洗濯機を尾道から世界へ
業務用で国内トップメーカー
株式会社山本製作所
2028年売上高100億円目指す
業務用洗濯機やコインランドリー用機器、リネン業界向けロールアイロナーなどの製造・販売を手掛ける機械メーカー。業務用洗濯機で国内トップクラスの生産台数を誇り、ドライ機部門では約50%のシェア(生産台数)を維持している。
創業は1947年。「真似るより真似られるようなマシンを創る」という信念で独自の技術を開発してきた。ほぼ全ての加工部品を自社生産しており、競争力の源泉とされる内製化率は98%を占める。他社に依存しない生産体制を築くことで、滞りのない半永久的な部品供給と価格競争を可能にしている。顧客が安心して長い期間、製品を使用できる「フォー・エバー・マシン」という独自の価値を提供する。
営業が市場のニーズや要望を開発担当者にフィードバックし、企画~構想~設計~試作~完成の全製造プロセスに関わる開発手法を採用。オフィスと工場、顧客のもとを行き来しながらモノづくりに取り組むことで実践技術が向上し、顧客のニーズに沿った製品開発を可能にする。
業界初のランドリー機
2017年にスマートフォンと連携できる業界初のランドリー機「スマートランドリー」を開発。専用アプリを使って空き状況確認や機器の扉の施開錠、キャッシュレス決済、領収書発行などに対応する。洗濯の終了通知のほか、利用回数に応じてポイントが付く仕組みも整え、顧客利便性を飛躍的に向上させた。IoT技術の活用は、ランドリー経営者にも大きなメリットがある。不特定多数だった顧客層や稼働状況の分析、アプリを通じたセール情報発信など、これまで難しかったマーケティング活動を可能にした。
23年には気象データに基づくコインランドリーのAI需要(稼働率)予測機能を業界で初めて開発。天気や連続降水日数、黄砂の影響などさまざまな角度で分析し、相関関係の高いものを需要予測アルゴリズムに採用した。これによりランドリー経営者は需要予測に応じて価格を柔軟に変動させるダイナミックプライシングなどの施策が採りやすくなり、オフピークへの顧客誘導による平均稼働率の向上が期待できるという。
世界のトップメーカーへ
28年に売上高100億円の目標を掲げ、本社工場に次ぐ第二の生産拠点「山波工場」の整備に取り組んでいる。併せて、海外市場向けの製品開発や販路開拓など、十数年かけて世界で勝負できる体制づくりを進めてきた。
特に最大のマーケットである米国では、12年にカンザス州に現地法人を設立し、米国向け製品の開発や全米を網羅する代理店ネットワーク構築に注力。米国での売上高はここ数年で倍増しており、今後も同市場での売上高は毎年5割増を見込む。アジアやヨーロッパ市場開拓に向けた準備も盤石だ。18年にフランスに現地法人を設立し、20年からはスウェーデンの大手サプライヤーへのOEM供給がスタート。アジアでも21年に中国合弁会社を設立したほか、シンガポールやマレーシア、香港、インドへと代理店開拓を進めている。
企業規模の拡大に合わせて、環境配慮への取り組みも積極化。23年には尾道市沿岸域のブルーカーボンクレジットを購入し、干潟・藻場の保全活動などに役立てている。
会社概要
株式会社山本製作所
本 社:尾道市長者原1-220-19
設 立:1956年7月(創業1947年4月)
資 本 金:1億円
売 上 高:53億9500万円(2023年12月期)
従業員数:222人(2024年4月現在)
事業内容:業務用洗濯機全般の製造と販売
T E L:0848-48-5300
U R L:https://www.onomichi-yamamoto.co.jp
※2024年9月当時の情報です。