AIがコインランドリーの需要予測
ピークに応じ料金変動可能に

山本製作所

 業務用洗濯機メーカーで国内トップ級の山本製作所(尾道市長者原1-220-19、山本尚平社長)は業界で初めて、気象データに基づくコインランドリーのAI需要(稼働率)予測機能の開発に乗り出した。天気や連続降水日数、黄砂の影響などさまざまな角度で分析し、相関関係の高いものを需要予測アルゴリズムに採用。12月の展示会「国際コインランドリーEXPO2022」で成果発表し、23年1月のリリースを予定する。ランドリーオーナーは需要予測に応じて価格を柔軟に変動させるダイナミックプライシングなどの施策が取りやすくなり、オフピークへの顧客誘導による平均稼働率の向上が期待できるという。
 コインランドリー業界では、経験則として雨が多いと売り上げが伸びることが分かっていたがデータに基づく検証はこれまで十分になされてこなかった。同社が17年に発売したスマートフォン連携型の国内初のランドリー機「スマートランドリー」の過去3年分の稼働データと気象庁の天候データをAI解析して相関性の高い項目を抽出。稼働率と天気、連続降水日数、曜日、時間帯、地域、商圏情報、黄砂、衣替え需要などをテーマに分析した。結果、晴れの日に比べて曇りの日は稼働率が平均で約1・51倍、雨の日は約1・69倍増加することなどが分かった。これらのデータを基に機械学習モデルを生成。天気予報の精度が高い3日後までの需給予測が可能になった。また、ダイナミックプライシングの効果検証として、6月29日からランドリー事業のウォッシュプラス(千葉)と共同で電力供給のオフピークである夜間帯に顧客誘導する取り組みをスタート。実際に価格変動による稼働率のピークシフトが確認できたという。
 1947年に創業。業務用洗濯機やコインランドリー用機器、リネン業界向けロールアイロナーなどの製造・販売を手掛ける。内製化率は96%に上り、半永久的に部品供給できるメンテナンス体制が強み。今後は価格変動による顧客動向データの収集を進め、定額制やランドリー併設の小売店の需給予測など新たなサービス展開を模索する。