異分野だからこそ尊重できる
協創から生まれるデザイン
異分野クロストーク Vol.2
地元経営者や教育現場、スポーツ界のリーダーたちがパネル討論する「業界トップによる異分野クロストーク」。第2回は12月11日に「協創から生まれるデザイン」をテーマに、広島の老舗住宅メーカーのヤマネホールディングス(南区出島)の山根誠一郎社長と広島工業大環境学部建築デザイン学科の杉田宗准教授、グラフィックデザイナーの中山慎介氏の3人が登壇した。
単身世帯や夫婦2人が暮らせる約40平方㍍の平屋「山根木材のちいさな家」を3者が協力してつくり、2017年にグッドデザイン賞を受けた。家造りは通常2000万~3000万円かかるが、500万円の家を実現。山根社長は、
「2000万円以上の住宅は4人家族を想定して造るが、住む人の構成比率は時代に合わせて変わる。現在、一人暮らしが35%、夫婦だけの世帯が22%と約60%が2人以下で暮らしている。そうした家庭へ新しい提案ができる」
とアイデアを採用した。ホテルの1室に着想を得た中山氏が杉田准教授に話を持ち掛けたことがきっかけで始まった。杉田准教授は、
「グラフィックデザインや建築、写真のバックグラウンドを持つ中山さんなど、マルチな知識を持つ人たちがチームになった。自分ができないことを補える異分野だったからこそ、意見を尊重し合って良いものができた」
協創について山根社長は、
「会社を長くやっていると、考えが固まってしまいがち。中小企業にとって新規事業はなかなか難しい。技術や違う視野を持つ人とパートナーを組むことが重要だ」
登壇者プロフィール
山根 誠一郎 氏
ヤマネホールディングス株式会社代表取締役。1973年広島市出身。1998年一橋大学商学部経営学科卒。ソフトバンク㈱に勤務後、広島の老舗住宅メーカー山根木材㈱へ入社。2011年から現職に就任。「家は風土」をコンセプトに、長く住み継げる家づくりに取り組む。近年では、単身者向けの「ちいさな家」、家具ショールーム「DEJIMASTOCK」などで時代のニーズを読んだ理想の暮らしを提案している。
杉田 宗 氏
広島工業大学環境学部建築デザイン学科准教授。1979年広島県生まれ。2004年パーソンズスクールオブデザインインテリアデザイン学科卒、2005年Rogers Marvel Architects,New York勤務、2006年MAD,北京勤務、2010年ペンシルべニア大学大学院建築学科修了、2012-2014年東京大学Global30国際都市建築デザインコースコースアシスタント、2018年広島工業大学環境学部建築デザイン学科准教授。
中山 慎介 氏
株式会社ライナーノーツ代表取締役 グラフィックデザイナー。1977年広島県生まれ。グラフィックデザイナー。広島工業大学環境学部環境デザイン学科卒。広告制作会社に勤務後、2009年株式会社ライナーノーツ設立。環境に対する国民意識が高まった様に、デザインに対する意識も高まれば次世代へ残せる美しい社会づくりの第一歩になると考える運動「Design Perspective」を企画・運営。第10回広島アートディレクターズクラブグランプリ。