地場卸の存在感を発揮
地域産品の市場創出

中村角株式会社

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提案型営業・ローコストオペレーション推進


 地場大手の総合食品卸。70年超の業歴を信用力に、地域密着の営業活動を展開。仕入れ価格や物流費など業務運営コスト増が続き、経営環境は従来にも増して厳しい。提案型営業とローコストオペレーションに徹し、中村角ならではのきめ細やかな対応を進め、選ばれる卸を目指す。

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地域の食文化支える

 中村角は海産乾物卸で創業。水産加工品の扱いは情報量、営業力ともに国内有数だ。低温食品を主力にしたことで競争力が生まれ、大手とは一線を画す市場を獲得。北海道~沖縄の産地の旬や収穫量を把握、タイムリーで最適な商品を提案~供給する。各地には、その地域で育まれた食文化が息づく。担い手の生産者は全国大手の卸では扱いに限界があり、特に多品種少量で温度管理が難しく、賞味期限も短い水産加工品の生産者は中・小規模が多い。大量仕入れは難しいが、魅力や価値ある商品を掘り起こし、流通に乗せていく。
 長い業歴で培ったネットワークと目利き力で売れ筋を発掘。一方で生産者を育てる喜びも大きい。中村社長は、「小さなメーカーの廃業が増えている。良い商品をつくるが事業環境が整っていないスタートアップの成長を後押しし、新たなニーズを生み出していきたい」。小さなメーカーを育て、地域の食文化に貢献する。

業務用を強化

 チルドや冷蔵冷凍品の温度帯環境を整え、賞味期限の高精度管理にWMS(倉庫管理システム)を導入。低温卸の品質強化を図り、デジタル化により生産性や業務効率を高める。卸機能のアップデートは無論のことだが、「問屋の仕事の面白さはさまざまなメーカーを扱い、多様な販売先に最適な商品を届けること」と中村社長。メーカー、販売先双方に喜んでもらった結果が業績につながる。
 2023年3月期売上高で初の300億円を突破した。量販店中心の家庭用が主力だが業務用に注力し成長戦略を描く。目指す400億円のうち250億円を業務用で売り上げる方針だ。飲食店をはじめ給食や医療・高齢者施設、中食(総菜)向けなど小ロット、多頻度対応が求められるマーケットに挑む。
 これに向け受注業務のデジタル化や、同業者と20年に新たな共同物流の構築に着手し、協業による物流合理化を推進。日本外食流通サービス協会(JFSA)加盟同業9社と新会社を設立し、在庫を抑える効率的な一括配送システムで、JFSAのPB商品対象に小ロット・リードタイム短縮を可能に。参画メーカーも増え始め、業務用強化へ、有効な仕入れ機能となりそうだ。市販用を業務用に活用したり、小さなメーカーの開発商品も全国流通に期待が持てるという。

人間力が決め手

 地域卸ならではのアンテナでPB商品を開発。ヒット商品「ぶちうまい焼そば」をはじめ「広島県産大葉のパスタソース」、「お好みソースいか天」、東広島市の人気バーガー店監修の万能ソースなど、〝これまでにない〟を切り口に、量販店などの売り場活性化につなげる。
 現場の動きや情報を素早くキャッチし、ウィンウィンの商談に持ち込むにも〝フェイストゥーフェイス〟が基本という。足繁く取引先に通うアナログな営業活動が新しいビジネスの種を生む。「一人一人の人間力を磨くことが大事」と中村社長。〝基本を大切に 継続は力なり〟を掲げ、堅実経営に徹する。



会社概要

中村角株式会社
本  社:広島市西区草津港1-3-3
設  立:1948年11月
資 本 金:1億円
売 上 高:311億2367万円(2023年3月期)
従業員数:196人
事業内容:加工水産物、加工食品・業務用食品の卸
T E L:082-501-2000
U R L:http://www.nakamurakaku.co.jp
※2023年9月当時の情報です。