Vol.2 ヤマネホールディングス株式会社
~経営者に学ぶ学生インタビュー~
★ 広島女学院大学×広島経済レポート [ 共同プロジェクト ]★
学生が地元経営者をインタビューすることで、地域で輝く企業に目を向け、思考を深め、広島での就職意識を高めてもらうプロジェクト。広島女学院大学の2年生がキャリア授業の一環で、各業界のトップに「業界・企業研究」「仕事観」などをテーマに全11社にインタビューを行いました。
第2回は、住宅建築販売の山根木材グループの山根誠一郎社長に、事業展開の軸となる暮らしづくりや職場環境づくりへの考え方などについて話を聞きました。
― コーポレートブランドについて。
「お客さま一人ひとりの暮らしの豊かさをカタチにする」をブランドコアと位置づけ、家の維持・管理のための長期にわたる生活のサポートや、暮らしを彩るインテリア、健康な暮らしを維持するための介護事業など、「家づくり」の会社から「暮らしづくり」の会社へと進んでいます。
コロナ禍で、家で過ごす時間が増えたことで、暮らしにおける住まいの重要性を感じる機会が多かったのではないでしょうか。長いときを歩む住まいだからこそ、お客さま一人ひとりの考える「暮らしの豊かさ」に耳を傾け、そこに住むご家族の未来の姿まで一緒に考えることが求められていると感じています。
― 広島産木材にこだわる理由を教えてください。
家の建築に最適な木材はその土地で育った木であると考えています。広島特有の気温と湿度の中で育った木は、広島の気候を知り尽くしており、気候によるゆがみなどの狂いが生じにくく、その土地特有の菌への抵抗を持っているため腐食にも強い家となります。
広島県産材を使用することで、広島県の林業が継続でき、山根木材の家づくりも続けられます。わざわざ遠方から木材を輸入するよりも、近い広島の木材を使用したほうが、健全な森林環境、ひいては住みやすい環境の維持にもつながるでしょう。木を植え、育て、伐採して、また次の木を植えるというサイクルが続くことは、持続可能な資源である木材をこれからも活用していくことになります。
今後展開する事業では「持続可能に暮らしていこう」を掲げ、ゼロエネルギーハウス「ZEH」を推進します。住宅の建設から廃棄するまでの間、つまり住宅の最期までCO₂の支出がゼロに、そしてマイナスにする仕組みを目指しており、そのためにも木材の利活用は大きな意味を持ちます。
― 山根社長にとっての理想の住宅の形を教えてください。
家という建物も大事ですが、自分が毎日使うものこそ、自分が好きなものを選ぶことで暮らしも心も豊かになると思っています。「こんな椅子に座ってご飯を食べたい」という理想から家づくりを考えていくと形になるのではないでしょうか。今回の取材では、「DEJIMASTOCK」に来ていただいています。ここは家具のショールームで、いろいろな商品を見て、触れてもらえる場所です。例えば「こんな家具が似合う家に住みたい」といったように、身近なインテリアから家づくりを楽しんで考えてもらえると思います。
当社では4月から、企業のコンセプトや理念を表現する新しいタグラインとして「物語がつづく暮らし」を策定しました。お客さまの理想の暮らしを実現できるよう、家具などの提案を通じて、家を建てた後も続くお客さまの住まいと暮らしに寄りそっていきます。
― 職場での働きやすい環境づくりについて教えてください。
時差出勤、在宅勤務など勤務時間や場所に捉われない働き方を推進しており、社員からも働きやすい環境だといった声は出ています。今後は、さまざまな働き方に柔軟に合わせられるように人事制度の改善を検討します。
山根木材のSDGs宣言の一つとして、「2023年度までに社内プロジェクトへのメンバー構成比 女性25%以上(社員構成比同等)、男性育休1カ月以上取得100%」を目標としています。男性育休を実際に取った社員は「子どもの成長が実感できる上に、その経験は仕事に生かすことができる。お客さまの生活に関わる仕事をしている身として、貴重な経験」と好意的な意見をもらっています。
― 社長として意識していることは。
私自身、山根木材に入社後にポートランドへ留学しましたが、現地にあるナイキワールドキャンパスのオブジェの言葉〝BE ON THE OFFENSE ALWAYS〟(常に攻めの姿勢を持つ)を大事にしています。大切なのは、一つひとつの仕事をどうこなしていくのか、前向きな姿勢を取ることであり、それを大切にすることは変わっていません。会社の状況に合わせて臨機応変に動く必要があり、決まったルーティンで一日が繰り返されるということはほぼない。その分、社内外で滞りなく業務が遂行できるよう事前の日々の管理、準備が重要です。止まることなく進み続ける「攻めの姿勢」を目標としています。
― 今後のキャリア形成に向けアドバイスをお願いします。
自分の個性を見つけて、自身の価値を正しく理解すること、そして自分磨きをして自身の価値を上げることが大切。学生時代は大学のネットワークやアルバイトなど、さまざまな機会を通じていろいろな職業に触れる機会が持てます。人に出会え、時間が使えるというのは学生の特権ですから、それをぜひ生かしてほしい。
仕事とは、誰かの役に立つことです。自分の特徴が仕事の役に立てるかどうかです。誰でもできることをするのではなく、自分にしかできない仕事を見つけて、自分の個性が生かせるような職に就くと良いと思います。
社長/山根 誠一郎氏
1998年一橋大学商学部を卒業。ソフトバンクを経て、2000年山根木材に入社。11年2月に社長に就任。1973年5月生まれ、広島市中区出身。
私たちがインタビューしました
事業の取り組みへの関心が深まったのはもちろんのこと、まだ知らなかった住宅の在り方を学ぶことができて大変充実したインタビューでした。身近なモノを使って事業に生かすといったお話を「自分の庭で育てた野菜を自分の家で調理することと一緒」と例えたお話がとても印象的でした。 新谷 南実
これまで漠然としか考えていなかった職業について、強く意識するようになりました。将来のキャリアを考える上で大変貴重な経験となりました。 チャン・ティ・タオ
社長にインタビューをするという貴重な体験ができました。お仕事の話や価値観を知ることができ、今後の進路の道標となりました。自分の強みや個性を見つけて、今後の就職活動に生かしていきたいです。 福田 紫乃
「自分が将来どうなりたいのかを見つけ、逆算する」という考え方を学びました。自分だからこそできるもの、自分でないとできないものが何なのか、という意識を今後も大事にしたいです。
金子 まなみ
取材日:2022年7月
会社概要
ヤマネホールディングス株式会社
所在地: 〒734-8570 広島市南区出島1-21-15
設 立:1951年4月
資本金:1億円
従業員数:279人
TEL:082-254-7947
URL: https://www.yamane-m.co.jp/
業務内容:住宅建築、不動産流通、木材加工販売など
※2022年9月当時の情報です。
1910年4月に創業。住宅供給実績は累計1万棟を誇る。現在、新築住宅から住宅の構造設計、木材加工、リフォーム、メンテナンスとグループ7社で幅広く展開する。