〝日本の酒〟に特化
価値で戦う経営にシフト
株式会社酒商山田
小売りと卸で酒類業界を活性化
〝日本の酒〟に特化した独自の成長戦略を推し進めている。100周年を見据え、「伝統を超え、未来をつくる」を新たなビジョンに掲げた。酒造・酒販・飲食の酒類関連業界の持続可能な未来に挑戦する。2026年4月には倉庫併設の新社屋へ本社機能を集約し、業務をスタート。価値で勝負する経営を掲げ、拡大路線へかじを切る。
直営店がけん引
新社屋は敷地213平方㍍に4階建て延べ672平方㍍規模を整備。効率的で快適に働ける環境に配慮し、大型冷蔵プレハブを備えるほか、リモート対応の会議室や社員がくつろぎ交流できるサロンも備えた。
現在、蔵元やワイナリー500社以上の7000アイテムを扱う。地域に根差す銘酒やこだわりの酒を発掘し、定評のある品ぞろえに加え、独自の売り場づくりや販売戦略が業界で注目される。直営店は広島市内4店と東広島市の酒都西条店、福山市の酒のマエダ店のほか、都内は日本最大級のデパ地下に改装した西武池袋本店と、百貨店直営の酒売り場を引き継いだ京王百貨店新宿店内に次ぎ26年度内に3店目を予定し、計9店舗となる。このほか提携で大阪のエディオンなんば本店と心斎橋店。
26年3月期決算売上高は18億9000万円の5期連続増収を果たし、売上比率は直営店65%、飲食店向け20%、卸15%。27年3月期で初の20億円突破を見込む。
地域の食文化を支える
気候や風土、その土地に住む人が育む伝統の酒。地域の食文化に不可欠だ。しかし、酒類販売量は減少傾向をたどり、規模の小さな蔵元が伝統の幕を閉じている。
蔵元と酒販店が同時に活性化し、新たな収益源となるよう16年に立ち上げたプロジェクトが「コンセプトワーカーズ・セレクション(CWS)」。酒類卸売業免許も取得し、選りすぐり銘柄を独自の日本酒シリーズとして全国の酒販店に卸す。ゆくゆくは酒米農家も共に潤う仕組みを目指す。こうした〝異質化戦略〟が都心で勝負する実力を養った。
現在、41蔵が参画、企画・開発したオリジナル酒は百数十種近い。小売りと卸の両輪で、新たなニーズも創出。多くの蔵元を訪ねた山田社長は、「日本の酒の底力をインバウンドに沸く都心からも発信していきたい」と新たな商圏も見据える。
価値で戦う
酒商山田は1931年に創業。山田社長が1989年、実家に戻った当時、年商は約1億5000万円。借入金の返済金利に追われ厳しい状況だった。どう立て直すか。翌年、日本の酒をテーマに〝存在価値のある会社を創る〟と決意。その後、ドミナントによる成長戦略、コラボやアライアンスによる業界の活性化など次々と新機軸を打ち出した。
日本酒の出荷量が落ち込む逆風に立ち向かうように業績を伸ばしてきた。新たな需要を生み出した決め手は何か。「原料や製造方法等の違いで吟醸、純米、本醸造等に分類される〝特定名称酒〟に着目した。実働する約1000酒蔵の95%以上が中小や個人。そうした小さな蔵のこだわりや情熱が個性ある酒造りを支え、豊かな食文化を醸成する。価格競争から抜け出し、価値で勝負することにした」。日本の酒を伝えていく。使命が定まり、戦略の軸ができた。
100周年のテーマは「100蔵と未来を醸す」。酒類業界の未来に明かりをともす経営を展開していく。
会社概要
株式会社酒商山田
本 社:広島市南区宇品海岸2-10-7
設 立:2004年7月(創業1931年1月)
資 本 金:1000万円
売 上 高:18億9000万円(2026年3月期)
従業員数:78人(パートなど含む)
事業内容:酒類小売・卸売
T E L:082-251-1013
U R L:https://sake-japan.jp/
※2026年9月当時の情報です。



