わかりやすく便利な交通
事業構成改革で変化に強く

広島電鉄株式会社

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運賃均一拡大、24年に新乗車券サービス

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 広島電鉄は2022年11月に創業110周年を迎える。路面電車やバスといった公共交通に加え、不動産、流通、レジャー・サービスなど多岐にわたって人々の生活を支えている。20年からはコロナ禍で公共交通の利用者が激減するなど主力の運輸業が大きく影響を受け、20、21年度と2期連続の赤字を計上した。20~22年度の中期経営計画「広電グループ経営総合3カ年計画2022」は最終年度に入り、21年度の見直しで追加した「既存事業の変革」と「新たな事業機会への挑戦」を進めつつ、22年度からはわかりやすく使いやすい公共交通への取り組みや、事業ポートフォリオの改善を目指すなど、「持続的な成長」を見据えた動きを活発化させる。

わかりやすく便利な交通

 わかりやすく使いやすい公共交通への取り組みとして以下を掲げる。▽市内路線バスの均一運賃エリアの拡大。▽新たな乗車券システムの開発。▽ICカード全扉乗降サービスを連接車両へ拡大。

 今後、広島市中心部を運行する交通事業者7社が共同で市内中心部の均一運賃エリアを広げ、エリア内の路面電車(白島線を除く)とバス運賃を一律220円に変更。平日のオフピーク時や土日祝の一定時間に割引く乗車券をデジタルチケットサービスモビリーで販売予定。また、既存乗車券「広島シティパス」では、利用エリアを広げ、学生や障害者、高齢者へ割引制度を新たに追加。多くの利用者に利便性が向上するようなサービスの提供を行っていく。

 新乗車券サービスは、24年10月の運用に向けて、日本電気(東京)とレシップ(岐阜)と共同で開発を進める。運賃計算や情報記録をクラウドサーバで対応するABT方式を日本で初採用。認証媒体はQRコードや新たな交通系ICカードなど乗客が使いやすい形を検討しつつ、機材更新にかかる費用を削減する。

 そのほか、22年7月から広電宮島口駅の新駅が供用開始。ICカードで全扉から乗降できる車両の拡大も進めている。

変化に強い事業構成へ

 社会の変化に強い事業ポートフォリオに向けた取り組みには以下を掲げる。▽新たなマンション開発事業の推進。▽新規事業創出への動き。

 現状、運輸業が全体の売り上げの55・5%を占め、グループ全体の収支に大きな影響を及ぼしている。運輸業の収益を維持しつつ、そのほかの事業の売り上げを伸ばすことで事業ポートフォリオの改善を図る。

 不動産事業では新たなマンション開発を推進。住環境の価値が高い広島都心エリアのマンション開発により、定住人口増加を通じたまちづくりに貢献する。24年2月下旬にはザ・タワーレジデンス広島富士見町(広島市中区富士見町)が入居開始予定で、ホテルニューヒロデン跡地にも分譲マンションを建設予定。

 既存事業に加え、新たな事業創出も検討する。22年4月には野菜流通ベンチャーのやさいバス(静岡)へ社員1人を派遣。新事業立ち上げを担う人材育成を目的とし、グループ内で行っていた人材交流を幅広く活発化させ、M&Aも含めた中長期的な企業価値の向上を見据える。

 また、当初の計画通り、広島駅南口広場の再整備等事業は25年春に駅前大橋ルート供用開始を目指す。経営の基本方針「お客様に満足いただける高品質のサービスの提供」の実現へ、全社一丸で取り組む。

会社概要

広島電鉄株式会社
本  社:広島市中区東千田町2-9-29
設  立:1942年4月
資 本 金:23億3562万円
売 上 高:273億9500万円(2022年3月期連結)
従業員数:1733人(2022年3月末現在)
事業内容:鉄・軌道、バス、不動産、流通、建設、レジャー・サービス業などをグループで手掛ける
T E L:082-242-3521
U R L:https://www.hiroden.co.jp/
※2022年8月当時の情報です。