Vol.4 株式会社豊国プラントシステム
~ 地元企業5社を大学生がインタビュー ~
◆◇◆「東広島ではたらこっか」東広島市学生インタビュー企画【2024】◆◇◆
学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。県内外の大学生が2023年の夏、東広島市の企業を訪問し、インタビューしました。
第4回は、穀物乾燥機・貯蔵設備の製造などを手掛ける株式会社豊国プラントシステム。黒岩 健博社長に、働き方改革やリスキリングの取り組みなどを聞きました。
― 会社の歴史について。
ホウコクホールディングスグループの中核を担う豊国工業からの事業分割で、2010年に誕生しました。豊国工業は1957年、水門の製造販売を手掛ける企業として広島市で設立し、69年に東広島市へ移転。当社が現在扱う穀物乾燥機の製造を始めてから、2024年に60周年を迎えます。
― 会社の強みはなんですか。
大規模農家向けの設備や大型の共同乾燥調整施設など、これまで多くの実績を積み重ねてきました。クライアントの要求を的確に把握し、機械の設計から製作、据え付け、試運転までを一貫して手掛けているからこその「質の高いものづくり」が大きな強みだと考えます。農家の方が丹精込めて作った米を品質を保ちながら貯蔵し、ロスなく市場まで届ける。ニッチな分野ですが、日本の「農業」と「食」を支える重要な役割を担っており、社員は仕事に誇りややりがいを感じてくれています。
― 製品の特長を教えてください。
主力製品に常温定湿乾燥システム(DAG)があります。従来の火力を使う乾燥方法と違い、空気中の水分を除去して一定の乾いた空気を送って緩やかに乾燥させるシステムで、自然の風味を損なわず本来の味を引き出すことができます。多くのメーカーが火力乾燥方式を展開する中、差別化が図れています。
― 会社として心掛けることは。
故障などに迅速に対応することです。当社の機械にトラブルがあれば当然、米の品質が劣化してしまいます。人手不足や環境への対応も進めています。火力乾燥方式では人が24時間体制で管理しないといけませんが、DAGは火を使わないため、関わる人員や二酸化炭素の発生を減らすことができます。近年の環境意識の高まりを追い風に、今後も提案に磨きを掛けていきたいです。
― 働き方改革やリスキリングの取り組みについて。
18年に広島県働き方改革実践企業に認定されたほか、22年にはリスキリングの推進を宣言しました。限られた人数で事業を続けていくためには、今いる社員一人一人の成長が求められます。日々の業務でも成長はするのですが、その度合いをさらに高めていくのが目的です。
具体的なリスキリングの取り組みの一つに、情報技術の基礎的な知識を身につけられるITパスポートの取得があります。人間が行う業務の多くはこれからAIに奪われ、仕事を失う人もいるでしょう。そこでITに詳しくなると、当社であれば機械を制御するプログラムの仕事ができるようになります。
働き方改革の事例では、朝礼を夕礼に変更しました。上司が夕方に部下の業務量を確認することで、無駄な残業の抑制につなげています。以前は残業が多いほど熱意があるという社内風土もありましたが、皆で効率的に仕事を進める意識が根付いてきました。
― 女性の活躍について。
従業員59人中、10人が女性です。少ないながらも徐々に増えているので、女性が活躍できる環境づくりを進めています。
現場で働く女性社員に話を聞いたところ、入社前は男性が多く厳しいイメージを持っていたそうです。しかし実際は全くそんな雰囲気はなく柔らかい社風で安心して働けるという、うれしい声が上がっています。
― 会社の雰囲気は。
総じて真面目で穏やかな人ばかりですが、やる時はやる社風です。設計担当者は仕事柄、物事を突き詰めるタイプが多いですね。各社員がプロ意識を持ってくれているおかげで、会社もここまで成長できました。
組織には、さまざまな人がいます。例えば事務の仕事に誇りを持って、細かい部分まで徹底しないと気が済まない人もいれば、そうした作業は苦手という人も。私は社長として日々、皆がそれぞれの得意分野を磨き、伸び伸び働ける会社をつくっていきたいと考えています。
― 学生にメッセージを。
社会に出ると、正解がない中で自ら考える力や臨機応変な対応力が求められます。一番良くないのは、何もしないことです。最近の若い方は、挑戦して失敗することを過剰に恐れているように感じます。学生のうちに挫折など、さまざまな経験を積んでもらいたいです。
また趣味があれば就職してからも続けてほしい。ストレスや重圧から身を守ってくれます。昔、お世話になった先輩がよく「仕事は楽しく、遊びは真剣に」と言っていました。この言葉は、豊かな人生を送るために大切なこととして私の心に刻まれています。皆さんもぜひ覚えておいてください。
代表取締役 / 黒岩 健博 氏 1971年4月1日生まれ、鹿児島県出身。鹿児島大学農学部を卒業し、94年豊国工業株式会社に入社。プラント設計、営業などを経験。2010年豊国プラントシステムへ転籍し営業工事部長を経て22年から現職。
私たちがインタビューしました
とても緊張しましたが、黒岩社長が優しく話してくださったので安心してインタビューができました。女性社員の方ともお話させていただいたのですが、いきいきとした姿が印象に残っています。 吉實 沙希(安田女子大学4年生)
社会人になると仕事ばかりで自分の時間はほとんど削られてしまうものだと思っていたのですが、黒岩社長のお話を聞いて、仕事を始めても趣味の時間を大切にしたいと思いました。 山﨑 未侑(安田女子大学3年生)
社員の方々が働きやすい職場を提供するため、さまざまな取り組みがされていました。失敗を恐れずに行動できるようになるために、学生のうちにたくさんの経験を積んでおきたいです。
山口 莉穂(広島大学3年生)
取材日:2023年9月
会社概要
株式会社豊国プラントシステム
所在地:東広島市西条町御薗宇6400-5
設 立:2010年
資本金:2000万円
URL:https://www.hokoku-kogyo.co.jp/plant/
事業内容:農産施設の搬送・乾燥・貯蔵設備の設計・製造・アフターサービスなど
※2023年9月当時の情報です。