建築金物で国内トップクラス
全国89拠点と提案力に強み

部署横断の提案に注力

　１９５８年創業の建築金物メーカー。製品を建築現場に直接届ける事業モデルで成長し、国内トップクラスのシェアを誇る。２０２４年５月時点で北海道から沖縄まで全国89拠点を設けており、細やかな営業やアフターフォローができる体制を敷く。さらに、西日本物流センター（安佐北区）と22年5月に新設した東日本物流センター（茨城県）の自社専用物流拠点２箇所で流通を効率化して納期を短縮。今後も積極的な拠点拡大や、移転・改修を進める。

創業の原点は新商品にあり

　建築現場で天井材を設置する作業員の苦労する姿を見て、創業者が埋め込み式金具「丸井式インサート」を開発したのが始まり。革新的な工法特許を取得した基礎鉄筋組み立て用の金具「キソエース」など現在の製品数は１万点を超える。企業理念の「創業の原点は新商品にあり」、「お客さまに喜んでお使いいただける製品づくり」を念頭に、時代の変化や顧客のニーズに合わせた商品開発を続ける。
　営業担当者を中心に、部署横断での提案にも注力する。社内の一級建築士が現場に使われる基礎鉄筋などの強度を計算して、「キソエース」の形状をオーダーメードで設計するなど顧客がすぐに使える状態に加工。現場の施工担当者も工事関係者に自社製品の特徴をアピールして全員が営業を担う。

働きやすい職場づくり

　社員が健康で充実した生活を送るために働きやすい職場づくりを進めている。24年から完全週休二日制を導入し、年間休日を１２４日に拡大。夏季休暇や年末年始などの長期休暇も取得しやすく、仕事とプライベートが両立できる環境を整えている。女性が力を発揮できない企業に成長は望めないという思いから、産前・産後休暇や育児休業制度など女性社員の応援制度も充実。社員への利益還元にも注力し、23年は定期昇給とは別に、基本給のベースアップを実施した。賞与は年間で基本給12.5ヶ月を支給。賞与は1989年から毎年同様の水準で支給しており、モチベーション向上につなげている。

地域とのつながり強化

　創業の地である広島に育てられたという思いは強く、その感謝を地域に還元し、社員が誇りを持って働ける企業を目指している。
　23年3月、大竹市に美術館、戸建て別荘風のヴィラ、レストランの複合施設「ＳＩＭＯＳＥ」を開業した。美術館は、創業家が集めた美術工芸品などを一般向けに公開したいと開館。来館者数は約1年で10万人を超えた。24年6月には、国連教育科学文化機関（ユネスコ）が創設した世界ベルサイユ賞機構が表彰する「世界で最も美しい美術館」の候補7施設に国内で唯一選ばれた。
　広島が誇るプロスポーツ振興にも一役買っている。24年シーズンは、サンフレッチェ広島のクラブトップパートナーとして、新スタジアムのゴール裏ＬＥＤサイネージに協賛。広島東洋カープでも、社名とロゴを球場のスコアボード下部に掲載しており、試合中のリプレー検証時には大型ビジョンにも映している。
　平和都市広島の企業として、全国の取引先を巻き込んでウクライナを支援。建築現場で使う養生材「ＮＥＷ　ＰＡＣＫＵＮ」の売り上げの一部の１０００万円を22、23年にウクライナ大使館に寄付した。

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