[造園工] 緑豊かな環境づくりのエキスパート
地場建設産業の担い手に聴く!10
vol.10 造園工
河野里志さん
株式会社広田造園 工事部 統括次長
―造園工とは、どういったことをするお仕事ですか。
造園工は、庭師とも呼ばれ、一般住宅の庭木の手入れから、ホテルや公共施設などの庭園の築造、公園の緑地などを手掛けています。内容はさまざまで、植木を切ったり(剪定)、植えたり(植栽)することはもちろん、当社では庭全体のデザインやプランの作成、設計、施工、管理など、庭造りの総合的なプロデュースにも力を入れています。
―自己紹介をお願いします。
大学卒業後に広田造園に入社し今年で23年になります。大学では経済と商業を学び、入社当時は知識ゼロからのスタートでした。造園工を目指す人の3分の1ぐらいは私のように全く畑違いの分野から業界入りしています。それでも全然大丈夫。大事なのは心がけです。造園工は間口が広い職種のひとつだと思います。―最初はどんなことから始めるのですか。
最初から木を切らせてはもらえません。まず道具の名前と使い方を覚えます。切った枝の片付けや掃除も含めての造園ですので、できることから段階的に経験させてもらい、剪定をさせてもらえるのは最後です。一度切ってしまったら元には戻せませんから。しかし、植物は生き物なので、切ってもまた伸びるという救いもあるので恐れずにトライすることも大切です。
建設業の中で唯一、生き物を扱うのが造園工です。植物は水が欲しくても、肥料が欲しくても、病気でも、言ってくれませんから、こちらから積極的に見に行かなければなりません。そこが難しいところです。
先輩に付いて、指導してもらいながら経験を積み、お客さまの庭を一人で手入れできるようになるまでに5年はかかります。それまでは経験の積み重ねが大事。地域によって植物の成長の具合が違うことから、実は本などでは職人の技術を学ぶことができません。お客さまの目の前で切るというプレッシャーの中でこそ、技術は身に付いていきます。
―造園工の資格について教えてください。
造園業に関連する資格として、「造園施工管理技士」、「造園技能士」などがあります。私は1級造園技能士などの資格を所有しています。これらの資格を所有することで、仕事の幅を広げていくことができます。
―どのような時にやりがいを感じますか。
また仕事上の苦労があれば教えてください。
生き物を扱うので緊張感がありますが、やった分だけ満足感につながりますね。皆がダメだとあきらめていた植物が、手を掛けて元気になってくれると嬉しいですね。この世界は、やり方に正解はありません。例えば松を植えても、職人によって十人十色。出来上がったものは全く違います。失敗と思っても、見方によっては成功になることもあります。最後にお客さまに“ありがとう”と言ってもらえたら、正解です。
力仕事もあり、体力面ではつらいこともあります。暑い夏場は特に体力勝負です。でも、苦労とは思いません。楽しいばかりの仕事です。
― 仕事に興味を持った方へのメッセージがあればお願いします
造園は完成した時がスタート。そこから5年後、10年後と、自分の人生と、自分が手掛けた庭とが、同じ時を一緒に歩んでいくことになります。手掛けた庭が想像と違った姿になることもあり、それもまた楽しみです。
造園とは、お客さまの満足を得るために、自分の造りたいものを造っていくことができる仕事だと思います。若い人でも、自分がこうしたいと思うものを、“カタチ”として実現することができるチャンスがあります。また、女性の感性も生かしやすい世界だと思います。全力で打ち込む価値のある仕事だと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。
会社概要
株式会社広田造園
所 在 地:広島市西区己斐上1丁目14-3
事業内容:造園工事業
創 業:1949年4月
(2021年1月現在)
情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課