中国紙工業から社名変更
ラミネート紙など一貫生産
CSK株式会社
「世の中をちょっと良くする」がテーマ
「知恵と努力」で挑む
尾道工業団地の本社工場のほか三原市にも工場を構え、防水性・防湿性の高い包装用ラミネート紙や建築に使う遮熱シート、農地用の被覆シート、養生テープの原反などの生産を手掛ける。シートを形作る糸の製造から織り上げ、コーティング、検品という工程を全て社内で対応する体制を整える企業は全国でも珍しいという。
2024年9月1日付で、従来の「中国紙工業」から社名を変更。引き続き紙の加工を事業の中核とする一方、プラスチック由来の製品など他分野も成長させていく意志を込めている。村上忠正社長は、
「社是は『知恵と努力』。飽くなき探究心とチャレンジ精神を持ち、ものづくりに挑む姿勢を示しています。当社の製品は決して目立ちませんが食品、建築、畳、農業など幅広い分野に使われ、人々の暮らしを陰ながら支えています。研究開発を進め、新たな価値を生み出していきたい」
一貫生産に対応の三原工場
昭和30年代に戦後の復興で建築需要が高まる中、畳表の卸問屋「村上馨商店」として創業。当時は畳がダニの被害を受けることが多く、快適な環境を実現するため畳内部に貼り付ける防虫シートを開発したことを契機に紙工資材分野へ進出した。77年に中国紙工業株式会社を設立し、92年には現在まで続くラミネート加工を開始。2013年に新設した三原工場は23年に第三工場まで規模を広げており、会社の順調な成長がうかがえる。
三原工場ではプラスチックを原料とする扁平形状の糸「フラットヤーン」を製造し、クロス(シート状の生地)を生産。さらに溶かした合成樹脂でクロスを覆い、強度や耐熱性などを高めるコーティングも施す。こうした作業を一つの工場内で行えるため、品質の高い製品を迅速に届けられるようになった。
尾道本社では研究や広報も
尾道の本社工場は紙、クロス、フィルムなど多様な基材への貼り合わせや、三原と同様のコーティングを行う。また巻き取り、断裁といった後加工に対応する。全体の工程管理や検品、出荷準備、研究開発などの役割も本社が担っており、CSKの心臓部と言える施設だ。
本社では社外への情報発信や社員エンゲージメント向上にも力を入れる。23年秋には若手社員2人が中心となって「広報戦略事業部」が発足。社内公募による公式キャラクター「ローリン」と「げんたん」を制作したり、SNSなどで職場の様子を発信したりといった外向けの活動に加え、社内ではLINEやポッドキャストを用いて情報共有を図っている。こうした取り組みの狙いについて村上社長は、
「CSKについて広く知ってもらいたいという思いもあるが、逆に社内外からの意見を集めるきっかけにもなれば。多くの社員が世の中や社内の課題へ目を向けるようになり、それを解決するために情熱を燃やしてくれれば、当社はより強い企業になれるはずですから」
戦後復興期から培った確かな技術とチャレンジ精神に、若い世代の感覚や遊び心を足す。キャッチコピーに掲げる「世の中をちょっと良くすることに本気の会社」として、CSKの挑戦は続く。
会社概要
CSK株式会社
本 社:尾道市美ノ郷町本郷字新池田455-54
他事業所:三原工場、東京営業所、大阪営業所
設 立:1977年4月
資 本 金:8000万円
売 上 高:39億1606万円(2025年2月期)
従業員数:145人(2025年2月現在)
事業内容:ラミネート加工紙製造・販売
T E L:0848-48-3911
U R L:https://www.ccsk.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。