業務用でB to Cと同等額上乗せへ
発芽野菜とマイクロハーブ提案
村上農園
スプラウト(発芽野菜)生産で全国トップの村上農園(佐伯区五日市中央、村上清貴社長)は、2021年12月期売上高93億2900万円のうち10%以下にとどまる業務用分野に関して、中長期的に主力のBtoCと同等額への引き上げを目指す。コロナ禍による飲食店の休業などで達成時期は見通しづらいが、21年は前年に比べ3割増となり、手応えを得る。
スーパーなどの量販店に並ぶBtoC商品が主力で、これまで飲食店などの業務用は個別の問い合わせに応じるほか、市場経由で一部が納められる程度だった。18年に「ニューマーケット営業本部」(現在の担当者6人)を置き、業務用の提案を開始。コロナ禍で足踏みしたが、状況を見ながら積極化する。既に高成分野菜「ブロッコリースーパースプラウト」がビュッフェなどのスーパーフードコーナーに置かれ、21年には豆とうみょう苗(エンドウの若菜)が大手外食チェーンのすき焼き鍋の具材に採用された。同じ野菜でもBtoCとは仕様を変えることで要望に応える。例えば豆苗の根の部分を残しておくと再び生えるため一般消費者に喜ばれるが、業務用ではあらかじめ省くことで調理の手間を減らすなど試行している。営業強化とともに生産センター新設を進めており、現在は沖縄村上農園含む国内10カ所。年間で最大200億円分の出荷に対応できる生産体制を敷く。
業務用商材として、発芽後2〜3週間のハーブ類「マイクロハーブ」シリーズの展開にも注力する。21年12月には甘い香りで〝美食家のパセリ〟と言われる「セルフィーユ」と爽やかな香りの「シュンギク」を追加し、計21商品に拡充。直前の11月の販売額は、市場投入した18年の同月に比べ3・8倍となった。山梨北杜生産センターの植物工場から出荷し、年間の最大生産能力は8億円分。23年をめどに、その半分に当たる販売額4億円超を目指す。ミシュラン三つ星のジョエル・ロブション(フレンチ)や日本料理龍吟をはじめ、高級ホテル、結婚式場などで料理のアクセントに使われる。
広島経済レポート22年1月27日号掲載記事
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