地域に根差した街づくり
4分野で事業循環~価値創造
テラスホールディングス株式会社
チャンスは自らが生み出せ
広島都心部の変貌とともに事業のステージを広げている。解体工事を起点に、不動産に価値を生むビジネスモデルを構築してきた桑原組の持ち株会社として、グループシナジーを発揮。再生~創造~暮らし~集うの4テーマを掲げて各事業領域を循環させ、街づくりに照準した事業を本格化する。
実績が実績を生む
中四国地方最大のオフィス・商業集積地の紙屋町・八丁堀地区は、多くの建築物が更新時期を迎えている。70年近い業歴を重ねる桑原組は、広島市内中心部で大型ビル解体を数多く手掛け、実績は1万棟以上。地銀本店や大手生保ビル、現在、基町相生通地区第一種市街地再開発事業が進む跡地にあった新聞社ビルはそれぞれ2回手掛けた。市街地では安全や衛生面などに配慮し、高度な技術が求められる。難易度の高い工事を重ね、高層ビルをはじめ大型案件など主要ゼネコン5社などから請け負う一方、元請けも増えてきた。
解体工事をスタートに、独自に確立した土地再生ビジネス「ワンストップ土地更地化サービス」(商標登録済)は、土壌汚染やアスベストなどの環境リスク対策~不動産活用を一貫体制で手掛け、解体のブランド化を図った。これがHD体制につながった。2022年9月、「テラスホールディングス(株)」誕生。第二本業化を目論む事業の創出と経営人材の育成、輩出が狙いだ。
自ら機会を創る
桑原社長は、「自ら機会を創り出し、その機会によって自らを成長させよ」を信条とし、経営の原動力に据える。テラスHD始動で再生(解体やリノベーションなど)~創造(家づくりや土地の有効利用など)~暮らし(不動産賃貸、飲食店)~集う(研修、イベント企画・運営)を循環させる体制が整い、これに自らが土壌を耕し、種をまき、育てる企業風土を根付かせていく。
23年秋、広島駅南口側の広島JPビルディング2階にレストランやベーカリー、ラウンジなどを配し、フードホール「グランゲート広島」を開業した。もともと同ビル解体の受注が発端。駅最寄りならではの立地を生かし、大規模再開発ビルの資産価値を高めたいと提案した。グループ初の飲食事業として軌道に乗せ、イベントや企画にも知恵を絞る。「そこに人が集い、交流が生まれる仕掛けを考えた。当初は頼まれてもいなかった提案だが、可能性を無駄にしたくなかった」と桑原社長。新たなステージにスタッフが目覚ましい働きを見せる発見もあった。
社会課題にも着目
首都圏中心にリノベーション関連も大手不動産から継続して受注。3M社機能材フィルムに端を発す事業領域で25年以上扱い、提案力を増す。17年にFC加盟で始めた住宅建設事業「無印良品の家」や宅地分譲・賃貸のほか、空き家の管理・再生にも参入。社会問題化する分野に商機と地域貢献を見いだす。
街をよみがえらせる一翼を担い、戦後広島の復興に業歴が重なる。桑原社長はリーマンショックで売り上げが10億円を割った厳しい経営状態で引き継いだ。つらい選択を乗り越え、グループ全体で30億円まで引き上げた。市中心部では広島駅周辺と紙屋町・八丁堀を核に楕円形の都心づくり構想下、再開発計画が目白押し。自ら機会を創り、グループビジョン「人と街の歴史を未来に繋げる」を実行し続ける。
会社概要
テラスホールディングス株式会社
設 立:2022年9月16日
資 本 金:1億円
売 上 高:28億円(2023年11月期)
従業員数:75人
事業内容:総合建物解体工事、環境リスク対策工事、無印良品の家販売、建築、不動産売買・仲介・開発、リノベーション、飲食
T E L:082-507-2244
U R L:https://www.terrace-hd.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。