、業績や成績だけで評価していたら、いつまでたっても理念の重要さが伝わらない」と気付き、人事評価制度を理念に基づいたものに再設計した。併せて、360度評価で社員同士が互いに評価し合う仕組みを導入したところ、理念に基づいて行動した社員の方が営業成績も良い傾向が分かった。以前は従来と同じやり方を踏襲すれば良いという価値観や、面倒だからやらない、利益が取れるからやるといった判断基準が社内にあったが、経営理念を軸にサービス内容や業務の見直しが進むようになってきた。  

課題の原因をたどる力を育む

 社員の課題解決能力の育成に注力している。会議などで問題点を構造図やチャートに落とし込んで表現し、どの要素が真の問題なのか仮説を立てて解決策を考える取組を行っている。図に示すことで社員全員が視覚的に問題と原因の因果関係が見えるようになるという。島氏は「理念に共感する力が育っても、目の前にある課題を解決できない限りお客さまの役に立てませんし、業績も上がりません。何か問題があった時に根本原因をたどる力、物事の因果関係をたどる力を社員さんに身につけてもらいたい。私は、自分が誰かの役に立っていると感じることこそが働きがいにつながるのだと思います。役に立てたという自己肯定感を得るには社員さん自身のスキル向上が必須であると思うからこそ、育成に力を入れています。そして成長意欲を持つためにはビジョンへの共感が必要です。このように全てが関連していると思います」と話す。


全社一丸で課題超え挑戦するマインド醸成

 社員が出先からでも仕事ができるように基幹システムを含む社内の全システムのクラウド化に着手した。当初は必要性に懐疑的な声もあったが、コロナ禍で一気に開発に向けた動きが加速。何事にも挑戦するマインドを醸成したいとの島氏の思いがあり、システム会社に外注して丸投げにせず、外部コンサルタントの協力を得ながら全社一丸でシステム構築に取り組んだ。何か問題に直面した際、以前はチャレンジする前から無理だと諦めてしまうケースが多かったが、取組を進める中で社員たちのITリテラシーが高くなり、前向きな意見も出るようになった。元々は子育て中の社員が少しでも働きやすい環境にするための取組だったが、コロナ禍で全国的にオンライン化が進み、顧客フォローなどで新たなシステムが大いに役立ったという。今回の取組が社員たちの成功体験となり、次の挑戦を後押ししている。


03. 取組の中で感じた難しさや課題

意識改革が最大のテーマ

 長時間労働が美徳という意識が根強く、短い時間で生産性を高めることの重要性を認識してもらう必要があった。島氏は「特に幹部を中心に家庭そっちのけで働く傾向にありました。それだと部下たちの価値観は変わりません。だからといって、早く帰る人ばかりを集めれば良いのかと言うとそれは違っていて、大切なのは頑張りたいという社員さんたちが集まり、その情熱やエネルギーを生産性向上に向けることです。私たちが世の中に提供したい価値や理念に共感してくれる人たちを仲間にしていきたいです」と話す。

04. 働きがい向上の効果や成果、社内の変化

 GPTWの「働きがいのある会社」優秀企業に選ばれ、島氏は「外部評価を得たことで、これまでやってきたことに自信が持てました。『働きがいのある会社』として新聞に掲載され、何人かの社員さんは親から連絡をもらったと聞いています。ここ数年、業績も毎年10%以上伸びています。外部環境の要因もありますが、社員さんたちのネガティブな会話がなくなり、愚痴を言う前にどうやって改善するかにエネルギーが向くようになった結果だと思います」と評価する。

05. 目指すべき姿・展望

大家族主義で働きがい構築

 島氏は自社の展望をこう語る。「ミクセルで働くことで幸福感や充実感を得てもらいたいです。そのためにも今まで以上に社会に貢献できる事業やサービスづくりに挑戦します。今後もっと会社を大きくしていく中でこの社風を維持するには、今やっていることをいかに仕組みとして落とし込めるかが重要です。極論、私がいなくなっても続けられるように仕組み化していく必要があります」。
 また、より良い会社をつくるために大家族主義を掲げ、社員が会社に子どもを連れて行きたいと思うくらい安心な職場環境を目指している。「経営理念の前では私も社員さんも理念を実現するための一人のスタッフに過ぎません。ただ役割が違うだけで自分が偉いと思ったこともないですし、若手の社員さんとは年齢が20歳以上離れていますが、仲間という意識が強く、家族として社員さんを迎えています。迷惑かもしれませんが、社員さんに子どもが生まれると必ずお祝いを持って会いに行きます。生まれて間もないお子さんを抱っこした瞬間、この子のためにも一層頑張らないといけないなと強く感じます」と話す。

社員の声

本社 広報・採用担当 / 岡田 典子氏
 全員が自分の意見や目的を持って仕事に取り組むようになりました。社内で問題が発生した時も、まずは経営理念を基準にどう解決すればよいか一人一人が考え行動しています。また、ミクセルは女性が働きやすい環境も整っており、みんなで子育てを応援してくれる風土があります。この風土や自分の仕事が社会の役に立てているという充実感、自己肯定感が全て関連し合って働きがいにつながっています。GPTW「働きがいのある会社」優秀企業に選ばれたときは飛び跳ねるほどうれしかったです。

取材日:2022年6月

会社概要

株式会社ミクセル Mixell inc.
所在地:広島市中区富士見町8-7
URL:https://www.mixell.co.jp/
業務内容:医療・理化学機器、試薬、消耗品の製造、販売他
従業員数:31人(男性15人、女性16人パート含む)

情報提供:広島県
(働き方改革・女性活躍発見サイト「Hint!ひろしま」http://hint-hiroshima.com