《広島再開発》サカスタ・ヒロパ開業へ 中心部の回遊性向上③

□■━━━ 24年の地域経済③|広島経済レポート ━━━■□

旧市営基町駐車場一帯の再開発

所在地 / 中区基町12-3ほか(地番) 施行面積 / 約1万平方㍍
─── 27年度に高層複合ビル完成 ▲地域のエリアマネジメント団体と協力し、新たなにぎわいと交流の拠点を創出。

▲ホテルやオフィス、商業施設、広島商工会議所などが入る高層複合ビル。
 旧市営基町駐車場の解体工事が昨年12月14日から始まり、建設工事が本格始動した。
 新設するのは高層棟、変電所棟、市営駐輪場棟の3棟。高層棟は地上31階・地下1階建てで、上層部に広島初進出となるラグジュアリーホテルの誘致を計画。中層部は市内最大級の高規格オフィス、低層部にはMICE(国際会議や展示会など)に対応できる施設や商業施設のほか、広島商工会議所をはじめとする産業支援機関の集積を計画する。1階にオープンスペース、6階にオープンテラスを整備。地域のエリアマネジメント団体と協力し、新たなにぎわいと交流の拠点を創出する。2027年度の竣工を見込む。変電所棟は25年度、市営駐輪場は29年度に建物完成予定。地権者は朝日新聞社、朝日ビルディング、中国電力ネットワーク、広島商工会議所、広島市。都市再生機構(UR)が代表施行者として事業を統括する。

県庁舎敷地の有効活用事業

所在地 / 中区基町10-52 事業面積 /約7260平方㍍ ─── 商業施設や芝生広場を整備
▲県庁本庁舎敷地内にカフェやレストラン、芝生広場を整備。2025年春にオープン予定。

 広島県は中区基町の県庁本庁舎敷地内で、カフェやレストラン開業を計画する。税務庁舎や駐車場跡地の合計約7260平方㍍の活用事業として、2025年春にオープン予定。
 事業を担うNTT都市開発らによると費用は6億円超で、提案コンセプトは「モトマチ コネクト」。敷地西側、第一駐車場があった場所には木造平屋の施設が建ち、飲食店などが入る。建物横には芝生広場や、県庁南館までを東西につなぐ遊歩道を設置。遊歩道は将来的に、広島商工会議所などが入居予定の高層ビル(基町駐車場跡地などに27 年度完成予定)に抜けられるようになり、八丁堀エリアを含む一帯の回遊性を高める構想という。税務庁舎と第二駐車場跡には約160台分の平面駐車場を整備。平日昼は県の公用車、夜間・土日は一般利用ができるEVシェアシステムに加え、自転車や電動キックボードのシェア拠点を設ける計画。

広島駅ビル開発

所在地 /南区松原町2-37 延床面積/約 11万1000平方㍍ ─── 約7割完成、昨年12月に上棟式
▲2025年春の開業を目指す新たな広島駅ビル。建設工事は6、7割を終えた。

▲高層階に入るジェイアール西日本ホテル開発の「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」。
 2025年春の開業を目指す新たな広島駅ビルの建設工事は、着工から約3年半がたち6、7割を終えた。昨年12月19日には最後の鉄骨を組み立てる上棟式が開かれた。
 地上20階・地下1階建て延べ約11万1000平方㍍で、ショッピングセンターや複合映画館、2階広場に広島電鉄の路面電車が乗り入れる。7~20階には、ジェイアール西日本ホテル開発(京都)の旗艦ブランド「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」が入る。380客室を備え、駅北口にある既存のグランヴィア広島を合わせた総客室数は787室になる。
 7~9階に雁木状の大型階段を備えた屋上広場を設けるほか、路面電車乗降場の南側にはペデストリアンデッキ(歩行者専用橋)を整備し、「エールエール A館」、「ビッグフロントひろしま」、「エキシティ・ヒロシマ」、「広島JPビルディング」など周辺施設との回遊性を高める。

二葉の里地区の再開発

所在地 / 東区二葉の里3丁目一帯 事業面積 / 約1万8800平方㍍ ─── 住友不動産などがビル2棟計画
▲住友不動産などがビル2棟を計画。右手前はイズミ本社。広島市が昨夏公開した。

 JR広島駅北口近くの二葉の里地区では住友不動産(東京)が33階建ての高層複合ビルを、大和ハウス工業(大阪)が10階建てのオフィスビルをそれぞれ計画している。
 用地は住友不動産が2021年にスウェーデン家具大手のイケアグループから取得した旧国有地(約1万8800平方㍍)で、隣地には地場流通大手のイズミ本社ビルがある。
 住友不動産が用地東側に新築する物件は高さ約128㍍で、分譲マンションやホテル、温浴施設が入る予定。同社は「一帯のにぎわい創出のため、計画が決まり次第、なるべく早く着手したい」としている。残りの用地には、大和ハウス工業が一部に商業施設の入るオフィスビルと、5階建ての自走式立体駐車場を建てる計画だ。いずれも24年中に着工し、住友不動産が27年、大和ハウス工業が25年の完成を目指している。



広島経済レポート2024年新春号掲載記事