量販店向け総菜、キット化へ
業務用強化で成長戦略描く

中村角

 総合食品卸の中村角(西区草津港1-3-3、中村一朗社長)は5〜6月を目途に、量販店向けに中華の業務用キットの供給を始める。JRホテルグループのホテルグランヴィア広島の中華料理「煌蘭苑(こうらんえん)」の山本大治料理長の監修で試作を重ねており、まずは4アイテムを予定。食品全般が値上がりする中、付加価値の高い商材で購買意欲を喚起する狙いだ。
 定評のあるホテルの中華料理を量販店で手軽に求めてもらおうと、エビやイカ、鶏肉などにカットした野菜、特製のたれをセット。店舗で手間をかけず、食材ロスも出さないで調理できるようにする。煌蘭苑は同ホテル直営で、山本料理長は調理師関係厚生労働大臣表彰など多数の受賞歴を持つ。調理手順はできるだけ簡便にしながら、ホテルで提供する味に近づくよう、たれに工夫する。
 中華総菜は地場の量販店が強化したいカテゴリーで、売価が多少高くても購買してもらえる商品を狙う。商品開発へ、全国的に著名な料理人や飲食店の監修がブームとなる中、地元〝広島〟を打ち出したいと取引先の同ホテルに企画を提案した。量販店で購入した同商品の味を知り、監修した中華料理店へ誘引する好循環を促す。一方で、中村角が加入する業務用食材の共販組織で全国に販売網を持つ日本外食流通サービス協会(JFSA)のPB商品として扱うことも視野に入れる。
 店頭での売り方提案だけでなく、〝レンチン〟など加工比率の高い商材から、食材だけを求める取引先の幅広い多様な要望に応える業務用の供給体制を拡充。現在、市販用が主力だが今後、業務用比率を半々にまで引き上げ、グループで業務用食品卸の協食(山口県山陽小野田市)、桑宗(福山市)、サンショク(三次市)と合わせて売上高250億円を計画。中村角は向こう5年で400億円を目標に掲げる。