不動産領域で事業拡大
経営者育成しM&A加速
株式会社第一ビルサービス
60周年の23年に連結売上200億円達成
ビルメンテナンスの第一ビルサービスを中核に約20社で構成する、みどりホールディングス(HD)グループ。本業を柱に病院内給食や介護施設運営など多角化を進め、2012年から10社超をM&A(合併買収)し、事業を拡大している。連結売上高205億円を達成した。
グループは23年に60周年を迎え、新体制に移行。中核会社の第一ビルサービスは杉川聡社長が会長に、坂根紳也取締役が社長に就任。長男の杉川綾取締役が専務に昇格し、3代表制とした。10年後の目標として、第一ビルサービス単独で売上高を倍の160億円、グループ全体で5倍の1000億円を掲げた。
創業来継続成長 指定管理は中四国最多
主力のビルメンテナンスは創業以来継続して右肩上がり。中でも、公共施設の指定管理は中四国で最多を誇っており、最近では施設の管理だけでなく物販などへも事業領域は広がっている。東広島市の道の駅「西条 のん太の酒蔵」は約4000平方㍍の平屋に物販コーナーや飲食店テナントが入る。さまざまなイベントなどを仕掛け、集客を図っている。このほか、廿日市市吉和の「広島県立もみのき森林公園」の管理を受託。24年4月にリニューアルオープンさせた。
島根県で温泉施設も運営
島根県では、150年の歴史ある美又温泉(島根県浜田市)の観光ホテル・温泉と、旭温泉(同市)の施設を運営。その近隣では温泉リゾート施設「風の国」(同県江津市)や、「はまだお魚市場」(山陰浜田港公設市場)も運営しており、各所を巡る観光プランを企画。エリア一体で集客を図る。美又温泉は「美人の湯・美肌の湯」として知られ、近隣の観光スポットを巻き込んで発信していく。
M&Aを加速 経営者発掘へ
グループでは今後もM&Aを加速させていく方針で、経営陣の育成・発掘に努めている。24年2月からは、経営者を目指す個人が中小企業を発掘し、出資者の支援を受けて自らが経営に参加する「サーチファンド」の手法を活用したM&Aを始めた。同社ではこれまでM&A専門会社や金融機関などを活用してきたが、この手法により経営を希望する個人へも提携先を拡大。社内で経営者人材を育成するのと、サーチファンドの両輪で経営者人材の確保を図る。
杉川聡会長は「不安定な世の中で、個々の力が試される時代になってきている。各々が前向きな気持ちを持ち、切磋琢磨しながら自らの力を高められるよう体制を整えます。時代の変化に恐れずに挑戦し、進化し続ける会社になりたい。『みどりグループ』は多くの方々に支えられ、23年に60周年を迎えました。今後も広島を拠点に地元で愛され、信頼していただき、地域に貢献できる企業グループに邁進したい」と話す。
九州エリアへ進出
客足の低迷した施設を引き継ぎ、再生させるといった事業を中四国で展開してきた同社。22年5月には福岡県の建設会社をM&Aし、九州に進出。中四国での実績が呼び水となり、九州エリアでも問い合わせが増えているという。今後、不動産関連事業のノウハウを九州でも生かしていく。
会社概要
株式会社第一ビルサービス
本 社:広島市中区大手町5-3-12
設 立:1963年7月
資 本 金:3000万円
売 上 高:79億円(グループ205億円、2023年6月現在)
従業員数:1051人(2023年6月現在)
事業内容:不動産総合サービス業
T E L:082-248-1601
U R L:https://www.midori-gr.com/daiichibs/
※2024年9月当時の情報です。