《広島再開発》サカスタ・ヒロパ開業へ 中心部の回遊性向上①

□■━━━ 24年の地域経済①|広島経済レポート ━━━■□

 広島の新たなシンボルとして、サンフレッチェ広島の新本拠地「エディオンピースウイング広島」が2月にオープンする。8月には周辺の商業施設「ヒロパ」などの開業も控えており、スポーツを軸とした街の活性化が期待される。

─── 多様な観戦スタイル提供 市中心部のにぎわい創出へ

 スタジアムは広島市が建設し、サンフレ球団が指定管理者として運営を担う。待望の専用球技場が市の中心部に開業することで観客動員数の増加や、にぎわい創出が見込まれる。
 座席数2万8520席。観客席の最前列からピッチのサイドラインまでの距離は8㍍と近く臨場感を味わえるほか、座席の前後左右にゆとりを持たせ、全4面に屋根を設けるなど観戦環境を整えた。西側メインスタンドにプライムシートや法人向けのボックス席、団体用のパーティーテラスといった42種類の座席を設ける。開業記念イベントとして2月10日にガンバ大阪とのプレシーズンマッチを予定。サンフレの試合だけでなく、日本代表戦の誘致も計画されているという。

─── 経済効果832億円 スタジアムツアーやミュージアムも

 中国財務局は昨年6月、スタジアム建設に伴う投資と初年度の来場による経済効果の合計を約832億円と試算。立地の良さだけでなく、歩行者専用橋によって南側の紙屋町・八丁堀エリアと東側の広島城方面へアクセスしやすくなることで、周辺の商業・観光施設への波及効果が期待できるという。
 試合のない日にはスタジアムツアーの開催や体験型サッカーミュージアム、県の特産品を扱うグッズショップが営業し、来場者の確保を図る。

サカスタ東西の広場整備

所在地 / 中区基町15番地 事業面積 / 約5万2400平方㍍
─── 自然体験提供、近隣施設と連携

▲「都会のオアシス」をコンセプトに自然体験や憩いを提供する。
 スタジアム開業から半年後の8月には、東西の敷地約5万平方㍍に6棟の商業施設「ヒロパ」や芝生広場などを備えるエリアが開業。ヒロパには飲食店やスポーツ関連ショップ、県の特産品を扱う店舗が入るほか、西側の本川沿いではスタンドアップパドルボードやバーベキュー用品を貸し出す。東側の芝生広場、森をイメージした遊具ゾーンと合わせ、「都会のオアシス」をコンセプトに自然体験や憩いを提供する。
▲敷地約5万平方㍍に6棟の商業施設「ヒロパ」や芝生広場などを備える。
 また昨春に旧市民球場跡地(中区基町)に開業した「ひろしまゲートパーク」や、広島城(2025年春に第1期三の丸整備事業が終了予定)との連携イベントも計画。平和記念公園などを含めた近隣施設との回遊性を高め、一体となって広島の文化や魅力を発信していく。エリアの整備・運営はNTT都市開発(東京)やエディオン、広島電鉄、中国新聞社、RCC文化センターでつくる企業グループが担う。
※イメージパースは、今後変更となる場合があります。

ひろしまゲートパーク

所在地 /中区基町5-25 事業面積 / 約4万7000平方㍍
─── 来場者数430万人達成

▲旧市民球場跡のひろしまゲートパーク。昨年11月末に来場者数が約430万人に達した。
 旧市民球場跡地で昨年3月に整備された「ひろしまゲートパーク」の来場者数が、11月末の速報値で約430万人に達した。  整備・運営を担う企業グループ代表のNTT都市開発によると、「年90日以上」を目標に掲げる1000人以上規模のイベントは、既に約100日開かれた。9月に開催されたビールの祭典「広島オクトーバーフェスト」は11日間で約9万5800人を集客したという。
▲1000人以上が集まる多様なイベントを開催。中心部の新たなにぎわい拠点を目指す。
 同パークは事業面積約4万7000平方㍍で、民間資金を活用するパークPFIを広島市が初めて採り入れた。パーク内の商業施設「シミントひろしま」には、県内初出店のイタリアンやアウトドア用品を含む計18店舗が入る。雨天でもイベントを開ける「大屋根ひろば」、インラインスケートや自転車走行を楽しめる広場「アーバンアクティビティサイト」などを備え、市中心部の新たなにぎわい拠点を目指している。

広島経済レポート2024年新春号掲載記事