Vol.2 現場で活躍する女性技術者・技能者特集[株式会社フジタ]

【広島商工会議所】地場建設産業の担い手に聴く!

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地域インフラ整備 ・ 維持の担い手であり、地域社会の安全 ・ 安心の確保を支える国土・地域の守り手でもある建設業は、我が国の基幹産業として重要な役割を果たしています。建設現場の最前線で活躍されている様々な職種の建設職人や技術者にスポットを当て、地場建設産業の魅力の一端をご紹介します。(広島商工会議所建設業部会)

株式会社フジタ 建築本部 設計統括部 広島支店 設計部
田中 友望さん

―どういったお仕事をされていますか。  意匠設計という職種で、建物の企画・提案や設計、現場の工事監理の業務などを主に行っています。
 建築設計は、意匠設計、構造設計、設備設計の3つに大きく分けられます。建築物の構造にかかわる部分を設計し、梁や柱などの配置を計画するのが構造設計で、空調や電気、給排水などの設計を担うのが設備設計です。意匠設計は、施主からの要望を聞き取り、建築デザインや間取りを計画し、構造設計や設備設計の担当者に伝えて設計に反映する、いわば全体のまとめ役です。

―自己紹介をお願いします。  2015年に入社し、現在8年目です。今は、多くの企業と協力して、ある大きな建築コンペに取り組んでいるところです。
 これまでで一番思い出に残っているのは、昨年9月までの3年間に担当した下関市の大型病院の案件です。最初の設計段階から工事監理まで大きなプロジェクトを一通り経験できたことは今後の糧になると思います。工事監理というのは、現場が設計図通りに進んでいるか、間違いなくできているかを監督管理する業務です。コロナ禍で上司が頻繁に現地へ足を運ぶことが難しい状況でもあり、施主との打ち合わせを密にするため完成までの最後の一年間は私一人で下関の現場に常駐しました。
 仕事で特に気を付けているのは、施主の要望がきちんと反映されているか、予算内で成立し、工期通りに進んでいるかなどです。例えば、壁や天井などの材料を決める物決めは、施主と打ち合わせしながら決めていきますが、工期に影響が出ないように努めました。結果的に遅れが出なかったのは、嬉しいことでした。また、出来上がってから本当はこうしたかったと言われるのはつらいので、そうならないように「楽しく、話しやすく」を普段から意識して、相手の意見や思いを極力引き出すよう努めています。
 このような大型案件を任せていただけたことは、本当に勉強になりました。もちろんプレッシャーもあり、ミスをしてしまわないか、怖かったのですが、一人で抱え込まないよう、些細なこともそのつど報告・相談をして、周囲と密に連携をとるよう心掛けました。現場の方や設計チームなど、周りの多くの方々に支えてもらいました。

―建設業界を目指したきっかけを教えてください。  小学生のころから建物に興味があり、マンションなどの間取りを見るのが大好きでした。そのままブレずに成長し、大学では建築系のデザイン学科で学びました。ゼネコンへの入社を決めたのは、病院の設計をしたいと思ったからです。入社後は、勉強のために県外の病院見学などにも行かせてもらいました。 

―男性が多い環境で働きにくさなどはありませんか。  現場で女性は少数でしたが、働きにくさを感じたことはありません。力仕事以外では全く平等で、怒られる時も女性だから優しくなどということはありませんでした。自分としては、女性だからと特別扱いされることは不本意なので、そこは良かったと思います。 

―どのような時にやりがいを感じますか。  施主の信頼を得られ、本音で話してもらい、担当者として頼られることが何よりも嬉しいです。また、建物の外壁が出来上がって足場が外れた瞬間、一般の方が初めて建物を目にし、一気に注目を浴びます。誇りに思えるのと同時に、喜びとが押し寄せてきます。頑張ってやってきて良かったと思える瞬間です。 

―建設業界に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。  今は女性技術者も増え、随分働きやすい環境になっていると感じています。男性社会だから建設業界に入るのは怖いなどとは思わず、やる気さえあれば何でもできるので、ぜひ目指して欲しいと思います。地図に残るもの、形に残るものを作る、特殊なものづくりであり、胸を張ってこれを私が作ったと言える素敵な職種だと思います。私自身、毎日の生活が楽しく、すごく充実しています。 

 

会社概要

株式会社フジタ広島支店
所 在 地:広島市中区幟町13-15
事業内容:総合建設業
創  業:1910年12月

(2022年10月現在)

情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課