松山竜平選手をインタビュー
強力打線の中核担う
カープ&サンフレッチェ特集 『Vitamin 36号』から
いよいよプロ野球が開幕。カープの地元開幕戦が迫る3月28日、週刊経済誌「広島経済レポート」の別冊として、広島のスポーツを応援するフリーペーパー「Vitamin カープ&サンフレッチェ特集」が発行した。
巻頭に、強力カープ打線の中核を担う松山竜平外野手のインタビューを掲載し、ルーキーインタビューには開幕一軍をつかんだ島内颯太郎投手が登場。そのほかにも、カープ初代監督の石本秀一監督の特集記事やNHK野球解説者、大野豊氏が語る今シーズンの見通しほか、スタジアム新グルメやカープグッズの紹介ページなど盛りだくさんの内容。サンフレッチェページには、3年ぶりに復帰した野津田岳人選手と、加藤義明後援会長のインタビューが掲載されている。プロバスケットボールチームの広島ドラゴンフライズ・岡本飛竜選手や女子サッカーチームのアンジュヴィオレ広島・近藤あすか選手のインタビューもあり、プロスポーツチームの多い広島ならではの誌面となっている。広島市内の飲食店やホテルなどで入手できる。
以下、松山選手のインタビューを紹介する。
プロフィール
松山竜平(まつやま・りゅうへい)
1985年9月18日生まれ、鹿児島県出身。九州国際大学から2007年に大学・社会人ドラフト4位で入団。パンチ力のある打撃が魅力のスラッガー。昨季は初めて規定打席に到達し、打率3割2厘、12本塁打、74打点。オフにFA権を行使せずに残留。
力強いバッティングを武器に、強力カープ打線の中核を担う松山選手。ベテランの域に差し掛かる今、その心構えや4連覇、日本一への意気込みなどを聞いた。
-体の仕上がり具合は。
オープン戦の数字(3月10日時点で打率3割7分5厘)が示しているように、ここまで非常に良い状態できています。これをさらに高めてシーズンを迎えたい。
―チームや野手陣の雰囲気は。
昨年から変わらず会話が多く、とても明るい雰囲気です。雰囲気の良しあしは士気に大きく関わることなので、チームとしていい傾向にあります。
―野手間の競争は。
若手では西川や坂倉が力を付けていると感じます。特に西川はここ数年、一軍で経験を積んだことによる、精神的な余裕が大きいのでしょう。堂々とプレーしています。若手の成長を脅威に感じることはあまりありません。彼らが伸びれば、チーム力の底上げにつながるので。
―今季から新たに背番号55を背負うことになりました。
55番には強い思い入れがあります。野球を始めた頃にまず憧れたのが、巨人や米ヤンキースなどで活躍し、55番をつけていた松井秀喜さん。またカープでは以前、一緒に自主トレをさせていただいたこともある、嶋重宣さん(現・西武ライオンズ2軍打撃兼外野守備走塁コーチ)がつけられていました。欲しい番号だったので、念願がかないました。
―嶋さんから学んだことは。
打席での立ち振る舞い方と、泥臭く1点を取る意識です。打席ではどっしりと構え、心に余裕を持たなければ決して良い結果は出ません。また、得点力を求められるクリーンナップを打つ以上、犠牲フライや内野ゴロをしぶとく打ち、ヒット以外でもランナーをかえす重要性を教えてもらいました。
―昨季は初めて規定打席に到達し、打率3割・2桁本塁打を記録しました。他球団のマーク強化が予想されます。
特に意識していません。自分のスイングをするだけだと考えているので。ある意味「来た球を打つ」という姿勢です。相手よりも、自分の課題に向き合うことが大切。調子の波を抑えるためにより多くバットを振り込み、大切にしているタイミングの取り方を磨いていきたい。
―同じ左バッターの丸選手が移籍したことで、打線の中でより一層大きな役割を求められますね。
一人で背負い込んでもしょうがないので、今いるメンバー全員で彼が抜けた穴を埋めたい。それができる能力の高い選手はいると思います。
―巨人から人的補償で加入した長野選手はどのように映っていますか。
とても明るく気さくな方で、チームを明るくしてくれる存在だと思います。若い選手にも積極的に声掛けをしてくれており、来てくれてありがとうという思いです。年齢もロッカーも近く、今後しっかりとコミュニケーションを取りながら、一緒にチームを引っ張りたいです。
―30代中盤を迎えられ、体調管理が重要になりますね。
練習や試合後には、血流を高めて治癒力を上げるために温浴と冷浴を繰り返す「交代浴」を行っています。食事では、炭水化物を抑えて肉は鶏肉を多く選ぶなどの工夫を。ただ、食事はなるべくストレスがない方が良いと考えているので、好きな物も選ぶようにしています。
―ベテランと言われる年齢となり、野手陣のリーダーとして取り組みたいことは。
自分は言葉でチームを鼓舞するタイプではありません。なので、一つ一つのプレーを泥臭く一生懸命に取り組み、「あの年齢の人がこれだけやっているのだから」と、背中で引っ張りたい。なんとかチームの役に立とうという姿勢は、引退された新井さんから学びました。引退について、もちろんさみしい思いもありますが、今度は自分たちがしっかりするので、ゆっくり休んでくださいという思いです。
―後輩選手への指導について。
アドバイスを求められれば、バットの出し方やタイミングの取り方など、持っている技術を隠さずに伝えるようにしています。自分の指導がきっかけで若い選手が伸びてくれればうれしいですから。
―選手として苦しい時期の経験が今に生きていることは。
入団3年目のオフ、一軍出場も少なく来季の契約はないだろうと考えていました。しかし4年目も契約を結んでもらい、そこで、どうせなら楽しんでやろう、という意識を持つようになりました。すると結果が出るようになり、徐々に出場機会も増えていきました。なかなか試合に出られない苦しい時期を乗り越えたことや、結果を勝ち取った自信が自分の糧になっています。現在も、一軍の舞台で野球を目一杯楽しむ意識を大切にしています。
―今季の目標は。
打撃コーチからも伝えられていますが、自分に求められているのはやはり打点を稼ぐこと。入団当初はホームランを意識していましたが、今は違います。チームへの貢献の数字として打点にこだわりたい。具体的には100打点を目指します。また、鈴木誠也の後ろ(5番)を打ちたい。自分がしっかりしなければ、彼との勝負を避けられる場面が増え、必ず得点力が下がります。結果が求められるこの状況を楽しんで打席に立ちたい。
―ファンに向けてメッセージをお願いします。
リーグ3連覇はしているものの、日本一はつかめておらず、悔しい思いです。4連覇、そして日本一にはファンの方々の熱い声援が必要。今年も応援をよろしくお願いします。