業務用の卵焼きで全国トップ級
ヘルスフードや海外販売も
株式会社あじかん
サステナ経営推進、新規事業の確立急ぐ
創業者の足利政春氏が京都の卵焼きの老舗「吉田喜」から、のれん分けを許され、1962年に広島市で創業。手焼きのようにふっくらとした卵焼きを武器に、業務用卵焼きで全国トップ級のシェアを誇る。かんぴょうやカニ風味かまぼこなどの巻きずし具材のほか、きんぴらゴボウなどの野菜加工品も手掛ける。近年はゴボウ茶などのヘルスフード事業や海外事業も事業の柱に成長し、国内外の食を支えている。
3事業で成長を加速
業務用食品事業は卵焼きをはじめとした巻きずし具材をスーパーの総菜など中食向けに提供。レストランチェーンやホテルなど外食向け営業も強化し、着実に納入先を広げている。
海外事業では中国や北米の日本食スーパー、外食店に厚焼き卵などを販売する。日本食ブームも追い風となり、年商10億円を超える規模に成長。2021年にはアメリカに子会社「AHJIKAN FOODS,INC.」を設立し、現地に根ざした営業活動を行う。近年は東南アジアのすしチェーンなどでも採用が拡大。ヨーロッパ向けにも提案活動を強化する方針だ。
「おいしい健康」をキーワードに取り組むヘルスフード事業は、機能性表示食品の「焙煎ごぼう茶」を通販や全国のドラッグストアなどで販売。他素材とのブレンドで複数の健康効果を訴求した新製品「焙煎ごぼう茶 ごぼうのおかげW」もおいしさと健康を両立できるとして消費者から人気を集める。
新規事業に挑戦
23年に焙煎ゴボウを主原料としたチョコレート風の新食品素材「MelBurd(メルバード)」を開発。24年8月には同素材を使う菓子「GOVOCE(ゴボーチェ)」を自社通販サイトで発売した。12月から小売店でも扱う予定。チョコレートに並ぶ新素材に育てたいという。
サステナビリティーを推進
サステナビリティー(持続可能性)経営を掲げ、二重包装の取りやめなどで環境負荷の低減を図る。
また、日本古来の食文化である巻きずしを次世代に継承しようと、「巻寿司ってオモシロい」を合言葉に普及活動に力を入れる。24年に専門部署「巻MAKI課」を設け、小学校などでの巻きずし教室に加え、各種イベントに巻きずしの屋台を出店するなど活動を活発化している。
同課による子ども食堂での巻きずし教室のほか、ゴボウ茶の売り上げの一部の国連世界食糧計画(WFP)への寄付、フードバンクへの製品提供など、食にまつわる支援活動も広げている。
「おいしさ3・0」の時代へ
30年までの長期ビジョンに基づき、効率的な生産体制の整備、働きがいの醸成、ⅠT化などを進める。理想は「仕事に厳しく、人に温かい」組織。トップを含めた社員一人ひとりが自己管理を徹底し、プロの仕事を行う一方、失敗を頭ごなしに責めず、背景や思いも大切にする。
「イキイキ!ワクワク!」働ける環境で、人も会社も成長できる組織を目指す。足利直純社長は、
「当社は味を追求する〝おいしさ1・0〟から始まり、今はおいしくて体に良い〝おいしさ2・0〟の時代にあります。今後はおいしくて、体に良く、さらに地球にも良い〝おいしさ3・0〟の時代へ向け、環境にも配慮した取り組みを推進。会社、従業員、取引先、地域社会の共存共栄に貢献できる企業を目指します」
会社概要
株式会社あじかん
本 社:広島市西区商工センター7-3-9
設 立:1965年3月(創業1962年10月)
資 本 金:11億225万円
売 上 高:502億4038万円(2024年3月期連結)
従業員数:880人(2024年3月末連結)
事業内容:鶏卵・野菜加工品、水産練製品などの製造販売および卸売り、農産物の生産、販売、ならびに運輸業
営業拠点:全国36カ所
工 場:(国内)つくば・守谷(茨城)、静岡、広島、鳥栖(佐賀)
(国外)中国2カ所
T E L:082-277-7010
U R L:https://www.ahjikan.co.jp/
※2024年9月当時の情報です。