時代の変化をつかみ 仏壇づくりの伝統継ぐ
技術とブランドで市場開拓に挑む

株式会社三村松

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 創業156周年の国内最大級の仏壇メーカー。宗派や地域で様式の異なる仏壇づくりを一手に引き受ける。家内工業が主流だった業界の先陣を切って、安定した品質を量産できる工場生産体制を確立。海外生産体制も整え、市場の変化にいち早く対応した。金仏壇製造出荷本数は42年連続で2021年も日本一(宗教工芸新聞調べ)。事業環境は厳しいが、専門店ならではの知識と技で時代の変化に挑む。

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生活に溶け込む仏壇を

 本社店舗隣りのショールーム機能を備えた「和の工芸館」には、シンプルでコンパクトな仏壇が展示リビングに違和感なく設えられている。マンションが増え、和室が減って生活スタイルが様変わりする中、仏壇が暮らしにある生活空間を提案。小型でインテリアと見まがうようなデザインの〝モダン仏壇〟は約20年前から市場に投入し、現在は全体売り上げの30%にまでなった。
 従来の仏壇とは異質だが、仏具や位牌、過去帳などの配置はしきたりに則る。三村社長は、「仏壇とはそもそも寺を模したミニチュアで仏様を祭るもの。専門店として宗派の違いや飾り方の知識を踏まえてつくる。そうした使命を果たしながら、最新技術やモダンな要素を取り入れ今までにない、新しい仏壇を市場に送り出していきたい」。域性の強いニーズや伝統を重んじながらチャレンジの手は緩めない。

ブランド力を高める

 家具調の仏壇は、専門店以外も取り扱うようになった。手頃な価格帯で出回っているが、顧客の信頼・信用、期待に応え、そうした市場と一線を画すブランドイメージを高めていきたいと三村社長。老舗としての矜持がある。売れ筋を見極め、材質やデザインに工夫する。
 国が指定する伝統的工芸品の広島仏壇も販売環境は厳しい。しかし、木地、狭間、宮殿、須弥壇、錺金具、漆塗・金箔押し、蒔絵、塗りの職人七匠の技が集結して成り立つ伝統を絶やしてはならない。技を生かし、仏壇の修理・修復の需要が全国でコンスタントにあり、神社仏閣の新調・修復や、近年は全国的に納骨壇(屋内型の墓所)が増えている。時代の変化をつかんだ伝統の技を磨く。

変わらない心に向き合う

 全国産地も職人が高齢化し、不足。コロナ禍が重なり仏壇業界も厳しい。地域をまたいで相互に技術を補い合おうという動きも出ているという。三村松は全国伝統的工芸品仏壇仏具展(伝統的工芸品産業振興協会などの主催)に毎回出品し受賞歴も多い。三村社長は広島宗教用具商工協同組合の青年部会長も務め、「仏壇づくりの伝統、技術を残していく使命がある」とし、子どもに金箔張りの体験教室などを開いている。
 創業は現所在地で初代三村屋嘉助氏が副業で始めた仏壇販売。5代目の三村邦雄社主が高度成長を背景に工場を建設、木地~塗り~金箔貼り~彩色~組立の全工程を分業による一貫製造で近代的な生産体制を構築した。海外工場も整備。広島県内に直営10店舗と北海道~鹿児島の販売網で全国に卸す。業務のIT化や、効率・効果的な生産や財務の管理体制も整備。原材料は海外に頼るものも多い。グローバルな経営感覚を磨きながら、「時代が変わっても、先祖や故人に手を合わせる日本の精神文化は変わらない」。日本人の心のよりどころとなる仏壇を造り続ける。

会社概要

株式会社三村松
本  社:広島市中区堀川町2-16
設  立:1958年5月(創業1865年)
資 本 金:45億7000万円(自己資本比率93%)
売 上 高:40億1095万円(2021年4月期)
従業員数:357人
事業内容:仏壇、仏具の製造と卸小売り
T E L:082-256-0001
U R L:http://www.mimuramatsu.co.jp/

※2021年8月当時の情報です。