Vol.7 鉄筋工 ~建物の骨組みを作り上げる専門技術者~[株式会社イチカ]

【広島商工会議所】地場建設産業の担い手に聴く!

地域インフラ整備 ・ 維持の担い手であり、地域社会の安全 ・ 安心の確保を支える国土・地域の守り手でもある建設業は、我が国の基幹産業として重要な役割を果たしています。建設現場の最前線で活躍されている様々な職種の建設職人や技術者にスポットを当て、地場建設産業の魅力の一端をご紹介します。(広島商工会議所建設業部会)

鉄筋工 株式会社イチカ 工務部長
髙先 正浩さん

ー鉄筋工とはどういったことをするお仕事ですか。 コンクリートの中に入っている鉄筋は、人体で言うと筋です。この鉄筋が、コンクリートで作られた建物(ビルなどの建築物や橋などの構造物)の強度を増し、安全性を高めています。鉄筋工事は、鉄筋を加工し網目状に組み立てていく工事で、この工事に携わる職人が鉄筋工です。
建物の骨組みを作る工事のことを躯体工事といい、中でも鉄筋工、足場を組む鳶(とび)工、型枠大工は「躯体三役」と呼ばれ、鉄筋コンクリート工事現場ではとりわけ重要な役割を担っています。躯体(コンクリート部分)が上棟すれば、私たちの仕事は終わりです。
鉄筋を水平・垂直・平行にきれいに早く収めるには、鉄筋工の持っているノウハウがものを言います。1㎝単位の精度を問われ、責任の重さを感じます。今、建設業界ではIoTやロボットなどの先端技術が導入されつつありますが、この仕事は、最後は人の手にかかっています。

ー簡単に自己紹介をお願いします。 はじめは鉄筋工になりたかったわけではなく、アルバイトがきっかけでこの業界に入りましたが、仕事が面白く、結局この業界に20年以上います。
鉄筋工として働くために必要な資格・学歴はありません。学校で建築や土木を学んでいなくても、未経験からスタートし、知識や技能を身につけ、リーダーや職長を目指すことができます。
ある程度の規模以上の公共工事には、1級鉄筋技能士の常駐が必要ですから、資格を持っていると有利です。私は現在、1級鉄筋技能士と基幹技能士の資格を所持しています。鉄筋技能士は、建築や土木に関連する学校を卒業していなくても、実務経験があれば受験することができます。基幹技能士は、上級職長に位置づけられる資格で、現場作業を円滑に行うための“とりまとめ役”として、現場の調整やマネジメントに携わることができます。

ー仕事上の苦労があれば教えてください。 夏の暑さは、厳しいです。鉄筋工はいつも建物の一番高いところで仕事をしていますので、常に太陽が近く、暑いです。
仕事は、設計された図面どおりに間違いなく組み立てます。同じマンションでも、フロアによって、梁の鉄筋の本数や大きさも異なり、1つとして同じものはありません。最近は配筋が複雑になっていて、それを間違いなく組み立てることが、私たちの仕事です。図面は結果であり、決まった工期の中でその結果にしていく。その過程が大変なのです。

ーどのような時にやりがいを感じますか。 私たちの仕事は、出来上がったら外からは見えなくなる地味な仕事ですが、魅力・やりがいもたくさんあります。
建物が出来上がった時は感慨深く、携わったマンションのCMなどを見ると、嬉しいですね。文化財を手掛けたこともあり、難しい仕事でしたが、貴重な経験ができました。
よく地図に残る仕事と言いますが、10年経っても自分の携わった仕事が残っている喜びは大きいです。社会になくてはならない仕事であり、多くの人の役に立っているという誇りもあります。一度身に付けた技術は、一生の役に立つということも大きいですね。

ー仕事に興味を持った方へのメッセージなどがあればお願いします。 私も含め皆、建築のことは全く知らないところからスタートしています。先輩方は優しい人が多いので、分からないことは教えてもらえますし、やればやった分だけ知識や技術が身につきます。私もいつの間にか面白くなり、やりたいことが仕事になって、いつの間にか鉄筋工になっていました。間口は広いので、上を目指したい人はぜひチャレンジしてほしいですね。今は若い人が少ないので、大きなチャンスがあると思います。

会社概要

株式会社イチカ 所 在 地:広島市西区中広町2丁目4-1
事業内容:鉄筋工事業
創  業:1983年1月

(2020年12月現在)
情報提供:広島商工会議所 産業・地域振興部 産業振興課