120年のノウハウ生かし コロナ後の変化に対応

広島駅弁当株式会社

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食を通じて地域社会の課題解決に挑戦

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 2021年3月に創業120周年を迎えた。安心で安全な食を生産地から食卓まで届ける「From Farm to Table」をコンセプトに多角的な食ビジネスを展開する。学校や高齢者施設などの給食受託事業のほか、高齢者宅への配食事業などを手掛け、「ファーストコールフードカンパニー(FCFC)」を目指す。

のれん継承、文化を守る

 15年に小郡駅弁当(山口県)の廃業を機にレシピを継承。18年には福岡市博多区の老舗駅弁業者「博多寿軒」ののれんを引き継ぎ、子会社「博多寿改良軒」を福岡市に設立。最盛期には400社以上あった全国の駅弁業者は、鉄道の高速化や中・外食産業との競合で現在90社まで縮小し、廃業も目立つ。地域に根付き、親しまれた駅弁という精神文化を途絶えさせてはいけないと、中島和雄社長はその強い覚悟でのれんを継承した。

サンドイッチ店に挑む

 20年に開業した「道の駅三矢の里あきたかた」内の高級食パン専門店に引き続き、22年5月、広島市内中心部に高級食パンを使ったサンドイッチ店を開いた。歴史ある弁当業者のノウハウを生かしてソースなどを開発したほか、揚げ物なども店内で手作りする。さらに、地産地消にこだわり、卵・鶏肉・果物など県内産の食材を使用。

機能性弁当「明日の食卓」

 健康長寿社会の実現に向け、18年に総務省のIoTサービス創出支援事業として市や県、広島大学病院、企業と連携し、高齢者の栄養改善・虚弱予防支援を目的とするモデル事業を受託。大学病院と共同開発した新メニューを施設入居者に提供し、多くの高齢者の栄養状態を改善した。この実績を基に、20年度からは広島大学未病・予防医科学共創研究所と共同研究契約を締結。医学的・栄養学的なアプローチからフレイル(虚弱)や生活習慣病の予防・改善を実現する機能性ブランド「明日の食卓」を立ち上げ、21年4月に発売。在宅高齢者向けの配食を中心に商品を提供、今後は企業向けや量販店へも販路を広げる。

仕出しをリブランド

 約30年前に誕生した仕出し「あじろや」は、弔事などを中心に長年支持されてきた高級和食ブランドだ。コロナ禍では、自宅での慶事などが増えたことや新たな食のワークシェアリングを見据え21年4月に「あじろや厨房」としてリブランド。洋食やすしなどを加え、最高のおもてなしをコンセプトに〝ごちそう〟や〝高級感〟をテーマにメニューを刷新し、ケータリングサービスなどで最高の食の空間を届けている。

食と地域社会の未来築く

 中島社長は、「全従業員が食を通じて地域社会に成すべき企業の使命を胸に刻み、顧客価値の飽くなき追求のためにたゆむことなく行動する。社会が抱える課題を資本的に解決することで、その先に名実ともに地域の皆さまに必要とされるFCFCの実現があると定義している。創業120年の伝統を強みとし、革新への挑戦を続け、顧客価値を追求する」と語る。

会社概要

広島駅弁当株式会社
本  社:広島市東区矢賀5-1-2
設  立:1901年4 月
資 本 金:9250万円
売 上 高:40億円(2022年3 月期)グループ4社の売上高は62億円
従業員数:グループ 1000人(パート、アルバイト含む)
事業内容:弁当・総菜の販売製造、生活支援サービス
T E L:082-286-0181
U R L:http://www.ekibento.co.jp/
※2022年8月当時の情報です。