[防水工] 建物の耐久性を高める防水処理の工事技術者

地場建設産業の担い手に聴く!11

vol.11  防水工
柴田勲さん
灰重工業株式会社

―防水工とは、どういったことをするお仕事ですか。

 一言で言うと、建物に雨や水が浸入することを防ぐ仕事です。住宅、マンション、ビルなどで、直接雨のかかる屋根や屋上、ベランダ、窓サッシの周り、外壁ボード、キッチン・トイレ・浴室などの水まわり部分など、あらゆる場所の防水工事を行います。
 防水手法はさまざまで、それぞれの場所や状況、環境などに合わせて、塩ビシートを張ったり(シート防水)、塗膜防水、アスファルト防水、浸透性防水などの工事を施します。材料が変わればやり方も違ってきますから、常に勉強が必要です。
 必要な技能は、現場で働きながら身に付けていきます。経験とさまざまな人との情報交換などを通して、手法を見極めていきます。現場に入ると、他社の業者さんもたくさんいるので、学ばせていただくこともあります。

―自己紹介をお願いします。

 防水工として27年。前職は調理師でした。和食の店で働いていたのですが、バイク事故をきっかけに、昼の仕事に転向したいと考え、ちょうど誘ってくれる方がいたこともあり、業界入りしました。1995年の阪神・淡路大震災が起きた時で、何も分からないまま神戸の震災復興の現場に連れて行かれ、現場にいた3カ月の間に、外壁補修など、防水工事の基礎を学びました。1級防水施工技能士資格などを所持しています。

―防水関係の資格について教えてください。

 防水施工技能士(1・ 2級)という資格があります。この資格は、防水工事の施工技術を認定する国家資格です。防水工事の仕事に就くにあたり、資格は必要ないのですが、資格取得により自身の知識・技術の向上と、対外的な信用獲得へとつながります。シーリング防水、ウレタン防水、アスファルト防水など、工法ごとに資格が認定されます。

―仕事上の苦労があれば教えてください。

 ほとんど戸外の作業ですから、一定の体力が求められます。夏は暑く、冬は寒い。雨が降れば作業できない。風が強い時はシートが飛ばないように気を付けなければならない。天候と闘いながら、工期内に完了させることが求められます。また、防水の仕事は幅が広く、次から次に新しい材料が出てくる上、役所関係の決まり事なども変わりますから、それらを覚える必要があります。
 当社の場合、多いのはハウスメーカーからの一戸建てやアパートなどの新築工事で、その合間にいろんな改修工事が入ります。新築の場合はそこまで苦労することはないのですが、難しいのは人が住んでいる家で雨漏りした時に、どこから漏れているのかを突き止めることです。ごく小さな穴が開いていてもそこから水は漏れます。雨漏りの箇所が分からないケースは少なくありません。工事しても、大雨が降るまで確認できないこともあり、容易ではないですね。

―どのような時にやりがいを感じますか。

 この仕事は、水を漏らさないのが当たり前。最終的に問われるのは仕上がりの良さです。プロの仕事を見せることができた時の満足感や達成感は大きく、誇りを感じます。きれいに仕上がり、関係各所から「仕上がりがとてもきれいだね」、「仕事が早いね」などと評価されると、この上なく充実した気持ちになれます。
 防水は、家の中全てに関わる仕事であり、同じことを流れ作業的に行う仕事とは違う魅力もあります。常に新鮮な仕事に出会え、やっていて飽きないのがこの仕事の魅力です。

― 仕事に興味を持った方へのメッセージがあればお願いします

 防水工と聞いても、ピンと来ない方が多いと思いますが、実際に仕事をしてみるととても面白い職種です。未経験でも心配ありません。先輩のサポートを受けながら現場で経験を重ねていくことで、必要な知識や技術を学ぶことができます。人と違うことを求めている方にはぜひお勧めしたい。未経験だからと不安に思わず、チャレンジしてみてください。

                                                   

 

会社概要

灰重工業株式会社
所 在 地:広島市西区観音新町1丁目7-24
事業内容:防水工事業
創  業:1912年4月

(2021年1月現在)

情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課