常石グループ 沖縄で高級魚を陸上養殖 国策上げ潮、27年に市場投入狙う
常石グループ
造船業などの常石グループ(福山市沼隈町、神原勝成社長)は、新規事業開発を担う事業会社の常石商事(同所、神原秀忠社長)を通じ、魚類の陸上養殖事業に挑戦する。昨年10月、グループが運営するファンドの出資で関連会社うみのわ(沖縄県、橘高啓介代表)を設立。今年2月に同県中頭郡中城村の漁港内で高級魚ヤイトハタの養殖を始め、現在は約1万2000尾を育てる。今後販路を開拓し、2027年初頭の商用流通を狙う。
国内の漁獲と養殖の総生産量は、ピークの1984年から7割超減り、2025年は357万㌧。うち海面養殖は83 万㌧で20年から14万㌧減っている。一方、漁業権による新規参入障壁や、海水温上昇、感染症といったリスクを軽減できる陸上養殖は成長産業として期待がかかる。7月に高市政権が日本成長戦略を閣議決定して示した戦略17分野のうち、フードテック領域に含まれる同養殖には、40年度までに2・9兆円の官民投資が見込まれる。
同社は第1弾で、縦5×横2×深さ1㍍、水量8㌧の水槽4基に海水を引き込み事業開始。量産に向けて適切な密度や水温など生育環境を研究している。琉球大学が国の支援で運営する陸上養殖の共創コンソーシアムにも参画し、知見を得る。
天然では体重50㌔超に育つヤイトハタは上質な白身魚で、適度な脂のりと深いうまみが特長。重さ1~2㌔前後の個体が多く流通。豊洲市場では約500㌘7000円前後での取引実績がある。沖縄方言でアーラミーバイ(大型ハタ類の総称)と呼ばれ、刺身や煮付けとして親しまれるほか、中華圏の祝い事に使われるなど海外にも需要がある。
今後は観光需要などを狙い沖縄県内の飲食店へ訴求するほか、海外市場も狙う。常石が運営するファンドが23年に出資した養殖設備ベンチャーのARK(神奈川県)も同じ漁港内に養殖拠点を構えており、販路開拓と生産性向上へ連携を図る。常石商事事業開発課長を兼務する橘高代表は「顕在市場の大型サイズだけでなく、天然では捕まえづらい育成段階の小型の市場開発も狙う。安定した供給に向けて生育ノウハウの確立と販路開拓を急ぐ」と話す。

