海外生産背景強みに 新たなマーケット開拓
株式会社アスティ
変化を見極め、果敢に挑戦
インテリア事業において2021年秋に立ち上げたライフスタイル雑貨ブランド「GOOD LINEN SUPPLY」の販売を開始し、WEBサイトをオープンした。全国のインテリアショップやセレクトショップで取り扱うとともに、オンラインショップでの販売も行う。『毎日使い、まいにち洗う。だから、リネンを選ぶ。』をブランドコンセプトに、キッチンタオル、テーブルナプキン、ピローケースなど、こだわりの上質なリネンで作る、オリジナルアイテムを展開。今後はホテルやレストランなどの業務用も視野に入れる。
マーケットを見極める
海外生産背景を強みにODM(企画から参画する相手先ブランド生産)やOEMで主力のアパレルメーカー事業を伸ばしてきたが、ここ数年は従来型のアパレル以外のマーケット開拓を進めていた。こうした中、コロナ禍によって環境は激変、マーケット開拓を加速させている。ユニフォームの扱いを本格化させ、これまであまり扱ってこなかったスポーツやアウトドア関連にも進出を目指す。
DtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)事業では、インフルエンサーが商品開発に参画したブランドサイトを運営している。インフルエンサー自身のSNS上で、フォロワーに対し商品プロモーションを行い、ブランドサイトへの集客を促す仕組みだ。アパレルをはじめバッグなどの服飾雑貨を幅広く企画、生産できる強みを活かし、さまざまなジャンルで注目されているインフルエンサーの想いを商品開発につなげていく。一方で、コロナ収束に伴って、テーマパークやプロスポーツチーム向けグッズなどを手掛けるコンテンツビジネスも復活し始めており、マーケット拡大へ提案営業を活発化させている。
海外生産背景を強化
これら今後の成長戦略を支える新規事業と、従来のアパレルODMを支えているのが海外生産背景だ。中国、ベトナムに12年から素材から調達できるバングラデシュを加え、コスト競争力も強化。大手量販店や専門店チェーン向けカットソーや布帛(織物)の生産を始め、16年には首都ダッカに駐在員事務所を設け生産管理力も高めた。原材料価格の高騰や、急激な円安、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響で、バングラデシュ生産の優位性がさらに高まった。今後は〝サステナブル(持続可能な)素材〟の比率を上げていく構え。矢口靖司社長は、「SDGsの世界的な潮流を受け、サステナブル素材だけでなく、海外工場の環境も重要なポイントとなってくる。選ばれる工場として持続可能な生産体制も整えていく」と話す。
人の成長が企業の成長
経営戦略上、グローバル人材育成は最重点課題。語学やコミュニケーション力は無論、文化の違いを理解し、自分の考えを正確に伝える力を養う。コロナ禍で海外出張が制限される中、国内での人材育成に力を注ぐ。
1960年代、日本一の地方問屋と言われた。祖業の繊維卸、十和は流通革命を前に事業を川下(小売)に広げ、やがて川上(製造)に軸足を移す。これがアスティの礎だ。人の成長を大切にする創業者、尾山悦造氏の「まっとうな経営」を継承。創業来の企業風土「失敗を恐れず果敢に挑戦」が息づく。
会社概要
株式会社アスティ
本 社:広島市西区商工センター2-15-1
設 立:2006年9月
資 本 金:1億円
売 上 高:73億円、グループ94億円(2022年2月期)
従業員数:99人
事業内容:アパレルおよびバッグの企画・製造・販売
T E L:082-278-1111
U R L:https://www.asty.co.jp
※2022年8月当時の情報です。