2021年、コロナ下の就活
自己分析し、活動・行動し、視野を広げて絞る。

採用セミナー講師:LHR吉田真

2021の採用環境

 就職活動の様相は、2020年3、4月ごろから新型コロナの影響で、「売り手市場」と言われた前年までからすっかり様変わりしました。
 新規学卒者の求人倍率は、売り手市場が続いた19年が1.88倍,20年は1.83倍。そこからコロナ禍の21年は1.53倍。0.3ポイントも下がったのは10年以上ぶりになります。
 景気の不透明感から、企業から「採用人数を減らす」「今年度は採用を見送る」との声が聞かれるようになった一方で、建設業界、介護福祉業界など、人材が不足している業界もある状況です。
 求人倍率が下がったとはいえ、まだ1.5倍以上もある状況ですので、悲観は不要です。
 22年卒業予定者の採用環境も、コロナの感染状況に影響されるためまだ不透明です。観光、航空、ホテル、飲食業界、これらに関連する企業が大きく影響を受けており、コロナと経済動向次第で、企業の好況・不況の差がはっきり出てくるでしょう。

 

就職活動で大切なこと

①ガイダンスの受講

 23年卒業の新3年生は4月から各校で就職ガイダンスが始まります。
 就職ガイダンスでは、就活の動向や傾向、就活スケジュールの説明があり、大手就活サイトへの登録会を兼ねていたりします。参加すればその後の活動もスムーズに進めやすくなります。
 コロナの状況によってはオンライン開催の可能性もありますが、しっかり情報収集して参加してください。

②インターンシップ

 6月からは、就職ナビでの企業情報の公開やインターンシップ募集などがスタートします。
 20年度卒業予定の学生に対しては、コロナ感染拡大の影響で、大手企業を中心に説明会から面接、採用まですべてオンラインで終了する企業も多くありました。一方で、学生からは、「会社説明会はネット、インターンシップもネット上でグループワークなどをしたけど、会社の様子がわからない。リアルに参加して知りたかった」という声も多数聞きました。
 どの会社を訪問するか選ぶ段階では、WEBでの情報収集は多数の会社を比較できて効率的という面があります。
 でも実際に応募して選考を受けるかどうかは、やはり実際に働く環境や社内の雰囲気などを確かめてから決めたいところです。リアルで体験できるインターンシップはその機会となります。
 このウェブとリアルの使い分けが今後も重要になってくると思います。

③活動のポイント

 会社選びの過程では、興味のある業界、好きな職種、待遇・福利厚生などで絞り込む人も多いと思います。でも学生が知っているのは主に何かしら見聞きした企業、身近なBtoC企業や大企業くらい。そこから選んだ軸は、逆に視野を狭めてしまう場合もあります。

 例えば、福利厚生はあるに越したことはないですが、土日休みを条件にしても、実は特に目的はなく、平日休みでも構わない場合もあります。フレックスタイム制がなくても、勤務時間に融通がきいて仕事と家庭を両立して仕事を楽しめる場合もあります。
 全国には430万社の企業があるといわれており、その9割以上が中小企業です。BtoBで利益を出していて、独自の福利厚生を設けていたり、社員を大切にしている企業なども多数あります。

 おすすめしたいのは、いろいろな社会人に話を聞くこと。学部の先輩、親類、そしてインターンシップの段階で企業の人の話を聞いてみること。
 その機会を作るのは自分の行動です。
 コロナで説明会、インターンシップともオンライン開催が増えています。オンライン合同説明会などは、どんな会社があるかを知るのに有効ですが、インターンシップは、会社や社員の雰囲気をリアルで体験させてくれる会社があれば、積極的に参加してみることを薦めます。

 

④就活で心得ておきたいこと

 就職先選びは「結婚」に似ています。
 これから40年近く勤めるかもしれない会社(相手)ですから、希望した業種、条件で選んで内定(成婚)を目指すだけでなく、どのような人たちと、どういう条件で、どのような仕事をしていくかを見据えることが大切です。
 学生の就活も企業の採用もお互い様です。「どうしたら受かるのか?」ではなく、「自分も会社を選ぶ」、そのために自らも社風や仕事、将来のビジョンなどについて聞き、納得できる会社を選ぶ姿勢で臨んでほしいと思います。

 

 就職活動の成功は、活動量・行動量に比例します。
 自分に合う企業を見つける第一歩として「自己分析」する。
 企業説明会やインターンシップに参加する、OBに会社の様子を聞くなどで「活動・行動」し「視野を広げる」。
 その後、就職したい会社候補を「絞り込む」。1社に絞らなくても、候補3~4社を並べて考えてもいいのです。
 ネットだけではわからない情報を、直接会って集めていく姿勢が大事です。

Profile:吉田 真 氏

広島経済レポート人材採用事業部コンサルタント、株式会社LHR代表取締役。外資系総合人材サービス会社勤務を経て、2012年に独立・創業し、地元企業の採用支援、大学生の就職支援、大学等で就職・キャリアに関する講演を行う。2015年に株式会社LHRを設立。地元企業の人材(新卒・中途)採用のほか育成・定着支援も行う。