120年のノウハウ生かし
子どもから高齢者まで食を提供

広島駅弁当株式会社

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食を通じて地域社会の課題解決に挑戦

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 2023年3月に創業122周年を迎えた。安心で安全な食を生産地から食卓まで届ける「From Farm to Table」をコンセプトに多角的な食ビジネスを展開する。学校や高齢者施設などの給食受託事業のほか、高齢者宅への配食事業などを手掛け、「ファーストコールフードカンパニー(FCFC)」を目指している。

のれん継承、文化を守る

15年に小郡駅弁当(山口県)の廃業を機にレシピを継承。18年には福岡市博多区の老舗駅弁業者「博多寿軒」ののれんを引き継ぎ、子会社「博多寿改良軒」を福岡市に設立。最盛期には400社以上あった全国の駅弁業者は、鉄道の高速化や中・外食産業との競合で現在90社まで縮小し、廃業も目立つ。地域に根付き、親しまれた駅弁という精神文化であり日本固有の鉄道食文化を途絶えさせてはいけないと、中島和雄社長はその強い覚悟でのれんを継承した。

子どもから高齢者まで県内外で配食事業展開

 同社は17年から全国初の民設民営の学校給食センター「広島アグリフードサービス」を広島市佐伯区に稼働している。同施設では1日1万食以上を生産でき、同区内の小中学校などに現在は12000食を提供する。給食事業外の時間を有効活用し、高齢者施設や病院への食事の製造・供給も行う。食材を地域の契約農家から調達するなど、地産地消にも取り組む。
 広島でのこのビジネスモデルの知見・ノウハウを生かして24年1月、山口県下関市に「下関アグリフードサービス」の稼働を開始し、学校給食と在宅高齢者配食を賄う。中島社長は、「超高齢化社会への対応、農業の活性化、持続可能な社会資本の整備、食育など、地域が抱える課題は多くあります。これらの課題を〝食〟で解決することでさまざまな角度からお客さまや従業員の満足度を高めたい」と話す。

食を通じた社会課題を産業的に解決

 健康長寿社会の実現に向け、18年に総務省のIoTサービス創出支援事業として市や県、広島大学病院、企業と連携し、高齢者の栄養改善・虚弱予防支援を目的とするモデル事業を受託。広島大学病院と共同開発した新メニューを高齢者施設の入居者や在宅高齢者などに提供し、多くの高齢者の栄養状態を改善した。この実績を基に、20年度からは広島大学未病・予防医科学共創研究所と共同研究契約を締結。医学的・栄養学的なアプローチからフレイル(虚弱)や生活習慣病の予防・改善を実現する機能性ブランド「明日の食卓」を立ち上げ、21年4月に発売。在宅高齢者向けの配食を中心に商品を提供、今後、企業向けや量販店へも販路を広げていく。

食と地域社会の未来築く

 中島社長は、「全従業員が食を通じて地域社会に成すべき企業の使命を胸に刻み、顧客価値の飽くなき追求のためにたゆむことなく行動する。社会が抱える課題を産業的に解決することで、その先に名実ともに地域の皆さまに必要とされるファーストコールフードカンパニーの実現があると定義している。創業122年の伝統を強みとし、革新への挑戦を続け、顧客価値を追求する」と語る。



会社概要

広島駅弁当株式会社
本  社:広島市東区矢賀5-1-2
設  立:1901年4月
資 本 金:9250万円
売 上 高:47億円(2023年3月期)
グループ2社の売上高は66億円
従業員数:グループ 1000人(パート、アルバイト含む)
事業内容:弁当・総菜の販売製造、生活支援サービス
T E L:082-286-0181
U R L:http://www.ekibento.co.jp/
※2023年9月当時の情報です。