バングラデシュが決め手
ODM・OEM 競争力アップ

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アパレルメーカー事業を拡大

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 海外生産背景を強みにODM(企画から参画する相手先ブランド生産)やOEMを主力とするアパレルメーカー事業を展開する。中国やベトナムに加え、繊維産業が盛んなバングラデシュでの生産拡大が奏功。近年、円安や原材料価格の高騰を受けアパレル業界では生産地見直しの動きが強まる中、競争力を押し上げている。

コスト競争力に応える

 バングラデシュは2016年に首都ダッカに駐在事務所を構え、現地生産を拡大してきた。進出は業界内でも早い。大手量販店や専門店チェーン向けカットソーや布帛(織物)などを手掛け、品質や納期も安定し、得意先からの評価も高い。素材から調達できるメリットに、コスト競争力も強まり、優位性が高まっている。
 さらに低コストでの供給を目指し、同国内最大の港チッタゴンでの生産を2022年にスタート。今後、現地スタッフを常駐させる計画だ。一方、ダッカの工場は、付加価値の高い商品を安定供給できるように、現地入りした担当者が生産管理などを継続的に指導。中国から生地の安定供給ができる体制も整え、両拠点の生産機能をさらに高める。新井社長は、「中国、バングラデシュ、バッグが主力のベトナムなど各拠点の強みを生かし海外生産背景を拡充する。輸入枚数ベースで中国とバングラデシュは拮抗してきた。将来を見据え、バングラデシュでの生産機能の強化のために注力していく」と話す。

サステナブル生産

 アパレル生産はエネルギー使用量などから環境負荷が大きいといわれる。近年国際的な課題とされ、サステナブル(持続可能)な取り組みが急速に広がる。アスティは22年下期、繊維工業用界面活性剤を製造する日華化学(福井市)と協業し、染色工程による環境負荷を低減する仕組み「スマート ダイイング プロセス」を導入。綿混生地の既存の精練や染色工程を見直し、サステナブルな染色加工を施す。有害化学物質を使用しない環境対応製品の開発や、繊維加工の工程合理化、排水・エネルギー消費を削減し、水使用量を4割、CO2排出量3割、加工時間2割をそれぞれ削減する。実践できれば生産性向上や作業環境改善につながると期待。SDGsの世界的な潮流を受け、サステナブルな生産体制を整え、選ばれる工場を目指す。

グローバル人材を育成

 海外生産背景の拡充に加え、企画力を磨く。海外でのマーケットリサーチのほか、全社員を対象にトレンドセミナーなどを実施。最新情報をつかみ、知見を深め、アパレルメーカー事業の推進力を増強する。
 経営戦略上、グローバル人材の育成は必須。語学やコミュニケーション力に加え、文化や慣習の違いを理解した上で、海外で自分の考えを伝える力を養い、ウィンウィンの関係を築く狙い。コロナ禍で中止していた若手の海外出張を復活させた。現地の生産現場を体験し、製品を自ら手にすることで、営業に役立ち仕事にやりがいが生まれるはずだ。
 祖業の繊維卸「十和」は流通革命を前に事業を川下(小売のフジ)に広げ、やがて川上(製造)に軸足を移す。これがアスティの礎となった。創業来の「失敗を恐れず果敢に挑戦」により業容を広げ現在、東証プライムに上場する4℃ホールディングスのグループとして経営力を高める。



会社概要

株式会社アスティ
本  社:広島市西区商工センター2-15-1
設  立:2006年9月
資 本 金:1億円
売 上 高:76億円、グループ99億円(2023年2月期)
従業員数:101人
事業内容:アパレルおよびバッグの企画・製造・販売
T E L:082-278-1111
U R L:https://www.asty.co.jp
※2023年9月当時の情報です。