Vol.7 株式会社オフィスフローレ
~経営者に学ぶ学生インタビュー~

★ 広島女学院大学×広島経済レポート [ 共同プロジェクト ]★

株式会社オフィスフローレ|経営者に学ぶ学生インタビュー|広島女学院大学×広島経済レポート 共同プロジェクト

 学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。広島女学院大学の2年生がキャリア授業の一環で、各業界のトップに「業界・企業研究」「仕事観」などをテーマに全11社にインタビューを行いました。
 第7回は、約10年前に主婦から社長に転身し、主婦が働きやすい会社を立ち上げたオフィスフローレの大江かおり社長。起業や社会貢献への思いを聞きました。

株式会社オフィスフローレ|経営者に学ぶ学生インタビュー|広島女学院大学×広島経済レポート 共同プロジェクト株式会社オフィスフローレ/代表取締役 大江 かおり氏
― 社長の経歴と起業の経緯について。  大学を卒業し、最初は輸入自動車ディーラーに就職しました。当時は男性優位の時代で、私の営業成績が良くても、男性と同じように評価してもらえなかったのが悔しく、転職を決意。転職するなら、高齢化社会を見据えて葬儀業界か、自動車より一桁多いものを販売する不動産業界、もしくは興味のあった美容業界と決めていました。そして当時お付き合いしていた男性(現在の夫)が美容業界で働いていたこともあり、美容の道を選びました。サロン立ち上げやスタッフの教育に携わり、結婚・出産を機に一度退職。その後、広島での美容サロン立ち上げで前取引先から声がかかりました。その立ち上げが3年後というのと、「3年間は子育てをしたい」という私の思いが一致し、家族で福岡から広島へ移住。無事サロンを立ち上げ2年間勤めました。

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 私は縁あって社会復帰できたのですが、当時は女性が一度辞めると復帰が難しい時代でした。さらに、子育てしている女性は、自分の美容に手をかけられない。子どもを連れて行けるサロンがなく、美容をあきらめてしまう。親子が一緒に来店できるサロンがあれば、母親をもっと美しく元気にできると思い、他の会社がしていないなら、私が実現させようと起業しました。そして、子育て世代の主婦が働く会社、社員は全員「主婦」のオフィスフローレがスタートしました。

― 主婦の会社、働き方の工夫は。
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 主婦のために、主婦が働きやすいためにつくった会社です。仕事で子育てに影響がないよう年間スケジュールを共有しています。私自身も息子の小・中・高と学校でPTA活動をし、社員にも学校行事や参観日などは必ず参加するよう伝えています。
 私たちはどんな場面においても、常に「カッコいい大人」を目標に行動しています。会議・打ち合わせなどは、主婦のライフスタイルに合わせて調整。コロナ禍以前から、夜間に子どもの就寝後に、それぞれ自宅から参加できるようオンラインを積極活用していたので、コロナ禍での対応もスムーズでした。小さな赤ちゃんを抱っこしながら業務に取り組む社員や、急な休校などの際は子ども同伴での出社も、在宅勤務も柔軟に対応しています。社員が皆、母親なのでお互いに理解しあい助け合っています。

― 災害支援、社会貢献への強い思いがあると聞きました。

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 当社の社会貢献の始まりは2018年の西日本豪雨でした。当時、社員の半分が被災し、出社することができず創業以降初めて危機に瀕しました。事業存続や売り上げのことで頭がいっぱいでしたね。そんな中、被災した副社長から娘に蕁麻疹が出たと連絡があったのです。その瞬間、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。被災した人たちは「生きるか、死ぬか」という状況にあるのに、私は自分の会社のことばかり考えていたのです。それから会社をあげて被災地を支援することを決意。 SNSなどで物資や寄付金を呼び掛けました。事務所の足場がなくなるほど届いた支援物資などを、私たちが被災地に運んで炊き出しを実施。個人ではなく、会社として推進したことで、多くの協力を得ることができ、影響力を実感しました。

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 それからは災害の有無に関わらず、困っている人を日常的に支援したいと20年に子ども食堂運営などの㊓マール村を設立。大手企業からの依頼で子ども食堂の運営ノウハウなども伝えています。  22年8月には、こども食堂「たかマール」を中区大手町の鷹野橋商店街内にオープン。毎日開いており、どんな人でも利用できます。食事の提供以外に、スポーツ大会・ゴミ拾い、野菜の収穫体験などを実施予定です。このほか、宿題をしたり、悩みを相談したりして、訪れた人たちが交流を深められる場にしたいと思っています。「食堂」という枠を越えて、大家族が集まるような地域のコミュニティにしたいです。

― 新しい取り組みを教えてください。

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 メンズ脱毛や障害者などの脱毛に力を入れて、「エステのバリアフリー」を目指します。コロナ禍で〝おうち時間〟が増えたことで、にきびを気にしたり、脱毛を始めたいと考える男性が多くなったように思います。美容などに関心の高い〝美容男子〟も増えましたね。  今までは女性向けの事業でしたが、男性向けを始めようと、創業以来初の男性を採用。息子の高校のPTA活動を通じて知り合い、当社の思いや活動に共感し、入社を決意してくれました。彼を中心にスタッフを育成し、男性が気軽に通えるエステサロンを目指します。
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 また当社では4年前から、一般のサロンでは受け入れが難しい発達障害や精神障害の方を受け入れる脱毛サロンを展開し、現在は約10人が通ってくれています。当社では、性別や年齢を問わず、誰でもきれいになって当たり前という社会にするべく「ソーシャル脱毛」と位置づけ、普及への挑戦を続けます。

代表取締役/大江 かおり 西南女学院高等学校を卒業後神戸へ進学。出版社・自動車販売会社で営業職を務める。美容業界へ転身し、結婚・出産を機に退職し、広島へ。12年に女性の起業支援・美容サロン運営などのオフィスフローレを設立。長崎県出身。

私たちがインタビューしました

子ども食堂を運営するなど、社会貢献していることに感銘を受けました。社長のお話から自分の知らなかった世界がたくさん見えて視野が広がり、新しいことに挑戦することの大切さを学びました。 信原 奈央

子どもにとって良い環境、女性が働きやすい職場など、社長はさまざまな課題に対し「オフィスフローレとしてできること」を常に考えておられました。社長の言葉一つひとつに意志の強さを感じ、心が動かされました。 大瀬戸 瑳弓

「誰もやっていないことをする」という考えと行動力に感銘を受けました。毎日開いているこども食堂を開業するなど、社会のために良くなることを常に考えられており、かっこいいと感じました。 大石 花凜

社長のお話の中に何度も出てきた「カッコいい大人」に、ぴったりな生き方・働き方をしている方だと強く感じ、同じ女性としてとても憧れました。常に新しいことにチャレンジする姿に多くのことを学ばせて頂きました。小川 あきほ



取材日:2022年7月

会社概要

株式会社株式会社オフィスフローレ
所在地:〒730-0045 広島市中区鶴見町6-22
設 立:2012年
資本金:400万円
従業員数:パート含め10人
TEL:082-275-6955
URL:https://office-flore.com/
※2022年9月当時の情報です。 市内で美容エステサロンを運営するほか、遺伝子栄養講座などを県内外で展開。子ども食堂など、社会貢献活動にも注力している。「ミセス・ミスターオブザイヤー」の大会事務局を務め、イベント事業も手掛ける。