グローバル市場拡大へ
鍵は“顧客起点の深化”
株式会社ジェイ・エム・エス
SDGsを企業価値向上の力に
1965年創業の医療機器メーカー。輸液・栄養、透析、外科治療、血液・細胞の4領域を中心に製品開発〜生産〜販売を進める。土谷太郎氏が医師として創業に込めた精神「かけがえのない生命のために」の下、〝医療を必要とする人と支える人の架け橋〟を標ぼう。新興国をはじめ世界的な医療機器需要の拡大が見込まれるなか、〝顧客起点の深化〟を成長エンジンに、医療現場に必要とされる製品供給にまい進する。
がん分野での事業拡大
医療従事者や治療中の患者さんなどの抗がん剤曝露対策として開発した国産初の薬剤調製・投与クローズドシステム「ネオシールド」は、顧客視点で現場のニーズをとらえた操作性に定評がある付加価値製品。市場要望に基づくシステム拡充により順調に売り上げを伸ばしている。今後、グローバルな主力製品を目指して海外展開の準備を進めている。各国の医療制度に適合させる必要があるため、まずはCEマーク認証を取得した。グループ会社であるシンガポール工場での生産体制を整え、グローバル展開をスタートさせる。
地産地消を推進
国内向け生産拠点として稼働した海外工場は、経済発展に伴い拡大する自国市場のニーズに応えるため現地生産〜販売にシフトを進めている。市場成長が著しい中国で展開中の透析事業は、大連工場と連携して関連製品の地産地消を加速させつつ、着実に売り上げを伸ばしている。日本国内で培ってきた技術やノウハウをもとに、現地ニーズに合った製品開発・生産を世界規模で進め、地産地消の成長戦略を描く。
欧米などの先進国はロボットやデジタル化、AI導入などが進展。マーケット動向をにらみ、グローバル化が加速する市場で業績拡大を狙う。現在、海外に生産5・販売3拠点を配し、90カ国へ製品を提供。世界に通じるJMSブランド構築を目指す。
製品ポートフォリオを強化
2021年2月、事業譲受した急性血液浄化は救命救急・集中治療領域を対象に、既存の外科治療領域と親和性が高い。取扱製品が増えたことでラインナップが強化されただけでなく、親和性を活かした事業展開により市場での独自性を更に高めることで、オンリーワンの価値提供を目指す。
薬剤ロスを低減したワクチン接種用注射器を開発し、21年6月、量産を開始。ワクチン接種回数の追加や対象者が小児にも広がるなどの需要の高まりを受けて、中長期的に安定供給できる体制を整えている。22年9月を目途に現行の生産能力を年間3000万本に引き上げるよう対応を進める。
「未来の医療を先取りした新たな価値を創造し、世界の人々の健康とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の一層の向上を支える企業になる」を長期ビジョンに、中期経営計画「GAIN―RG2023」は23年3月期売上高640億円、営業利益26億円を掲げて取り組みを進める。奥窪社長は、「23年度にサステナブル委員会を設立予定、今年度はその準備を進めている。社員一人一人がSDGsを自分事として何ができるかを考え、グループ会社と連携して課題解決していくための部門横断による推進チームを立ち上げ、活動を開始した。医療を支えるグローバルな活動を通じてSDGsに貢献し、企業価値向上の力にしていきたい」。医療機器メーカーの使命と挑戦が続く。
会社概要
株式会社ジェイ・エム・エス
本 社:広島市中区加古町12-17
設 立:1965年6月
資 本 金:74億1101万円
売 上 高:581億6900万円(2022年3月期連結)
従業員数:1629人(グループ総数5359人)
事業内容:医療機器、医薬品の製造・販売、輸出入
T E L:082-243-5844
U R L:https://www.jms.cc/
※2022年8月当時の情報です。