Vol.2 株式会社セイム
~ⅠT専任担当者を採用して環境整備 テレワーク促進で働きやすい環境へ~
◆◇◆企業を変えるテレワーク ー 県内企業の挑戦 ー ◆◇◆

三原市で公共・民間工事の建築施工管理を手掛けるセイムはIT専任担当者を雇用し、テレワーク環境の整備に力を入れている。推進担当の福戸山友貴部長に話を聞いた。
テレワークに取り組んだ背景
― コロナ禍を機に環境整備を進める
株式会社セイム / 福戸山 友貴 取締役営業企画部長
そこで、総務担当者を中心に業務のデジタル化を進めるためにITツールの導入を検討したが、専門的な知識やノウハウがなく既存の業務との両立が難しいことから、ⅠTに精通した専任担当者の採用を決定。全社的なテレワークの実現に向けて取組をスタートした。
主な具体的な取組
― IT専任担当者を中心に業務効率化
まずは専任担当者を中心に、自社の情報セキュリティーに関する脆弱性の調査から着手した。近年、社内ネットワーク機器の脆弱性を狙う※¹ランサムウエアの被害が全国的に増えていることから、IPA(情報処理推進機構)が無料で提供している診断ツール「5分でできる!情報セキュリティー自社診断」を使い、自社の課題を特定。ルールづくりや社員教育の不足など多くの分野で課題が判明した。診断内容を受けて、「情報セキュリティー基本方針」を策定し社内外に表明。経営者主導で改善・向上に努めることや、社員が知識や技術取得することなど、社内全体で取り組む項目を盛り込んだ。
テレワークの導入を阻害していた稟議決裁手段の見直しも実施。これまで稟議書は紙と押印で決裁を行っており、出社しなければ手続きが進まなかった。そこで、稟議を電子化するワークフローシステム導入に向けてグループウエア製品を比較・検討。年内にシステムを導入し、遠隔でも対応できる体制を目指している。
会議のオンライン化も進める。これまでは、現場監督が集まる「安全衛生委員会」の会議を月1回本社で実施していたが、参加者は三次・庄原市など離れた現場から一日の業務を終えた後に集まっていた。帰社できない担当者の不参加もあったため、ビデオ会議システムZoomを導入。オンライン参加が可能になったことで担当者は移動時間を減らし、どこからでも柔軟に参加できる体制となった。
各取組において、IT専任担当者が先導したことで迅速な課題の特定と適切な対処が実現した。
導入後の変化・メリット
― 着実に進むテレワーク環境の改善
会議のオンライン化により、安全衛生委員会の参加率が大きく改善。自宅からの参加や、会議後に現場から直帰できるなど業務負荷が軽減した。
また、社内でオンライン会議の利用が広がるよう、本社にリモートブース3台を導入。部署を問わず誰でも使用できる個室で、利用者からは「周りを気にせず会議に集中できた」「作業効率が上がった」 など好評だった。
取組のポイント
― 経営トップがIT化を進める姿勢
IT化に向けた動きが大きく進んだのは、社長の力強い方針決定がきっかけとなった。同社は「人」が財産と考え、社員に「セイムに入社して良かった」と思ってもらうために柔軟に働ける環境をつくりたいと、社長が方針を明確にした。本格的なテレワーク導入に向け、思い切ってIT専任担当者の採用を決定したことが取組を大きく前進させた。
今後に向けて
― 創業100周年までに社内IT化完結
社員の声
総務課 / 西河 英治 さん
用語解説
※¹ランサムウエア悪意のあるソフトウエアの一種。コンピュータが感染すると、データを暗号化されて使用できない状態になり、復元の対価として金銭を要求される。
※²NASケーブルを直接パソコンとつなげず、ネットワーク上に接続できるハードディスクのこと。複数人が同時にデータの保存や読み込みが可能で、保存スペースを共有できる。通信障害の影響を受けにくいが、災害などでデータ損失してしまうことも。有事に備えてクラウドへ移行する企業もある。
取材日:2023年9月
会社概要
株式会社セイム
所在地:三原市皆実4-8-6
URL:http://www.seim.co.jp/
業務内容:建設営業、土木・建築の施工管理
従業員数:31人
情報提供:広島県
(働き方改革・女性活躍 取組サポートサイト「ヒントひろしま」http://hint-hiroshima.com)
広島県商工労働局 働き方改革推進・働く女性応援課 TEL 082-513-3340