国内外で物流網拡充 業務効率化にも注力
多面的かつ積極的な対策で人員を確保へ

福山通運株式会社

動画をリクエストする

 運送業界大手で、中四国地区で業界トップを進む。グループ会社を含め支店や営業所などの拠点は約400カ所に上り、法人向けを中心に全国へ物流網を広げている。2018年には引っ越し事業を手掛けるキタザワ(東京)を子会社化し、成長が見込める分野を強化する。また、かねてから進めている運賃・料金の見直しを加速する一方、荷役作業の機械化など業務の効率化にも積極的に取り組む。
  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3
  • 写真1
  • 写真2
  • 写真3

国際物流で拡大

 国際物流では、タイを起点としたクロスボーダートラック輸送のルート拡大など、一層の強化を図る。中国・東南アジアからの輸入貨物の取扱量が堅調で路線拡大が続く。

従業員定着に働き方改革を推進

 人員確保のため、賃金のベースアップ、連続休暇制度の導入、日曜集配中止など賃金改善や休暇取得を軸に、働き方改革を強力に推し進める。集配運転手の離職率は前年度から2・7%改善しているほか、運行運転手でも離職率が改善しており、従業員定着に成果が表れている。
 18年度の採用面では440人が、従業員からの紹介で入社した。さらに60歳定年後の再雇用者の賃金制度を改定し、再雇用率100%も達成した。
 働き方改革は、関連法令への対応を含め、今後も取り組みを継続する。賃金改善や女性活躍、7日連続休暇、従業員満足度向上といった多面的な対策を通じて、従業員の定着と採用の促進につなげる。

IT活用し業務効率化

 業務の効率化では、IT活用に力を入れる。送り状への荷受人のサイン・押印は、集配運転手が使用するハンディターミナル(HT)へのタッチペン入力に変更した。複数件の荷物受領でも1回のサインで完了でき、配達完了問い合わせの対応にも、判取りした送り状を調べることが不要になる。
 送り状発行システムは、18年9月に「iSTAR―X(アイスターテン)」を開発した。インターネット環境のあるパソコンと一般的なプリンターがあれば、専用の用紙は不要でA4用紙で送り状が作成できる。過去データを呼び出して得意先の送り状を追加作成することや、配送状況問い合わせも容易になり、集配運転手のHT入力作業も減少する。

社会や環境・安全に貢献

 また運送事業者として交通安全・事故防止に努めており、段階的に導入を進めるドライブレコーダーは、安全運転や事故原因究明のほか、エコドライブ意識向上にも役立っている。地域に対しても各地で交通安全の街頭活動や学校での交通安全教室を実施しており、年々実施回数を増やしている。

効率的な輸送目指し今後も各地に拠点拡充

 中継エリアの自社配送化など、引き続きコスト削減や効率的な輸送、輸送品質の向上を図るため、18年度は大分杵築、養父、北海道滝川の各営業所を開設した。さらに19年度から20年度初頭にかけて一宮流通センターなど3拠点を開設し、その後も5拠点の開設を計画する。けん引免許を持つ運転手を活用して大型トレーラーも増車し、輸送効率を高める。

会社概要

福山通運株式会社
本社:福山市東深津町4-20-1
設立:1948年
資本金:303億1045万円
売上高:2856億8600万円(2019年3月期連結)
従業員数:2万4041人
事業内容:貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、
倉庫業、荷造梱包業、通関業ほか
T E L:084-924-2000
U R L:http://www/fukutsu.co.jp

※2019年8月当時の情報です。