金仏壇製造日本一
時代に応え伝統を継ぐ

株式会社三村松

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工場生産体制強みに市場に挑む

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 創業157周年の国内最大級の仏壇メーカー。金仏壇製造出荷本数は2022年も日本一、連続43年となる(宗教工芸新聞調べ)。家内工業が主流だった業界の先陣を切り、安定した品質を量産できる工場生産体制を確立。海外生産体制も敷く。北海道~九州に営業網を張り、専門店ならではの業歴を重ねている。

時代のニーズに応える

 特に広島では安芸門徒と総称される浄土真宗の門徒に支えられ金仏壇が主流だが、三村松は宗派や地域で様式が異なる仏壇を一手に引き受ける。近年は生活スタイルが様変わりして和室が減り、マンション暮らしの増加に伴って小型でインテリアと見まがうようなデザインの“モダン仏壇”のニーズが高まっている。三村社長は、「そもそも仏壇とは寺を模したミニチュアで仏様を祀るもの。専門店として本来の在り方を伝えていく使命がある。と同時に、宗派の違いを踏まえ、しきたりに則りながら時代のニーズに応えていきたい」。

 本店隣のショールーム機能を備えた「和の工芸館」は、仏壇が暮らしにある生活空間を提案。シンプルでコンパクトな仏壇が展示リビングに違和感なく収まる。こうした仏壇を20年以上前から扱い、現在は全体売り上げの30%を占める。

ブランド力を高める

 家具調の仏壇は、仏壇メーカー以外も製造するようになった。一部は安価で出回っているが老舗として顧客の信頼と期待に応え、そうした市場と一線を画すブランドイメージを高めていきたいと三村社長。

 金仏壇の広島仏壇は木地、狭間、宮殿、須弥壇、錺金具、漆塗・金箔押し、蒔絵の職人七匠の技が集結して成り立つ。職人の高齢化に加え、少子化やマーケットの変化などを受け事業環境の厳しさは増すが、匠の技を絶やしてはならない。全国伝統的工芸品仏壇仏具展(伝統的工芸品産業振興協会などの主催)に毎回出品し受賞歴も多い。仏壇製造の一方で、全国でコンスタントに需要のある仏壇の修理・修復や、神社仏閣の新調・修復、納骨壇(屋内型墓所)、神輿なども手掛ける。

グローバル展開で伝統守る

 住職の継職法要などの際、稚児行列が繰り出されるが、衣装などをレンタル。地域に根付く宗教儀式もきめ細やかにサポートする。時代が変わっても、先祖や故人に手を合わせる日本の精神文化は変わらないと三村社長。地域に根付く慣習を敬う。

 創業は、現所在地で初代三村屋嘉助氏が副業で始めた仏壇販売。5代目の三村邦雄社主が高度成長を背景に工場を建設、木地~塗り~金箔貼り~彩色~組立の全工程を分業化し一貫生産体制にした。九州や海外の工場も整備し、近代化を図った。今後、市場拡大が見込めるモダン仏壇の成長は海外生産背景が鍵を握る。現在、広島県内に直営10店舗の小売りと北海道~九州への卸売りが半々。計画生産を行い、IT化で効率を向上させ、財務の管理体制を整備。世界情勢が仏壇づくりにも大きく関わっている。「インドから中国を経て日本に伝わった仏教そのものがグローバルといえる。グローバルな経営感覚を磨き、仏教業界をものづくりから支えていきたい」。時代の変化にチャレンジし、心のよりどころとなる仏壇づくりにまい進する。

会社概要

株式会社三村松
本  社:広島市中区堀川町2-16
創  業:1865年
設  立:1958年5月
資 本 金:45億7000万円(自己資本比率94%)
売 上 高:40億6362万円(2022年4月期)
従業員数:355人
事業内容:仏壇、仏具の製造と卸小売り
T E L:082-256-0001
U R L:http://www.mimuramatsu.co.jp/
※2022年8月当時の情報です。