ヴィクトワール広島 中山 卓士 監督兼社長 インタビュー

◆◇◆ 県下プロスポーツチーム監督・経営者の「リーダー論」 ◆◇◆

監督と社長の両輪回す 異なる役割で一つの目標へ

ヴィクトワール広島 中山 卓士 監督兼社長|県下プロスポーツチーム監督・経営者のリーダー論|広島経済レポート

 野球やサッカーをはじめ、さまざまなプロチームを擁するスポーツ王国・広島。勝敗をはじめ、選手マネジメントやクラブ経営に監督、経営者はどのように向き合っているのか。『広島経済レポート』より、県下4チームのリーダーたちに思いを聞いた「リーダー論」をシリーズでご紹介します。
第4回は、ヴィクトワール広島 中山 卓士 監督兼社長に話を聞きました。

中四国地方初の自転車ロードレースのプロチーム監督と、運営会社社長を兼務する中山卓士氏。それぞれに適した役割で組織を束ね、同じ目標の達成を目指すリーダー論について語ってもらった。

- 監督として心掛けていることは。

ヴィクトワール広島 中山 卓士 監督兼社長|県下プロスポーツチーム監督・経営者のリーダー論|広島経済レポートヴィクトワール広島 / 中山 卓士 監督兼社長
 選手に対して口を出し過ぎないように気を付けています。私が第一線にいたのは10年前で、知識や理論は日々進化している。彼らは一人一人が現役のプロであり、アドバイスは不要と考えています。とはいえ、ロードレースでは選手同士連携が成績に大きく関わる上に、選手は12人中8人が25歳以下と若く、まとめ役は必要。実際に、コロナ禍当初は選手間の意思疎通が取れず、連携不足で成績も振るいませんでした。そこで昨季からキャプテン制を導入し、実力・経験豊富な阿曽圭佑選手を指名。率先してチームをまとめてくれています。彼にはキャプテンとして誠意を持って話すこと、目的を明確に伝えることを指示しています。人望が厚いこともあり、他の選手をよくまとめてくれて戦術の幅も広がりました。その結果、昨季は国際試合のステージ優勝や若手選手の新人賞獲得など成績に表れています。

- 社長として意識していることは。
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 監督として選手に口を出し過ぎない一方で、社長としては積極的に会議に出席し、率先してアイデアを出します。ファンや地元に愛されるチームには飽きさせない工夫も大切。そのためには常に新しい取り組みが必要です。自分もメンバーの一人としてアイデアを出すだけではなく、社員の良い企画は素早く採用・実行します。例えば2月に開催した宮島必勝祈願ツアーは昨夏に入社した新人が企画してくれたものです。スポンサーのやまだ屋さんでもみじまんじゅうの手焼き体験を行い、選手、ファン、スポンサーの交流の場を創出。他にも昨季は試合観戦バスツアーやアマチュアレース大会「サイクルカップ」の開催、PRユニット「アビガール」結成など新しい試みが多く生まれました。

- この兼務を今後も続けますか。  監督と社長の兼務にこだわりはないですが、会社とチームの現状を総合的に見て、今はこの形がいいと判断しています。監督の役は良い人材がいれば任せることも必要かもしれませんね。社長としては広島で自転車人口を増やしたり、ファンを増やすなどやるべきことが多く、アイデアもたくさんある。今季は特に海外レース参加や、三原市佐木島でのホーム戦など、チームにとって大きな挑戦を多く控えています。まずはそれぞれが今の役割を全うすることで、組織で一丸となってビジョンの「日本一強く 日本一愛されるチーム」の達成を目指します。

プロフィール中山 卓士(なかやま たかし)1989年3月23日生まれ。選手時代に2009年全日本選手権U23準優勝など。15年にヴィクトワール広島と運営会社CYCLE LIFEを立ち上げた。

広島経済レポート 2023年3月30日号掲載

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