《三次》体験型観光を強化
女性など雇用創出へ

21年の地域経済④ 広島経済レポート

写真提供:広島県

屋外で体験する観光に着目

 2020年は新型コロナ感染拡大の影響で春先に予定していた中四国初の熱気球イベント「みよしバルーンフェスティバル」や、全国都市緑化フェアスポットイベントにもなった「第35回三次さくら祭り」など各種イベントが中止に。19年4月に開館した湯本豪一記念日本妖怪博物館(もののけミュージアム)は緊急事態宣言期間中の休館の影響もあり、来場者が初年度の約14万人から約7割減で推移している。
 一方、にぎわい創出に向けた新たな取り組みもスタートしている。20年10月30、31日の2日間、日本初の妖怪をテーマにしたハロウィーンイベント「もののけハロウィン」が開催され、当初1000人の予定に対して延べ3200人が来場した。内訳は三次市内からが約7割、県内の他市からが約1割、県外からが約2割だった。また、ツイッターでイベントの様子を配信したところ、約600人の視聴があった。20年5月にみよし観光まちづくり機構が配信を始めた「三次まち歩きアプリ」は11月末時点で約1000人が登録。スマートフォンのアプリで市内の観光情報や人気スポットなどが一覧で確認できる。
 さらなるコンテンツの充実へ、プロモーション動画制作やアフターコロナに向けた屋外での体験型観光商品の企画に力を入れる。例えば、灰塚ダムトライアルパークでの専用バイクや自転車を使ったトライアル競技体験(地面に足を着かないように規定のコースを回る競技)や、「山ガール」と呼ばれる若い女性インストラクターが案内する登山観光などを企画する予定。みよし観光まちづくり機構の永江博之専務理事は、
「今後は見る観光から屋外で体験する観光がより求められるようになります。日帰り客が多い中、宿泊につなげるために三次ならではの妖怪旅館などがあれば面白いですね」

女性活躍推進拠点で創業促す

 18年4月にオープンした女性専用の無料コワーキングスペース「アシスタlab.」は20年11月末時点で292人(前年比59人増)が登録。家庭と仕事の両立を模索する女性たちを応援し、新たな雇用を生み出すクリエーティブスペースで、常駐スタッフによる個別相談などを行う。7~11月は月に1回のプチ創業セミナーを開催し、各回15~20人が参加した。20年は市内初のエアリアルヨガ教室やカフェ、情報発信ユーチューバーなどの新規開業があった。U・Iターン希望者向けに月に1回土日のどちらかに施設を開放し、利用を促す取り組みも始めた。