3年計画で
瀬戸内の旅を磨き上げる

これからの観光を聞く
せとうちDMO 金平京子 専務理事兼事業本部長

-コロナ禍でどう取り組みますか。

 2021年3月にDMO設立から5年。次の10年に向けて次期戦略を立てる段階でしたが、新型コロナで一変。観光客が19年並みに戻るのは、国内旅行が22年、海外旅行は24年という予測が出ています。それを踏まえ、現在3年計画を作成中です。短期的には国内誘客に力を入れ、中長期では欧米豪ターゲットという軸はぶれず、今は瀬戸内域内の観光資源の磨き上げを図ります。
 具体的には、①瀬戸内への訪問意欲を高めるデジタルマーケティング、②売れる観光プロダクトの開発や販促支援、③域内の駅や空港、観光地間の移動をスムーズにする仕組みづくり、④域内で自治体や観光事業者などと合意形成の場をつくり一体的な観光マネジメントをするなど。
 国内観光客に対しては、観光情報サイト「瀬戸内Finder」で、安心・安全な新たな旅のスタイルを発信。こうした内容を海外にもPRし、瀬戸内への長期滞在を含めて推し進めたい。

-庄原の宿泊施設「せとうち古民家ステイズ」が注目されています。

 3月までは瀬戸内域外の方が主に宿泊していましたが、コロナ禍で県内や近隣県の家族利用が増加。また、卒業旅行ができなかった学生グループをはじめ、企業研修、ワーケーションでの利用など新たなニーズもあり、稼働率は好調です。海外のように、休暇がメインのワーケーションが日本にも浸透すれば、瀬戸内地域で1カ所ではなく複数の観光地に滞在し、その間にサイクリングやアートを楽しむなど、瀬戸内ならではの滞在価値が高まるのではと思います。 

--今後注力したいことは。

 デジタルの活用を加速させ、国内観光客向けのオンラインツアーや、国内在住の外国人目線での海外向けオンライン視察ツアーなどを継続実施。口コミ効果やインフルエンサーの発信力を活用した事業にも注力し、新たな旅のスタイルを提案していきたい。また、コロナ禍で首都圏への一極集中が見直され、地方移住の動きもあります。地方創生に向け、今まさに地方の力が試される時。観光産業は、運輸や小売業など関連する業界に与える影響が大きい。旅行先を決定したり、食事や買い物をするのは、女性主導が多い。女性目線の新たな旅のスタイルを提案し、観光産業に女性活躍の場をさらに広げ、瀬戸内全体のイメージアップにもつなげたいですね。 

【プロフィール】
東京都出身。豪シドニー大卒。ウォルト・ディズニー・ジャパンや英国政府観光庁などに勤め、マーケティングやブランディングなどを経験。2019年から現職。