広島ドラゴンフライズ 浦 伸嘉 社長 インタビュー
◆◇◆ 県下プロスポーツチーム監督・経営者の「リーダー論」 ◆◇◆
「プロ=組織人」の哲学 目標達成へ役割を徹底

野球やサッカーをはじめ、さまざまなプロチームを擁するスポーツ王国・広島。勝敗をはじめ、選手マネジメントやクラブ経営に監督、経営者はどのように向き合っているのか。『広島経済レポート』より、県下4チームのリーダーたちに思いを聞いた「リーダー論」をシリーズでご紹介します。
第3回は、広島ドラゴンフライズ 浦 伸嘉 社長に新リーグ参入への進捗やチームの経営、組織での役割などについて思いを聞きました。
国内最高峰のB1リーグに所属するプロバスケットボールチームを運営。リーグ優勝を目指す一方、大規模再編後の新リーグへの参入に向け売り上げ、入場者数、アリーナの3条件をクリアしなければならない。目標達成へ、クラブをまとめるための組織論について聞いた。
- 新リーグ参入への進ちょくはいかがですか。
広島ドラゴンフライズ / 浦 伸嘉 社長
- 入場者を増やす工夫は。
観戦・応援したいと思われる「クラブの価値」を高めることが必要と考えています。そのために勝利はもちろん、支えてくれる地元への貢献も重要。昨年7月には、カープやサンフレなどの選手も巻き込んで折り鶴と平和へのメッセージをつなぐ「おりづるリレー」を実施。社長に就任した16年から「広島に、バスケでつながる風景を。」を掲げ、クラブ一丸で取り組んでいます。
- 今季のチーム成績は好調です。
3月16日現在で、西地区3位とプレーオフ進出の射程圏内。選手たちは優勝に向けて頑張ってくれています。バスケは団体競技で、それぞれが自分の役割に徹しなければ勝てません。私は「プロフェッショナル=組織人」だと思います。個人で限界があることを、組織として各自が与えられた役割を全うすること。選手たちは今、チームという組織の中で、個々がプロとして自分の役割を全うしており、組織力が高まっている。それが成績に反映されているのではないかと思います。
- 組織での社長の役割は。
正しい情報を収集・判断して経営に生かすことだと思っています。創業から約5年間社長と兼務した、人事やチーム方針策定などを担うゼネラルマネジャー(GM)を21年3月に退任。設立時は経営知識のある適任者がおらず、兼任によって円滑に意思決定できるメリットもありました。しかし、GMとして選手の契約金を上げたいが、社長として予算を切り詰めたいなど逆の立場を兼ねることがありました。役割を果たせないと感じた時に、選手・スタッフとしてクラブ在籍経験があり、経営学修士課程で学んでいた岡崎現GMに交代。今は経営の根幹となる事業に時間を割けています。同じように適正な経営判断ができなくなったり、自分より適任な人材が現れたら、潔く退くのも社長の役割。しかし、優勝や新B1参入など達成しなければならないことは多い。組織の一員として社長の役割を全うしつつ、今季のチームスローガン「頂」を目指してまい進します。
プロフィール浦 伸嘉(うら のぶよし)1980年10月1日生まれ、広島市出身。美鈴が丘高校、大阪商業大学を卒業後、新潟アルビレックスBBなどでプレー。2007年に引退し、16年から現職。
広島経済レポート 2023年3月30日号掲載
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