《三次市》地域内の環境協会集約 移住・定住促進に注力
22年の地域経済⑦ 広島経済レポート
観光協会を集約
三次市は2021年9月に新たな観光戦略を策定。22年4月に市と君田、作木、三良坂、甲奴町の観光協会を(一社)三次観光推進機構(DMO)に吸収統合した。観光資源や人的資源、ノウハウなどを集積し、機能的で効果的な運営体制を目指す。
市観光協会の政森進会長(現・同機構代表理事長)は、「60年以上の協会の歴史に終止符を打つのは苦渋の決断だが、少子高齢化やコロナ禍などで変化する観光ニーズに対応するために組織の統合は不可欠だと感じている。アフターコロナを見据える今こそ、地域一体で同じ方向を見ながら観光戦略に取り組まなければならない」
観光イベント
21年はコロナ禍で前年中止となったイベントを感染対策に配慮して一部開催。15年に県無形民俗文化財に指定された三次の鵜飼は、緊急事態宣言や大雨の影響で約1カ月間の短期日程となったが無事開催にこぎ着けた。9月には三次の花火100周年を記念し、サプライズで2年ぶりとなる花火1000発を打ち上げた。
長岡商事(庄原市)は同年10月、洋菓子店や暮らしの複合施設「PLACE miyoshi」を三次市三次町78-1にオープン。新たな観光スポットとして人気を集めており、1カ月間で市内外から約5000人が来場した。DMOは22年4月、三次もののけミュージアムと三次町歴みち石畳通りを結ぶ「もののけ小路」を整備した。通路内には観光客向けの餅屋「もちのえき」が出店し、にぎわい創出を目指す。
移住・定住促進
三次市が20年12月に開設した移住・定住ポータルサイト「みよしSTYLE ツナグ」は運用から約1年が経過。UIJターン促進のために空き家バンクや暮らしに関する情報発信などに努めている。年間延べ約2万5000人が閲覧し、空き家バンク相談件数は20年度の326件から21年度は既に454件に増加。セミナーなどのイベントを増やし、動画を活用した情報発信にも注力する。
市の女性就業支援施設「アシスタlab.」は21年4月から毎月第3土曜を「Iターン・Uターン相談日」に設定。市外から移住し、起業や就業を検討する女性への相談支援を強化している。
市は住民への働きやすい環境の提供を目指し、22年4月にキャンプ場「ハイヅカ湖畔の森」(三次市三良坂町)内の和室約40平方㍍を「お試しオフィス」としてオープンした。6月下旬には市内中心部にコワーキングスペースをオープン予定。
広島経済レポート22年2月3日号掲載記事(6月13日修正)