正確と信頼を軸に伝える
好奇心が番組作りの原動力

広島テレビ放送株式会社

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広島テレビ放送
代表取締役社長 三山 秀昭 

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プロフィール

 1969年早稲田大法学部を卒業し、読売新聞社に入社。ワシントン特派員、編集局次長などを経て、2003年読売巨人軍常務球団代表に就任。08年から札幌テレビ放送の専務を務めた。11年6月から社長。現在は会長を務める。

 広島の学生が広島を代表する企業の経営者に「働く」をテーマにインタビューした。今回は、広島テレビ放送の三山秀昭社長(取材時点)。2011年に社長に就いてから視聴率をV字回復させ、平均視聴率は在広局の中で4年連続でトップと好調。番組制作への思いや、働くことへの原動力を聞いた。
―仕事で気を付けていることは。
   常に意識していることが2つあります。1つ目は「正確さ」と「信頼をなくさない」こと。どちらも大切にしています。なぜなら、無理をして面白いものを作ろうとすると、誇張や捏造が生まれ、視聴者の信頼を失ってしまうからです。失った信頼はなかなか取り戻せません。両者はつながっていて、切り離すことはできません。  2つ目は「伝え方」。メディアは人に伝わって初めてメディアと言えます。伝わらないと意味がありません。だから、視聴者の関心を呼び、分かりやすい情報発信に工夫を凝らしています。例えば、高齢者の事故が発生した際に、そのニュースの冒頭で、事故を誰が・いつ起こしたのかを報じるのではなく、「高齢者による自動車事故が相次いでいます」と伝えることで、単一の事柄を伝えるだけよりも、高齢者の運転免許の問題などの現象がクローズアップされて社会性を帯び、より視聴者の興味を引くようになります。とにかく取材後にいったん咀嚼して、伝わるように工夫しなければいけない。いつ・どこで・誰が・何をどうした・どのようにという「5W1H」は、取材の基本です。私自身、新人時代に「100調べて、2つか3つを伝えろ」と教わりました。より多くを取材することで、内容に深みが増します。そして、重要な部分だけに絞ることで、あいまいな部分が省けて、より伝わりやすくなります。 写真2
―働く原動力は何ですか。
   「好奇心」ですね。何でも知りたいと思い、興味・関心を持って調べることが大切。好奇心さえ持っていれば、取材して調べられないことはないし、何より仕事が面白くなるじゃないですか。
―社長にとって働くとは。
   何らかの形で社会に関わることです。ある事象に興味・関心を持って取材し、その内容を伝えることで社会に「問題提起」をする。もしかしたら、自分が投げ掛けることで社会が少しでも変わるかもしれない。社会を改革するとまでは言いませんが、何らかの形で社会と関わって仕事をし、そこに価値を見いだすことが「働く」ということだと思います。
―高視聴率の要因は何ですか。
  「やってみなはれ精神」で、社員のアイデアを否定せずに「面白いね。一生懸命やってみなさい」と背中を押してやるように心掛けています。とにかく、やってみないことには成功は生まれないし、挑戦しないとスタートラインにすら立てません。結果がダメでも仕方がないのです。その場合は、また解決策を考えればいい。社員も自分の意志に反して無理やりやらされた仕事なんて面白くないですよね。このように社員の自主性に任せることで、社員たちも意見を出しやすくなり、社内の雰囲気も良くなります。その結果、次から次に面白い企画が生み出せるのかもしれません。
―座右の銘を教えてください。
   3つあります。1つ目は「Frank is the best」。つまり「率直に話す」ことですね。相手によって話す内容を変える人は嫌いですね。私自身もお世辞を言うのが嫌いで、言われるのはもっと嫌いです。素直に議論することが一番ですね。そのことで言うと、当社の採用面接は「リクルートスーツで来ることを厳禁」にしています。取り繕った姿で来てもらっては困るし、型にはまったことばかり言う人間は面白くないです。率直であることが一番。  2つ目は「挑む心」です。先ほども言った通り、まずはバッターボックスに立ってみる、バットをとにかく振ってみることにしています。3つ目は「内平外成」。つまり「内(社内)が平穏で初めて事を成すことことができる」という意味で、元号「平成」の基になった言葉です。社内がまとまっていることが一番なので、そのような環境づくりに努めています。
―学生へのメッセージを。
   人生でこの時期ほど時間のゆとりがある時期はありません。今を逃すと、ゆとりのある時間は2度と来ません。学生の皆さんは「今しかできないこと」、「今までやり残していること」に時間を費やし、この時期を大事に、意義ある大学生活を送ってほしい。好奇心を持って、まずは一歩踏み出してほしい。 写真3

学生の声

・三山社長は非常にアクティブでクリエイティブな方だと感じました。人と同じでは面白くない、やりたいことをやらないと楽しくない、そのような思いを感じました。だからこそ、広島テレビは魅力ある企業だと感じました。緊張していた私たちにどんどん話しかけていただき、貴重な体験となりました。(江口) ・テレビ局で働くことは、社会と関わることだと強く感じました。その中で大切にしていることは、正確に相手に伝えること。私自身、さまざまなことに好奇心を持ち、チャレンジし続けたい。(大畠) ・特に印象に残ったことは、好奇心という言葉です。これから、好奇心を持って積極的に生きて、人生を変えようと思えたインタビューでした。この機会・お世話になった広島テレビの方々、ありがとうございました。(西本)

会社概要

 日本テレビ系列。「テレビ派」や「スポーツ元気丸」などを放送。JR広島駅北口の二葉の里地区に新社屋を建設し、6月に1~3階を「広島コンベンションホール」として先行オープン。9月に完全移転。(2017年2月時点)