米国市場の開拓に成果
毛籠新体制で成長戦略

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24年3月期に2年連続売り上げ最高へ

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 2023年6月に毛籠勝弘取締役専務執行役員が社長に昇格し、17代目社長に就任。これからさらに脱炭素の取り組みが求められる中、難しいかじ取りを任された。「ロータリーエンジン活用の発電システムなど、マツダらしい〝飽くなき挑戦〟を続ける」と意欲を表す。就任初年度から2期連続過去最高となる売上高4兆5000億円、グローバル販売台数は130万台を目指す。
 毛籠社長は16年から5年間、米国法人のCEO(最高経営責任者)時代に販売の質的改善を成し遂げた実績が目立つ。かつての安売りイメージ払拭のため、販売奨励金の削減や高級感のある次世代店舗への移行促進といったブランド価値訴求の方針を策定。人気の高いSUVの導入効果もあり、車両単価の大幅な増加などで同社の〝稼ぐ力〟向上を先導した。

米国が最大市場に成長

 22年の米国市場の車両平均取引価格は18年に比べ約7000㌦増の3万3700㌦と伸長。18年から国別の販売台数では中国を抜き、構成比27%と最大の重点市場となった。これまで人気の高いSUVを北米市場へ相次ぎ投入しており、23年4月にも大型SUVのCX‐90を発売するなど攻勢を掛ける。販売面では次世代店舗への移行を積極推進。23年3月末時点で米国内全545店舗のうち、ほぼ半数の268店が移行を完了し、100店が移行予定。
 販売店へのインセンティブを抑制し、値引きに頼らない販売を促したこともブランド価値向上に貢献した。現地の調査会社によると、新車購入から3年後の市場価値を表す残価率でCX‐30、CX‐50がそれぞれ20以上ある同格車種の中で1位を獲得。また別の調査会社が算出したブランド別の顧客満足度では、18年の15位から22 年は3位まで上昇した。
 24年3月期はCX‐90を軸に北米全体で49万6000台、米国単体では36万7000台とそれぞれ前期比22%増の販売を計画。これに合わせ、アラバマ州の新工場の2直化によってCX‐50の供給量を拡大する。

価値訴求奏功し売上最高

 23年3月期の連結売上高は前年比23%増の3兆8268億円、純利益は75%増の1428億円を計上。24年3月期売上高は2年連続で過去最高の4兆5000億円を計画する。23年3月期のグローバル販売台数は111万台と前年から11%減ったが、24年3月期は米国のCX‐90や中国のCX‐50など新型車効果を見込み、130万台を目指す。純利益は円高への振り戻しを念頭に、1300億円と減益を予想。
 24年3月期には過去最大級の設備投資額1400億円を計画し、ラージ商品群の増産などに充てる予定だ。最高額は米国アラバマ工場の建設などがあった22年3月期の1443億円で、それに並ぶ規模となる。研究開発と設備投資が車両の性能やブランド力の向上につながり、価値訴求販売の土台を築いたのだろう。販売単価の上昇に伴い、利益率も向上。好循環を生んでいる。 電気自動車やプラグインハイブリッドの品ぞろえ拡充を計画する中、研究開発費も前年比120億円増の1400億円を予定。
 23年上期(1~6月)の生産、販売実績をみると、共に2年ぶりに増加。海外・国内の合計生産台数は約61万台、世界販売は約62万台で、通年目標の達成に手応えを得る。



会社概要

マツダ株式会社
本  社:安芸郡府中町新地3-1
設  立:1920年1月
資 本 金:2840億円
売 上 高:3兆8268億円(2023年3月期連結)
従業員数:4万8481人(連結)
事業内容:乗用車・トラックの製造、販売など
T E L:082-282-1111
U R L:http://www.mazda.co.jp
※2023年9月当時の情報です。