Vol.8 リライアンス・セキュリティー株式会社
~経営者に学ぶ学生インタビュー~

★ 広島女学院大学×広島経済レポート [ 共同プロジェクト ]★

リライアンス・セキュリティー株式会社|経営者に学ぶ学生インタビュー|広島女学院大学×広島経済レポート 共同プロジェクト

 学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。広島女学院大学の2年生がキャリア授業の一環で、各業界のトップに「業界・企業研究」「仕事観」などをテーマに全11社にインタビューを行いました。
 第8回は、新卒採用で成果を挙げ、事業成長を続ける警備業のリライアンス・セキュリティーの田中敏也社長。人材育成に懸ける思いなどを聞きました。

リライアンス・セキュリティー株式会社|経営者に学ぶ学生インタビュー|広島女学院大学×広島経済レポート 共同プロジェクトリライアンス・セキュリティー株式会社/代表取締役 田中 敏也
― 事業内容を教えてください。  商業施設の駐車場などで交通事故や渋滞が起こらないようにする交通誘導や、出入管理・巡回などを行う施設警備など、警備業全般を手掛けています。2002年に設立してから四国・九州・関西へと事業エリアを広げ成長を続けています。当社が目指しているのは「警備業界のディズニーランド」です。お客さまの満足を超えて、感動していただけるほどのセキュリティーサービスを提供しようという思いを込めています。
 地方の警備会社では珍しく新卒採用に11年連続で取り組み、今春は18人を迎え入れました。うち10人が女性です。業界の先頭集団に立ち、会社をそして業界を引っ張り、良くしていこうと伝えています。

― 警備業界のディズニーランドについて詳しく教えてください。
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 ディズニーランドへ実際に足を運ぶと、キャスト一人一人が全てのお客さまに丁寧に対応し、この場を楽しんでもらうことを第一に取り組んでいました。お客さまに感動を届けるその姿勢は当社も取り入れるべき精神だと感じました。新入社員の18人には社員研修でディズニーランドに行き、われわれの仕事にどう生かせるのかを研究してもらうと約束しています。


― 社員教育に力を入れています。

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 警備業は労働集約型の仕事であり、人があってこそ成り立ちます。物を作って売るのではなく、人を育て、その人がサービスを提供して対価を頂く。だから人を育てることが最も大切なんです。その根幹となる考え方が「お客さま主義集団」という当社の経営理念です。その実現に必要なことは、凡事徹底に尽きます。つまり常日頃から礼儀をきちんとすること。具体的にはあいさつ、言葉遣い、服装・身だしなみ、姿勢態度、順序序列、返事返礼、にっこり笑って、心を込めること。これが徹底できれば、良い社員が育ちます。当社は服装・身だしなみの点検項目だけで210個に及び、これは日本一の多さだと思います。

― メンター制度とは。

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 先輩社員がメンターとなって、メンティーである新入社員の相談を受け、サポートする制度です。悩みに寄り添ったり解決に導いたり、新入社員の支えになってあげる役目です。皆さんの先輩である広島女学院大学出身の入社3年目の女性社員が、新卒の女性社員のメンターを務めています。素晴らしい企画を立ててくれて、今年初めてメイク講座を行いました。自分のときは現場での日焼け止めや肌の管理方法などを教えてもらえなかったので、今年はそのような機会を与えてほしいと彼女が会社に提案してくれました。すぐに提案を受け入れて、実現させました。こういった提案をすぐに実行できるのも中小企業の魅力です。

― コロナ禍の影響はありましたか。それにどのように対応しましたか。

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 業界を見るとイベント警備などに影響が広がりましたが、当社はバランスよく事業を手掛け、コロナ禍でも売上高や利益を増しています。それは人手不足が深刻な警備業の中で、逆に警備員を増やすことができているからです。
 コロナ感染症が広がり、多くの人が困ったのがマスク。マスクの値段が高騰した時、私のネットワークを生かして3万枚を集め、社員に配布しました。なぜそこまでしたのか。それは現場でお客さまを守るのがわれわれの仕事ですが、その警備社員を守るのは会社だからです。また国内の警備会社の中で初めて社員に慰労一時金を出しました。熱中症対策にも先行して取り組んできました。
 また独自の福利厚生を充実させています。子ども手当ては一般的に人数に比例して一人当たりの金額が減りますが、当社は人数が増えるごとに金額が増え、例えば子どもが3人だと月6万円を支給します。当社の取引先で住宅を新築すると、最大600万円の住宅手当ても設けています。こうした豊富な支援もあり、退職者が減り社員が増え続けています。

― 印象に残っているお仕事は。

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 20代の頃、勤めていた会社で世界的ミュージシャンなど数々の要人を警備してきました。例えば、広島に来た人気男性アイドルを警備しました。イベント終了後にファンが施設を囲み、その人が外に出られなくなる事態に。警察と協議し、私の個人の車に乗せて脱出させるミッションを担いました。その方に警備服を着て後部座席に座ってもらい、新幹線の駅まで送ったのは思い出深いです。

― 社長に休みはありますか。  休日はありますが、〝休まる日〟はありません。社員がどこかの現場で24時間働いているからです。何か事故や災害などがあったらすぐに対応しなければなりません。

― たくさんある仕事の中でなぜ警備業の会社をつくったのですか。

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 27歳で警備業に入り、前の会社に10年勤めて独立しました。今年8月で設立20周年を迎えました。独立を考えた時点で既に10年この業界におり、選択肢はほかになかった。私はこの仕事が天職だと思っています。警備は一般的には不人気業種で、これまで何度も「警備会社なんか」と言われ、悔しい思いをしてきました。この解決方法に近道はなく、従業員を徹底して育て、お客さまに感動するサービスを提供し、そこで得た利益を従業員に還元する。その繰り返ししかない。社員が成長を実感しながら、労働条件・労働環境を着実に改善し、「警備なんか」と言われないようにすることが、私が人生を懸けて取り組む目標になっています。

代表取締役/田中 敏也 1960年9月12日生まれ、広島市出身。広島城北中学・高校、広島経済大学を卒業し、IT関連企業などを経て県内の警備会社に入社。2000年に創業した。業界団体の広島県警備業協会の副会長、県警備業協同組合の理事長も務める。

私たちがインタビューしました

社員育成の話を聞かせていただき、人として大切なことを知ることができました。礼儀などの当たり前のことを、私も徹底していかなくてはいけないなと感じました。 松本 咲和

会社が社員を大切にする姿勢に深く感動しました。想定しにくい事態にも迅速に対応できるフットワークの軽さが、今後の社会に必要なのではないかと感じました。 槇森 智香

警備会社のイメージが変わりました。中でも女性が活躍できる環境づくりに感心しました。社員の声を取り入れ、女性の新人社員向けにメイク講座を行ったことに驚きました。 柿本 夢果

お客さまのことはもちろん、社員のことを大事にしていると感じました。さらに社員の家族のことまで思いやり、人を大切にすることを実践している話は興味深かったです。 大久保 咲季



取材日:2022年7月

会社概要

リライアンス・セキュリティー株式会社
所在地:〒730-0845 広島市中区舟入川口町14-22
設 立:2002年
資本金:1000万円
従業員数:220人(全体)
TEL:082-297-9588
URL:http://www.reliance-s.com/
※2022年9月当時の情報です。 2000年に創業。広島市中区舟入に本社を置き、大阪や兵庫、山口、九州に拠点を構える。約220人の警備員が在籍し、設立10年余りで県内に約300社ある同業者でベスト10に入る規模となり成長を続ける。