金仏壇44年連続日本一
伝統の技を磨き守る

株式会社三村松

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多様化するニーズに応える生産体制敷く

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 創業158周年の国内最大級の仏壇メーカー。家内工業が主流だった業界の先陣を切り、安定した品質を量産できる工場生産体制を確立。日本一の金仏壇製造出荷本数は2023年もその座を維持し、連続44年となった(宗教工芸新聞調べ)。伝統の技を駆使し、多様化する仏壇ニーズに応え、市場の変化に挑む。

変化する仏壇需要

 金仏壇は木地、狭間、宮殿、須弥壇、錺金具、漆塗・金箔押し、蒔絵の職人七匠の技が集結して成り立つ。22年秋、広島市内の浄土真宗本願寺派広島別院の親鸞聖人厨子を修復し、献納した。被爆した厨子は50回忌の修復以降、すすで黒ずんでいたが、広島工場で漆を塗り替え、金箔を貼り替え、見事に輝きを取り戻した。七匠の技は仏壇だけでなく、寺や神社の修復、近年増加傾向の納骨堂の新築などにも生かされ、地域の文化・伝統、信仰を守る一助を担う。
 広島で安芸門徒と総称される浄土真宗の門徒に支えられた金仏壇を主力に、宗派や地域で様式が異なる仏壇も一手に引き受けるが、伝統型の仏壇市場は生活スタイルや価値観の変化、核家族化などを受け、先細る見通しだ。一方でマンション暮らしの増加などに伴い、コンパクトでシンプルな〝モダン仏壇〟のニーズが高まっている。本店隣りの「和の工芸館」は、ショールーム機能を備え、仏壇が暮らしにある生活空間を提案。インテリアのような仏壇が展示リビングに違和感なく収まり、手を合わせる日常が自然と浮かんできそうだ。

仏壇は総合芸術

 創業は、現所在地で初代三村屋嘉助氏が副業で始めた仏壇販売。5代目の三村邦雄社主が高度成長を背景に工場を建設、木地~塗り~金箔貼り~彩色~組立の全工程を分業化し一貫生産体制を整え、近代化を図った。計画生産を可能とし、IT化で生産~営業効率を向上。直営工場は九州をはじめ、海外へも配す。製販一貫体制で、広島県内に直営10店舗の小売りと、北海道~九州を網羅する全国卸売りを展開する。
 仏壇の歴史は686年、天武天皇の勅令にさかのぼる。室町時代に入ると浄土真宗の信者の間で広まり、書院造で床の間に仏具を置き、仏画に参る習慣ができあがった。時代が変わっても、手を合わせる日本の精神文化は変わらないと三村社長。信仰とともに連綿と引き継がれてきた伝統の慣習や技を守る覚悟だ。モダン仏壇の需要が増すが、「元々、仏壇は寺を模したミニチュアで仏様を祀るもの。何百年もかかって、技の粋を集大成した仏壇は総合芸術といえる。伝統の様式に則った仏壇ならではの良さがある。専門店として本来の在り方を伝え、次代に残していきたい」と使命に向き合う。

伝統を守り抜く

 〝仏壇の三村松〟ブランドは顧客の信頼と期待に応えてきた積み重ねの成果。全国伝統的工芸品仏壇仏具展(伝統的工芸品産業振興協会などの主催)の受賞歴も多い。23年は、新デザインと伝統意匠の両部門で中小企業庁長官賞をダブル受賞。25回を重ねる競技会で初の快挙だ。職人の高齢化が進む中、匠の技をさらに磨き、絶やさないよう毎回出品している。同年はG7広島サミット関連で広島県の伝統的工芸品として広島仏壇を展示紹介し、注目を集めた。技を伝承し、心のよりどころとなる仏壇づくりにまい進し続ける構えだ。



会社概要

株式会社三村松
本  社:広島市中区堀川町2-16
設  立:1958年5月(創業1865年)
資 本 金:47億5000万円(自己資本比率95%)
売 上 高:39億5797万円(2023年4月期)
従業員数:351人
事業内容:仏壇、仏具の製造と卸小売り
T E L:082-256-0001
U R L:http://www.mimuramatsu.co.jp/
※2023年9月当時の情報です。